この記事は、2021年3月11日に更新の、きょうで、東北・関東大震災発生からついに10年を迎えましたの続きで、大震災発生後のCMを振り返った内容となります。
前回の記事では、東北・関東大震災発生から10年を迎えた内容として更新しました。
けれど、大震災発生から10年を迎えたとなると、やはり節目の年ということでCMについても振り返る必要があると思い、新たにひとつの記事を書いてみることにしたのでした。
大震災発生後に、テレビで大量に流れ始めたCMについては、私のブログでも、過去に下の3つのリンクで更新したことがありました。
2011年3月30日
東北・関東大震災後、テレビで大量に流れ始めたACジャパンのCM 一般CMは福島第一原発の状態次第
4月3日
東北・関東大震災後から、テレビで大量に流れていたACジャパンのCMを振り返ってみました
4月10日
視聴者からの抗議や苦情を受けて、ACジャパンが震災臨時キャンペーンのCMを緊急制作しました
今回の記事で振り返る、大震災発生当時のCMは、2011年3月13日更新の、東北・関東大震災の震災特別番組で見た、メディアやフジテレビの報道のあり方、NHKの頼もしさ の関連記事で、大震災発生から約3日間は、24時間体制で放送されていた震災報道特別番組から朝の情報番組へと変わったときに流れ始めたCMの内容となります。
では、以下より私のブログの過去記事から抜粋しつつ、大震災発生後のCMについてあらためて振り返ってみたいと思います。
◆東北・関東大震災発生時には、3日間CMなしの震災特別番組が24時間放送
前の項目でも少し触れましたが、いまから10年前、大震災が発生したその日から、NHK、TBS、日本テレビ、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京ともに「震災特別番組」として、数時間ごとに男女のアナウンサーが交代しながら24時間体制で、巨大地震と大津波に襲われる市や町の様子が、生中継やVTRで放送されました。
その中で、とても特徴的だったのが、TBS、日本テレビ、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京の、いわゆる在京キー局と呼ばれるテレビ局が、一度もCMを流すことなく放送されたことでした。
これは、いま考えてもスゴイことだったと思います。
民放のテレビ局は、企業やメーカーから広告料をいただいくことでCMが放送されている、いわばスポンサーあってのものですからね。
テレビ東京(以下、テレ東)をのぞいた、その他の在京キー局でいうと、3月15日を迎えてからは、TBS、テレビ朝日、フジテレビが、24時間体制としての震災特別番組ではなくなったものの、夜の19時になってからも、震災報道番組として、東北・関東大震災の最新情報やドキュメントを放送することに。
なぜテレ東をのそいたかというと、その当時、私の住んでいる地元のテレビ局や、契約しているケーブルテレビで見ることができる近県のテレビ局でもテレ東系列の放送が見られなかったため、他の局のように、3日間もの間震災特別番組が放送されていたかどうかはわからなかったからです。
ただ、大震災翌日の3月12日の深夜に、テレ東は早々とテレビアニメを放送していたことだけは、ネットのニュースで知ることができましたけどね。
話を戻して、先ほどの夜の19時になっても各キー局のほとんどが震災報道番組を放送していた中、日本テレビ(以下、日テレ)だけは、バラエティ番組「火曜サプライズ」が放送されたことで、いち早く通常の番組を復活させたのでした。
◆各テレビ局で朝の情報番組が復活したのがきっかけで流れ始めたACジャパンのCM
また3月14日には、各テレビ局でも朝の情報番組(私は「みのもんたの朝ズバッ!」で見ました)が放送されたことで、一部だけ通常の番組が復活。
けれど、当然のことながら情報番組の内容は大震災一色となっていました。
その、朝の情報番組が復活したのがきっかけで流れ始めたのが、以下に挙げる「ACジャパン(以下、AC)」のCMだったと思われます。
【2010年度全国キャンペーン】
「あいさつの魔法」
子どものコミュニケーション「あなたの手当て」
【本年度支援キャンペーン】
日本脳卒中協会「オシムの言葉」
国境なき医師団「国境を越えた医者」
3R推進団体連絡会「ちょっとだけバイバイ」
文字・活字文化推進機構「知層」
日本対がん協会「大切なあなたへ」
国連UNHCR協会「難民のふるさと」
あしなが育英会「ありがとう あしながさん」
【2010年度地域キャンペーン】
北海道 北海道のためにできること「見方を変えよう。」
東北 地域活性「誇ろう!ふるさとの元気。」
東京 コミュニケーション「こだまでしょうか」
名古屋 生物多様性を知ろう「里山のばっさまに学ぶ」
大阪 ボランティア「ボランティアは生涯現役」
中四国 思いやり「思いやりも日本の国技に。」
九州 自転車運転マナー「自転車も車です。」
沖縄 青少年の育成「いちばんの栄養は家族です。」
◆大量に流れるACのCMに、視聴者からの抗議が殺到 ACからの異例の謝罪文も
私は最初、24時間体制で放送されていた震災特別番組後の、朝の情報番組でACのCMを見たとき、「あぁ~、ようやくテレビ局でも一般CMが流れ始めたんだなぁ~」と思いながら見ていました。
