ベルトラン・タヴェルニエ監督の訃報。思い出す孤独だった25歳の秋「ラウンド・ミッドナイト」。 | con-satoのブログ

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 フランス映画界の巨匠ベルトラン・タヴェルニエ監督が亡くなった。フランスのアカデミー賞と称される「セザール賞」で5度の監督賞。さらにカンヌ監督賞やベルリン金熊賞など世界の映画祭で数多くの受賞歴のある世界の巨匠。

 個人的には86年の「ラウンド・ミッドナイト」が想い出深い。当時25歳。親と諍いして一人暮らしをしていた時。決して仕事も順調ではなく、心に孤独感を抱えていた時代。

 この映画、晩秋に丸の内ピカデリーで上映されていた。タイトルはジャズの名曲。パリに集まるアメリカのジャズミュージシャンの話。主演は自身もミュージシャンのデクスター・ゴードン。パリでは黒人であろうと、白人であろうと同等に扱われるのでNYからパリに数多くやって来た、そんな時代を描いた映画。

 シングル・ファザーのパリジャン(「最強のふたり」のフランソア・クリュゼ)がジャズ好き。娘を連れてジャズ・クラブの周りで漏れる音を聞いているうちにミュージシャンと知り合いになる話。渋いジャズとヒューマンな物語が、孤独な心に沁みた。

 オペラをテーマにした「ディーバ」と共に音楽をテーマにしたフランス人監督の映画。それまでアメリカ映画一辺倒だったのに、フランスの大人の感性に触れた時でもあったのだ。

 晩秋の丸の内ピカデリーに何度も通い、この映画を観た。タベルニエの訃報を聞き、この映画の映像と音楽が鮮やかに脳裏をよぎった。人生の曲がり角で映画に癒された、忘れられない映画、監督。

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