東北・関東大震災後、テレビで大量に流れ始めたACジャパンのCM 一般CMは福島第一原発の状態次第 | 続きは、CMのあとすぐ!

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インターネットの企業サイトや、動画サイトにあるテレビCM動画を中心にご紹介しながら、CMや動画、CMソングについて、私独自の視点でいろいろと感想を述べているブログです。

この記事は、2010年3月13日更新の、東北・関東大震災の震災特別番組で見た、メディアやフジテレビの報道のあり方、NHKの頼もしさ の関連記事で、24時間体制で放送されていた震災報道特別番組から朝の情報番組へと変わったときに流れ始めたCMの内容となります。


さて、数回にわたってお送りしてきました東北・関東大震災に関する記事は、今回のACジャパンのブログテーマの記事をもってひとまず終了とさせていただきます(ACジャパンについては2回にわたって記事を更新の予定です)。


では、東北・関東大震災発生直後から数日間にわたって放送された震災特別番組の項目に触れた後で、ACジャパン(以下、AC)の記事へと移ってみたいと思います。


◆震災特別番組では一度もCMを流さなかった各在京キー局


東北・関東大震災が発生したその日から、NHK、TBS、日本テレビ、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京ともに「震災特別番組」として、数時間ごとに男女のアナウンサーが交代しながら24時間体制で、巨大地震と大津波に襲われる市や町の様子が、生中継やVTRで放送されました。


その中で、とても特徴的だったのが、TBS、日本テレビ、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京の、いわゆる在京キー局と呼ばれるテレビ局が、一度もCMを流すことなく放送されたことです。


これは、考えてみればスゴイことだと思います。


民放のテレビ局は、企業やメーカーから広告料をいただいてCMが放送されている、いわばスポンサーあってのものですからね。


◆震災発生から約3日間は震災特別番組を放送していた在京キー局


実は在京キー局のうち、テレビ東京については、私の住んでいる地元のテレビ局や、契約しているケーブルテレビで見ることができる近県のテレビ局でもテレビ東京系列の放送が見られないため、他の局のように、3日間もの間震災特別番組が放送されていたかどうかはわかりません。


ただ、東北・関東大震災発生の翌日の3月12日の深夜に、テレビ東京は早々とアニメを放送していたことについてはネットのニュースで見てわかりました(苦笑)。


テレビ東京をのぞいた、その他の在京キー局でいうと、3月15日を迎えてからは、TBS、テレビ朝日、フジテレビが、24時間体制としての震災特別番組ではなくなったものの、夜の19時になってからも、震災報道番組として、東北・関東大震災の最新情報やドキュメントを放送。


そんな中、日本テレビ(以下、日テレ)だけは、バラエティ番組「火曜サプライズ」が放送されたことで、いち早く通常の番組を復帰させました。


その時の特集が、主に東京のおいしいグルメを紹介するというものだったんですが、みなさんもご存じのように、その頃は、被災者による避難所での不便な生活の様子が毎日のように紹介されていました。


中でも、地域によってはまだ道路が寸断されていて、救援物資を積んだトラックが入れず、食料が十分に行き渡らない避難所もあったことから、赤ちゃんや乳幼児が餓死してしまったという信じられない話題もニュースで報道されていた時期でもありました……。


ですから、バラエティ番組が好きな私ではありますが、さすがにオープニングの予告以外は、「火曜サプライズ」の東京のおいしいグルメ特集は見る気になれなかったですね…。


もちろん「火曜サプライズ」だけでなく、「踊る!さんま御殿」「コレってアリですか?」「魔女たちの22時」と、日テレでは、あえてゴールデンタイムのレギュラー番組が続けて放送されました。


そして、3月14日に、各テレビ局でも朝の情報番組(私は「みのもんたの朝ズバッ!」で見ました)が放送されたことで、一部だけ通常の番組が復活。


けれど、当然のことながら内容は東北・関東大震災一色となっていました。


その、朝の情報番組が復活したのがきっかけで流れ始めたのが「ACジャパン(以下、AC)」のCMだったと思われます。


◆大量に流れるACのCMに、視聴者からの抗議が殺到 ACからの異例の謝罪文が公式サイトで公開


私は最初、24時間体制で放送されていた震災特別番組後の、朝の情報番組でACのCMを見たとき、「あぁ~、ようやくテレビ局も一般CMが流れ始めたんだなぁ~」と思いながら見ていました。


