森博嗣さんの『四季 春』を読みました。

 

 


透明人間の〈僕〉は、病院の一室に幽閉されている。
病室に時々遊びに来てくれる女の子・四季には、僕の姿が見えるという。
四季は5歳になるまでに英語とフランス語をマスタし、5歳になると大学の図書館にこもって本を読みあさるようになった。
僕が入院する病院で、看護師が殺害される事件が発生するが、四季は犯人がわかったという。


うーん、よくわからない。以上!
としてしまうと、どれだけ楽なんでしょう。
いや、「よくわからない」ではなく、「まったくわからない」というのが正しいでしょうか…

不可解な空間的な行き来があったり、時間が大きく飛んでいるような錯覚を受けたり…
それ以前に、なぜ〈僕〉が透明人間なのかとか、恐ろしい速さで本を読んで記憶していく四季の頭脳はどうなっているんだってところにまず困惑。
そして、何が起きているのかが最後までわからない、いや、わかってはいるんだけど理解できないままエンディングを迎えてしまったといった感じでしょうか。
読みながら、何度頭を抱えたことか…

よくわからないんだけど、ページをめくる手が止まらないという点は、『スカイ・クロラ』と似ているでしょうか。
もっとも、『スカイ・クロラ』の何倍も難解だったわけですが。

おそらく、この「四季四部作」は、犀川創平と西之園萌絵らが登場する「S&Mシリーズ」、瀬在丸紅子らが登場する「Vシリーズ」の融合点になっているんだと思います。
「Vシリーズ」の中に「S&Mシリーズ」の西之園萌絵が登場したりと、一部で2つのシリーズの交錯が見られましたが、この作品ではそれがさらに進んだ感じ。

「S&Mシリーズ」と「Vシリーズ」の計20冊を読んでからというのが、この作品の正当な読み方なんだと思います。
もっとも、20冊全てを読む必要はないのですが、どうせ読むなら、順番に読んでいくことをお勧めします。

ただ、「Vシリーズ」の『捻れ屋敷の利鈍』に西之園萌絵が登場したことによって、シリーズ間でのキャラクターの年齢に矛盾が発生してしまっているような気がします。
このあたりも気にしながら、次の作品に挑みたいなぁと思っているのですが、次は私の頭でもついていける作品になっているのでしょうか??

 

 

 

 

 

 

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