【著作権の譲渡】著作権法第61条の解説です 2/4

 

▽    著作権の一部譲渡の範囲

 

▶支分権ごとの譲渡

 

著作権は、それを構成する各種の「支分権」(複製権、上演権、上映権、公衆送信権、翻案権など、著作権の中に含まれる各種の権利のこと)をそれぞれ分離して個別的に譲渡することができます。

一個の支分権をさらに分割して譲渡することも、そのような分割が実務上も別個の権利として区別されており、かつ、社会的にそのような取り扱いをする必要性が高いものについては、一般的に可能であるとするのが通説です。例えば、「公衆送信権」を「放送権」・「有線放送権」・「自動公衆送信権」に三分割し、さらには、「放送権」を「ラジオ放送権」と「テレビ放送権」に分割して譲渡することもできます。「複製権」を「出版を内容とする権利」・「録音権」・「録画権」等に分割して譲渡することもできますし、「翻訳権」をある特定の国語への翻訳(英語版・独語版・仏語版など)に限定して譲渡することも可能です。ただ、これらをさらに細分化するような権利(例えば、「ハードカバー本として出版する権利」)の譲渡に関しては、これを否定的に解する立場が多いようです。どこで線引きするかはなかなか難しい問題です。

 

▶地域限定の譲渡

 

著作権は、地域的・場所的な限定を付して譲渡することができます。例えば、演奏権を日本国内のみ又はアメリカ国内のみに限定して譲渡することが可能です。

なお、文化庁の登録実務上、1つの国を更に細分化すること、つまり、同一法領域における地域的分割の可能性(例えば、「東京都における」著作権の譲渡、「関西地方における」著作権の譲渡など)については、原則として認めていないようです。

 

▶期間限定の譲渡

 

著作権は、時間的な限定を付して譲渡することができます。例えば、「3年間」という限定を付して譲渡することが可能です。この場合、3年の期間が経過すれば、当該著作権は譲渡人(もとの権利者)に復帰することになります。

【より詳しい情報→】http://www.kls-law.org/

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