ところが、夜中まで見ているうちに、やけにACのCMが多いことに気がつきました。


しかも、翌日以降も、そして現在でも、同じ内容ACのCMが何度もくり返し流されています。


これにより、はじめは「いいCMだな~」と思っていたCMの数々も、ついには「しつこい!」と感じるようになってしまいました。


もちろんそれは視聴者の方も同じで、大量に流れるACのCMに、ACには電話での抗議が殺到していたそうです。


抗議の内容は明らかにしていませんが、中には誤解に基づくものが多かったとのこと。


これに対し、ACは公式サイトで次のような謝罪文を掲載しました。


「東北地方太平洋沖地震」にあたってACジャパンのCM放送についてのお詫びとお知らせ


(社)ACジャパン

この度、東北地方太平洋沖地震で被災された皆様、ご関係者の皆様には謹んでお見舞い申し上げます。

現在、民放テレビ・ラジオ各局において、震災の報道の合間にACジャパンのCMが多数放送されております。

これらのCMは、ACジャパンの会員社である放送各局でACジャパンが制作した公共広告を放送していただくためにご提供し、放送局のご判断で必要と思われた場合にお使いいただく広告素材です。

未曾有の大惨事となったこの度のことを受けて、多くの企業がCMの放送を自粛され、ACジャパンのCMが放送されることになりました。

これらのCMは必ずしも非常時に対応できるようには作られておりません。

そのため、視聴者の皆様に大変ご不快な思いをおかけしましたことを、心より深くお詫び申し上げます。

現在、ACジャパンでは、「東北地方太平洋沖地震」で被災された方々を応援する臨時キャンペーンCMを企画・制作中でございます。

被災地の方々におかれましては、一日も早い復旧がなされますことをお祈りいたしますとともに、ACジャパンでは広告活動を通じて支援活動を続けていく所存でございます。

皆様には、何卒ご理解をいただきたくお願い申し上げます。 (原文のまま)


◆視聴者の抗議を受けて、放送局がCMの最後のサウンドロゴ「♪AC~」を削除する事態にも


現在でも、大量に流れているACのCMは、CMの内容もそうなんですが、特に私がしつこくてイライラすると感じたのは、ACのCMの最後に入るサウンドロゴ「♪AC(エーシー)~」の音声でした。


そう思ったのは私だけでなく、視聴者からも「♪AC~」のサウンドロゴがくり返し流れていることにも抗議が殺到していたそうです。


そのため、ACはこの件についてもお詫びを発表。


テレビ各局に、最後に入る「♪AC~」の音声の削除をお願いしたことで、最初は混在していたものの、現在ではサウンドロゴなしのACのCMのみとなりました。


これにより、ACのCMが流れても、しつこいとは感じつつも、まあ少しはイライラしないで済むようになりましたね。


◆ACのCMは無料で放送 テレビ局との間で金銭的なやりとりは一切発生していなかった


そもそも、いま現在でも、なぜACのCMが大量に流れているかというと、その大きな原因は、企業やメーカーのおよそ70%がCMのオンエアを自粛していたことによるものであったことがわかりました。


具体的に言うと、大震災の影響で予定されたCMを自粛するスポンサーが相次ぎ、その空白を埋めるため、テレビ局がACのCMを大量に使用していたのだそうです。


けれども、今回初めてわかったんですが、ACは広告を通じて社会貢献を行う団体で、CMは無料で放送されるとのこと。


さらにACは、マナーやモラル向上などといった社会啓発的なCMを年間13本制作しているだそうです。


その制作費は約1200社の加盟社から得られる年会費で賄っており、今回大量にCMを放送しても、テレビ局との間で金銭的なやりとりは一切発生していないということでした。


けれども、


「企業の自粛で余ったCM枠を買いあさっているのか?」


「そんなCMを流すのに税金を使うなら、少しでも被災地に回せ!」


と、視聴者からのACへの苦情の電話では、このことを知らずに、早とちりというか勘違いされていた方もおられたみたいですね。


◆大震災後のCMは、ACジャパンが70%、一般CMが30%のパーセンテージで流れていた?


けれども、別にテレビではACのCMばかりが流れていたわけではありません。


数は非常に少なかったですが、ステーション・ブレイク(番組と番組の間のCMのこと)や番組内でも見たことがあるCMがオンエアされていましたし、各地方局のローカルCMやイベントのお知らせのCMも、ACのCMに時々割り込む形で放送されていました。


ということは、大震災後のテレビCMのパーセンテージを、全体を100%とした場合、前の項目でもあったように、企業やメーカーの約70%が自粛していたことから、ACのCMが約70%。


全国で流れている一般CMと、地方局のローカルCM(イベントのお知らせも含む)と合わせて約30%でオンエアされていたことになるでしょうね?


