森博嗣さんの『赤緑黒白』を読みました。

 

 


マンションの駐車場で、赤井寛の遺体が発見された。
赤井は近距離から銃で撃たれており、遺体は赤のスプレーで塗装されていた。
数日後、今度は赤井の恋人・田口美登里が絞殺され、緑に塗装される。
同じ頃、市立美術館では関根朔太の特別展が開かれ、警察は厳戒態勢で警備にあたる。


「Vシリーズ」10作目、最終話です。

これまで10冊読んできて、それなりに楽しんではいたのですが、最後まで馴染むことができませんでした。

まず、探偵役が瀬在丸紅子だということが、いまだにしっくりきていません。
『朽ちる散る落ちる』の壮大なトリックは、探偵役を紅子にしたがゆえに誕生したものと思うのですが、その他の作品に関しては、何だか紅子さんって探偵って感じがしないんだよな~って思ってしまうんです。
私の中に構築されてしまった〈探偵像〉が邪魔をしているだけなのかも知れませんが…

また、小鳥遊練無と香具山紫子の存在意義がよくわからなかった。
この2人がいることで、物語に厚みが出ていることは確かなのですが、もう少し大きな役を与えても良かったんじゃないかなって…

最後に、保呂草潤平の正体が最後までわからない!
いや、見えているはずなのに、それを認めようとしていないだけなのでしょうか。
最後の作品で、保呂草の1つの顔が明示されましたが、それはまだ保呂草の持つ顔の1つでしかないような気がしてなりません。
いくつの顔を持っているのやらと、興味が尽きないまま最後を迎えてしまいました。
そう言えば、第1作の『黒猫の三角』での登場のしかたも驚きでしたよね。

今回の作品は、死体が赤、緑、黒、白のスプレーで塗装されるという、一風変わった連続殺人。
人を殺したら、一時でも早くその場を立ち去りたいというのが犯人の心理だと思うのですが、きれいに塗装してしまうという謎の事件。
犯人の目的がわからなくて、完全にお手上げでした。

また、今回は密室のようなものが出てこなかったのも、特徴と言えるでしょうか。
森博嗣さんというと、密室とかクローズド・サークルといったイメージがあるため、当然最終作もその方向で攻めてくるだろうと思ったのですが、意外でした。

紅子さんの謎解きで、なんとか追いつけたかなぁと思ったのですが、エピローグでの謎の展開で、完全に置いていかれてしまいました。
これはいったいどういうことなんだろう?と、いまだに頭の中で?マークが20個ほど回っています。

なお、森博嗣さんの作品は、順番どおりに読んでいくのが正解だと思うのですが、シリーズ5作目の『魔剣天翔』から最終作までは、前の作品での出来事が深く関わってくるため、特に、順に読んでいくことをお勧めします。

 

 

 

 

 

 

過去の「森博嗣」記事

 

 

 

 

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