ドームスタジムを考察する
さて、やっとイングランド沼から脱出できた訳ですが、スタジアムについて調べている時に一つの興味がわいてきました。世界のドームスタジアム(屋根付きスタジアム)ってどんな感じ?誤解の無いように大前提として、晴れた日は日差しが心地よい天然芝の一般的なスタジアムが良いのは当たり前です。ただ、例えば降雪地帯や降雨が多い地域のように季節や気候環境によって特定の時期だけ屋根が欲しい地域もあれば、私が住んでいる日中の日差しが強すぎる沖縄なんかは、昼間の観戦環境が過酷で一年中屋根が欲しいと思うわけです。普段私達が見聞きしている話題から、屋根というと「観客席の」という発想になってしまいがちですが、厳しい環境はプレーしている選手も同様ですよね。沖縄でプレーしている選手を見ていると、暑くて気の毒だなと思うことが何回もありますし、もっと良い環境でプレーできれば、魅力あるサッカーを見られるのでは?と思うことは少なくありません。沖縄の問題を考えてみる沖縄では、J3リーグのFC琉球の試合がナイターで行われることが多いのですが、これは日中の日差しが厳しすぎるという理由からだと思います。ただ、ここでちょっと考えたいポイントがあります。1. 良く聞く話として、照明設備点灯にはコストがかかるというあれ。沖縄県総合運動公園 |陸上競技用(第1種公認競技場)http://okinawa-kenso.com/?page_id=213上記ページに照明設備の利用料金が掲載されています。1時間2,570円ですね。1試合あたりの4時間の点灯が必要だとすると、2570×4=10,280円。ホーム開催が年間15試合として10,280×15=154,200円となるので、施設利用料となるとそこまでの費用負担にはなっていないのかなと思います(※実際にどのような利用料金設定になっているかは不明)。ただこれはあくまで施設が設定している利用料なので、実際にかかっている電気代とは違います。東京ドーム1試合で一般家庭4000世帯分の電気http://d.hatena.ne.jp/michinao/20110318/p2東日本大震災の時にニュースになったものですが、屋外だと神宮球場の数値があり、1試合で3000キロワット、300世帯分とあります。世帯あたりの電気代を月1万円として、1日にすると333円。300世帯分となると1,000,000円となります。神宮球場の照明塔は6基あるので、1基あたりは166,666円。これを沖縄県総の4基にすると666,666円。さらにLED照明は通常の照明の1/5の消費電力ということで、133,333円となります(※明確な数値のページが無いのであくまで試算です)。公共施設なので料金設定は利用者負担を1割程度としているのかもしれませんね。※大宮公園(NACK5)は1600kWh/日という情報を頂きました。ドームスタジアムにすると電気代はさらにかかると思われます。大きく違うところでは空調が入ります。ただ、屋根ができて観戦環境が良くなればお客さんが増える可能性はあります。そういった費用対効果も含めての通常のアリーナ建設と同じように費用想定してみても良いかもしれません。2. ナイターにすると飛行機の時間の関係でアウェイチームは後泊が必要。沖縄は島なので、移動は飛行機に限られます(※船は時間がかかるため)。アウェイチームからすると、他の遠征より交通費がかかりますし、コンディション調整のために前泊、帰れないから後泊という現状では、宿泊日数が1日増えて費用負担は他の遠征より増えます。JFL時代に13:00開催の試合が多かった理由は、翌日仕事がある相手チームがその日のうちに帰れるからと聞いたこともあります。帰れないのはファンも同様で、翌日仕事がある方は沖縄に来ることが難しくなります。LCCが利用できるようになって交通費は抑えられるようになってきているので、スポーツツーリズムを謳うなら対策したいですよね。ドームスタジアムであれば日中試合を行うことも可能です。3. ナイターは日差しの問題は解消できるが、日中と夜の気温差が無く、湿度が高い沖縄では、夜も不快指数が変わらない。しかもその時期が長い。本土だと、日中は暑くても夜は涼しくなるというのが一般的だと思います。本当に暑い夏は7月~9月の2、3ヶ月だと思いますが、沖縄の場合は5月~11月まで暑いのでほぼオールシーズン暑いです。日中の気温より夜の気温が高い時もあります。夜に飲むオリオンビールが美味しく感じる理由はこれ(笑)だと思いますが、サッカー観戦には皆さん車を利用するのでビール飲めないんですよね。ドームスタジアムであれば酒が飲めるかは別(笑)として、空調を入れられるので不快指数対策はできます。日本のドームスタジアムを見てみる日本にもサッカーで使用するドームスタジアム(屋根付きスタジアム)はありますので下記に羅列します。