ところが、夜中まで見ているうちに、やけにACのCMが多いことに気がつきました。
しかも、翌日以降も同じ内容ACのCMが何度もくり返し流されています。
これにより、はじめは「いいCMだな~」と思っていたCMの数々も、ついには「しつこい!」と感じるようになってしまいました。
もちろんそれは視聴者の方も同じだったようで、大量に流れるACのCMに、ACには電話での抗議が殺到。
これに対し、ACは公式サイトで謝罪文を掲載するといった騒ぎにもなったのでした。
◆ACのCMの最後に入るサウンドロゴ「♪AC(エーシー)~」の音声にも視聴者からの抗議が殺到で削除されたことも
さらには、当時大量に流れていたACのCMは、CMの内容もそうなんですが、特に私がしつこくてイライラすると感じたのは、ACのCMの最後に入るサウンドロゴ「♪AC(エーシー)~」の音声でした。
そう思ったのは私だけでなく、視聴者からも「♪AC~」のサウンドロゴがくり返し流れていることにも抗議が殺到していたそうです。
そのため、ACはこの件についてもお詫びを発表。
テレビ各局に、最後に入る「♪AC~」の音声の削除をお願いしたことで、最初は混在していたものの、現在ではサウンドロゴなしのACのCMのみとなりました。
これにより、ACのCMが流れても、しつこいとは感じつつも、まあ少しはイライラしないで済むようになりましたね。
◆当時ACのCMが大量に流れていた大きな原因は、企業やメーカーのおよそ70%がCMを自粛していたから
そもそも、なぜ当時ACのCMが大量に流れていたのかというと、その大きな原因は、企業やメーカーのおよそ70%がCMのオンエアを自粛していたことによるものであったことがわかりました。
具体的に言うと、大震災の影響で予定されたCMを自粛するスポンサーが相次ぎ、その空白を埋めるため、テレビ局がACのCMを大量に使用していたのだそうです。
実はACは広告を通じて社会貢献を行なう団体で、CMは無料で放送されるとのこと。
さらにACは、マナーやモラル向上などといった社会啓発的なCMを年間13本制作していることも明らかに。
その制作費は、約1200社の加盟社から得られる年会費で賄っていることから、大震災後に大量にACのCMを放送しても、テレビ局との間で金銭的なやりとりは一切発生していないということでした。
このことについては、下にご紹介の、広告会社でCMの差し替え作業に携わっていたというネットのユーザーさんからも次のようなコメントが寄せられていました。
※ユーザーさんのコメントを尊重するために、明らかな漢字の間違いや適度な改行以外はそのままお伝えいたします。
「ACは公共広告機構であり、CMを流している会社の会費により社会的な啓蒙活動をしようと設立した団体です。
当時年度末の3月、多くのCMをオンエアしている会社が、震災の時に自社のCMを流すのは不謹慎ではないかとの判断で、自社のCMの枠を、ACの啓蒙活動フィルムを流してくださいという要請から、その会社のCMからACのフィルムに差し替えたものです。
ACは全てのフィルムの後にエーシーというジングルがついていました。
この部分が耳障りだとか、CMと感じられる内容のものが目障り、耳障りとか震災の中で色々と言われましたが、純粋なCMではありません。
この事があり今はACはエーシーというジングルを削除しています。
私は広告会社で、このCM差し替えを作業、スポンサー会社は自社のCMをやめて、ACに差し替えしましたが料金は払い、その後はCMを控えました。
その思いだけは伝えたいです」
なるほど、メーカーや企業にとって、たとえCMは自粛しても、テレビ局にはオンエア予定の分の広告料金は支払っていたことになるんですね。
◆視聴者から思わぬ苦情が寄せられていたACのCM 日本対がん協会「大切なあなたへ」
本年度支援キャンペーンのうち、視聴者から思わぬ苦情が寄せられていたACのCMもありました。
それが、日本対がん協会「大切なあなたへ」という子宮頸がんと乳がんに関するCMで、当時このCMに出演していたのは、俳優の松方弘樹さんの元妻で、女優の仁科亜季子さんと、その娘で、タレントでモデルの仁科仁美(ひとみ)さんです。
実は、仁科親子が出演するCMがくり返し流されたことに対し、視聴者から、
「しつこい!」
「時代にそぐわない」
「こんな大変なときに乳がん検診なんか行けるか!」
などの苦情がACに殺到し、AC側が謝罪する騒動となってしまったのです。
売名行為という批判もあったみたいですね。
そのためか、仁美さんのブログでは、2011年3月21日に更新の記事の中で、仁科亜季子さん、仁科仁美さんの連名で謝罪の記事を掲載したこともありました。
ところで、大震災発生後に流れたCMといって強烈に思い出すのは、CMソングで「ポポポーン」のフレーズが印象的だった2010年度全国キャンペーン「あいさつの魔法」のCMですね。
このCMについては、この前、大震災発生から10年を迎えたことで、ネットニュースでは「あいさつの魔法」「ポポポーン」のCMの産みの親という女性が振り返るという記事が掲載されていました。
そこで、次の記事では、私のブログの過去記事と、上記したネットニュースの記事を交えながら「あいさつの魔法」のCMについても書いてみたいと思います。