その大量に流れていたACのCMも、大震災発生から3週間を迎えようとしていることから、資生堂、サントリーなどの大手企業にしても、資生堂は「エリクシールホワイト」、サントリーは「アセロラドリンク」の新CMのオンエアがスタートしていたのを見ることができました。


ですから、テレビ局も徐々にですが一般CMへと戻りつつあります。


それでも、私が見た限りでは、パーセンテージでいうとACが60%で、一般CMと地方局のCMが40%と、依然としてまだACのCMのほうが多く流れているように感じますけどね…。


◆テレビで一般のCMがオンエアされるのは、福島第一原発が落ち着いてから


毎日のように大量に流れているACのCMが流れ始めてから、もうすぐで3週間を迎えようとしています。


東北・関東大震災で被害に遭った被災地では、巨大地震により不通となっていた東北道が開通。


これにより、トラックによる支援物資の搬送も盛んになり、避難所の一部では仮設住宅の建設も始まりました。


被災者も、各地の避難所のうち、仮設住宅ができるまでということで、一時的に県外の公共施設や旅館などに一時的に避難をお願いする説明会が開かれ、一部の被災者がバスや車での集団移動を開始。


この前のニュースでは、一部の被災地でスーパーやコンビニの営業も再開されたとの話題も報じられました。


このように、被災地も被災者も、救済から支援、復旧から復興に向けて本格的に動き始めています。


それで、曲がりなりにもテレビCMのテーマを中心にブログを書いている私が気になったのは、一体いつになったらテレビで通常のCMに戻るのかということです。


これについては、3月17日に、日本民間放送連盟(民放連)の広瀬道貞会長が、東京都内で定例会見を行ない、テレビで一般のCMがオンエアされるようになるのは、福島第一原子力発電所(以下、福島第一原発)の状態が落ち着いてからとの見解を示したことがわかりました。


広瀬会長は、「原発事故がなければもう通常に戻る時期ですが、その問題をおろそかにして、CMをはさんだ放送になるというのは違うと思います」と説明したそうです。


あぁ~、通常のCMに戻るかどうかは福島第一原発の状態次第であるということなんですね…。


その福島第一原発の復旧作業は、現在一進一退をくり返しています。


しかも、放射能の放出は依然として続き、アメリカのスリーマイル島原発事故(※)を超える、国際原子力事象評価尺度 (INES) で言うところの「レベル6(大事故)」になることがわかりました。


★チョコっと一言!

ちなみに、いちばん高いレベルは「レベル7(深刻な事故)」で、みなさんもまだ記憶に新しいかもしれない、1986年のチェルノブイリ原子力発電事故がレベル7の参考事例とされています。


これにより、福島第一原発周辺はもちろんのこと、首都圏の水道水や野菜に放射能物質が次々と検出され、社会的不安は大きくなるばかりです。


福島第一原発の1号機と3号機は、原子炉を冷却するポンプが壊れている可能性が高いそうです。


この冷却ポンプを復旧させ、福島原発が安定するまでに、最低でも一ヶ月はかかると専門家は見ていました。


最新のニュースでは、福島第一原発の敷地内からプルトニウムが検出や、南放水口で3333倍にあたる放射性ヨウ素131(原子爆弾で発生する放射性同位元素の1つ)を検出。


第1号機の建屋の「たまり水」の排出をどうするかなどの問題に対し、日本政府はアメリカの協力を得て、事態収拾に向けた具体策の検討を本格化させています。


しかしながら、その間も放射能物質は出続け、放射能汚染は広がり続けることになります。


ですから私としては、一般CMの本格的な復活のためにも、できればなるべく早い時期に福島第一原発が落ち着き、終息していくことを祈るしかないでしょうね……。



次の記事では、現在オンエアされているACジャパンのCMの内容にスポットを当てて書いてみたいと思います。


※スリーマイル島原発事故

1979年3月28日に、アメリカ合衆国東北部ペンシルベニア州の「スリーマイル島原子力発電所」で発生した、重大な原子力事故のこと。


死者は出ていないんですが、国際原子力事象評価尺度 (INES) において「レベル5(事業所外へリスクを伴う事故)」の事例であったということでした。


★もうチョコっと一言!

フジテレビの豊田皓社長が3月25日、東京都内で定例会見を行ない、東北・関東大震災報道が発生直後から生放送で放送された震災特別番組が、3月11日午後2時49分37秒から3月14日午前4時までと、約61時間連続でCMなしだったことを明かしました。


これは、昭和天皇崩御の46時間にもわたる特別番組や、阪神・淡路大震災発生後の震災特別番組の36時間などを超えて、フジテレビでは最長となったとのことです。


でも…、いやいやいや…、たしかにスポンサーあっての民放のテレビ局が61時間連続でCMを放送しなかったというのはスゴイことではあると思いますが、いまのフジテレビにとってそんなことを自慢している場合ではないはずです。


なぜなら、私を含めたネットのユーザーさんにとっては、フジテレビの震災特別番組で、管首相が首相官邸で行なった国民に向けてのメッセージの生放送で、「ふざけんなよ~、また原発の話なんだろどうせ」「あー笑えてきた」という音声が入っていた男性と女性が誰だったのか、その名前を明らかにし、それに対する社長からの謝罪を求めているからです


もしネットのユーザーさんが本気になって抗議し、フジテレビの音声混入の件で「BPO(放送倫理番組向上機構)」に送られることになったとしたら、それこそ豊田社長の辞任ということにもなりかねないくらいの大失態であり、大きな問題なんですからね。