この顧客での新しい仕事が出てこない膠着した時期が続きましたが、ある日打ち合わせで癖のある課長と雑談していると「このたびは銀行系のコンサル会社に社内統制の仕事をお願いすることになりました」という話を聞きました。同席していた頼りなさそうな情報システム部長も「世の中がそういう方向にあるので」とにこにこしながら答えていたのを見ると、これは銀行から毒をもられたのだなと簡単に察しがつきました。
当時、この会社の業績も悪くはなく銀行からの借入がそれほど多いと言う状況でもなく、逆にこの会社の顧客にこの銀行を紹介するというような蜜月の関係にあったところに、急にそういう話が浮上したように思えました。
個人会社が膨張したような会社で、体質は建前さえも守れないようなところがあったと思いましたし、個人利益供与を堂々と要求する癖のある課長がのさばっているので、そういう姿を見て若い人たちがかえって萎縮しているようにも感じていました。
後に私がSOX法対策として色々な提案をしたのですが、役員は「ソックスソックスって言うけれど、足にはくソックスですかね」と茶化すくらいのレベルなので、社内統制と言う言葉自身がこの会社には不似合だと感じていました。
これから後、取引のあった銀行の関係会社のコンサル会社が情報システム部に入り込んだという事になったのですが、これは後の大きなプロジェクトにもつながる前哨戦であったというのは当時は知る由もありませんでした。私には関係の無い案件だったので、知らないうちに意味がどれほど理解されているか甚だ疑問な資料が納品されて終わったようでした。
社内統制とか書いていると、日本の会社には元々そういう事は難しいのではないかと思いましたし、まして外資系の会社はうわべばかりを繕っているので裏側がどれほどの状態か想像がつかいないというので、建前の統制はほどほどにするべきものだというのが私の感想です。
以前に勤務していた会社では私と不仲の頭の悪そうな顔をした事業部長は、期末になると業績の不足を取引先の会社に数億円規模の循環取引を堂々と持ち掛けて、その数字を上乗せするのが常態化していました。
転職前の会社でも私の所属していた事業部は万年赤字なので常に期末に架空受注入力をしていました。しかし、この時は製造する工場があったので、製造現場としては本当かどうか心配になるのは当然でした。受注入力した後に工場から直接電話で営業部長では無く担当の私に問いただしがあって「まだ本決まりではないですよ、役員決済ができていない状態ですが取敢えず入力をしただけです」というようなやりとりをすると、営業部長からは受け答えが悪いと言われたこともありました。
直近では東芝事件がありましたが、あんな大きな数字の操作ではなくて目立たない数字の操作は日常茶飯事に行われている現場にいた者には、ちょっとやりすぎだなという程度にしか思えないような事であると感じています。
サラリーマンの建前主義が行き過ぎて悲哀を感じさせる出来事になってしまったのは何とも残念だとは思いますが、同時にマスコミは表面的事象ばかりを報道するのを見聞していると、思考能力とか判断力とかのレベルの低さを感じてしまいます。
オリンパス事件では事件前に散々マスコミが首謀者を切れる経営者と持て囃しておきながら、事件後は記事がばったり途絶えるのは致し方ないとしても、以前に掲載した褒めちぎった記事については知らん顔をされるのは甚だ不快に感じました。
せめて自身で以前の掲載記事についての反省評論でも書いてくれれば余程信用があがったところを、知らぬ存ぜぬを決め込んだのは見て見ぬふりする日本人独特の行動とも重なるとも思えまたのでした。割合に立派そうに見える雑誌でもレベルはタブロイド紙と変わらないとも思えたのでした。