札幌ドーム(39,856人:建築費用422億円)| 北海道コンサドーレ札幌大分大銀ドーム (31,997人:建築費用251億円) | 大分トリニータノエビアスタジアム神戸 (28,483人:建築費用230億円) | ヴィッセル神戸豊田スタジアム (41,255人:建築費用340億円) | 名古屋グランパス ※現在ホーム表記は瑞穂どこも大きい箱で建築費用も相当かかってますね。CapacityもPremier Leagueと比べて遜色ありません。4つのスタジアムは天然芝でJリーグの試合や国際試合が開催されています。この中でドームスタジアム(屋根が開閉しない)は、札幌ドームで、芝の養生はピッチ全体を外に移動するホヴァリングサッカーステージというシステムを採用しています。大銀ドーム、ノエスタ、豊田は開閉式の屋根ですね。私がドームスタジアムに興味を抱いたのは、野球も含めてドームスタジアムはかなり規模が大きいものが多いんですけど、世界を見た時に、本当にみんなそんなに大きいの?っていうところで、心が落ち着くような(笑)小さな規模のものは無いのかなというところです。世界のドームスタジアムを見てみるList of covered stadiums by capacityhttps://en.wikipedia.org/wiki/List_of_covered_stadiums_by_capacity上記を参考にして見ていきます。なるほど「covered(覆われた)stadium」と言うんですね。やっぱりどこもでかい(汗)Mercedes-Benz Stadiumhttps://en.wikipedia.org/wiki/Mercedes-Benz_Stadium規模は大きいけど、今年オープンということで、MLSのAtlanta United FCが使用予定のMercedes-Benz Stadiumに最初に触れときます。こちら建築費用が$15億(約1726億円)で収容人数が71,000人。屋根の開き方と円形内向きのビジョンがスペシャルカッコいい!(笑)NFLやNCAAやバスケットボールでも使用される予定ということで、どこの屋根付きスタジアムもそうですが、屋根があるということで様々なスポーツに利用することができ、幅広く屋内スポーツにも解放されるようですね。さて、身の丈なサイズの物を見ていこうかと思ったのですが、数千人から1万人規模の物は、高校や大学が所有していて、大きな体育館という感じのものが多いですね。アメリカンフットボールで使用されているものも多いですが、これはアメリカンフットボールが防具をつけて試合をするため、試合や練習で熱中症を起こし死亡するケースが出てきたためにドーム型を選択するチームが増えているという事情もあるようです。GelreDomehttps://en.wikipedia.org/wiki/GelreDomehttps://www.gelredome.nl/het-grootste-theater-van-nederland.htmlたどり着いたのがこちらですが、オランダのSBV VitesseのホームスタジアムGelreDome です。SBV Vitesse といえば、太田宏介選手や、安田理大選手が活躍したクラブとしても有名ですね。GelreDomeは開閉式のドームスタジアムで札幌ドームのような可動式ピッチとなっています。収容人数25,000人、建築費用は€7千万(約86億円)。費用的には南長野と同じくらいなのかな。http://www.vitesse.nl/nl/gelredome/informatie甲府市議会議員の神山玄太さんが現地視察された報告ページがとても参考になるので御覧ください。オランダでサッカースタジアムを調査しました。http://blog.livedoor.jp/genta_kamiyama/archives/52512080.html建築費用はともかく、建設後にどうやってスタジアムを維持していくかがポイントとしてますね。屋根付きという特性を活かしたイベント収益や施設利用料で賄っていく感じになりますが、ドームスタジアムの維持費では、天然芝か人工芝かというのも大きな分かれ目になってくると思います。ドームスタジアムの場合は、大半が人工芝になります。天然芝の場合は可動式にするなど大掛かりな装置が必要になります。人工芝の場合は、改善されてきているとはいえ選手の怪我(Turf Tou等)の心配や、選手側の意見としてよく聞かれるフィーリングの問題、あまり好まれていないという実情もありますね。受け入れざるを得ない状況と、好みの問題とはまた違うので、経営、選手、ファンと多角的な視点から考える必要があります。とはいえ、一つの方法としてドームスタジアムという方法もあるのは事実です。これが最善かというのは別にして、一つの検討材料として頭の片隅に置いておくのも良いと思います。コミュサカ@管理人http://blog.livedoor.jp/commusoccer/