森博嗣さんの『四季 秋』を読みました。

 

 


妃真加島の研究所での事件から6年、博士課程に進んだ西之園萌絵は、私立C大学の助教授になった国枝桃子の手伝いをするため、N大学とC大学を行き来する生活を送っていた。
しかし、萌絵の頭からは真賀田四季のことが離れない。
萌絵が誇る能力のどれもが四季に遠く及ばないこと、そして、四季と犀川創平の関係…
犀川が見つけ出した、四季が残したメッセージをもとに、2人は四季との接触を図る。


「四季四部作」の3作目は、真賀田四季に影響された人たちの物語になっています。
そして、「S&Mシリーズ」の主人公、犀川創平と西之園萌絵の関係にも大きな進展が?

さらに、「S&Mシリーズ」と「Vシリーズ」の人間関係、時間的な関係も明らかになります。
人間関係がどう繋がるかという点については、驚愕、というか、目から鱗が落ちた気分。
まさか、そこが繋がるのか!と、思わず1人で騒いでしまいました。
ただ、苗字が不連続な点だけは少し疑問が残るところ。
どういう経緯があったのかなぁと、野次馬根性が出てきてしまいます。

『四季 春』『四季 夏』を読んだときに、『捻れ屋敷の利鈍』だけが時間的に矛盾していると言い続けていたわけですが、この作品が「Vシリーズ」の中に巧みに紛れ込まされた作品だったことをようやく理解。
作品の中だけでなく、作品と作品を繋ぐ位置関係までにトリックが仕掛けられていたことにびっくり。
いったい、森博嗣さんはどれだけ先のことまで考えて作品を書いているのだろうと、恐ろしくもなってしまいました。

森博嗣さんの作品全般に言えることですが、同じ出版社から出ている作品は、順番どおりに読んでいくことをお勧めします。
特に、この作品は、少なくとも『すべてがFになる』を読んでいなければ、ついていけないのではないかと。
「S&Mシリーズ」の最終作、『有限と微小のパン』でも、萌絵たちと四季の絡みがありましたし、「Vシリーズ」の後半6作に登場した〈エンジェル・マヌーヴァ〉も再登場します。
人間関係を知っておくためにも、やっぱり順番どおりに読むのがオススメですね。

 

 

 

 

 

 

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