私が4歳ぐらいの頃だったと思う。
祖母の家に数日泊まっていたある日。(数日泊まらされていたことにも理由があった)
「おじいちゃんが死んだからお葬式をする。すぐ帰っておいで。」
と連れ戻されました。
4歳の子どもだった当時は何の疑問ももたないこの話。
葬式には親戚や近所の人が来たこと
精進落としの料理が数日続いたこと
しばらく線香の匂いが家中にしていたこと
棺の中に知らないおじさんが寝ていたこと
これぐらいの断片的な記憶。
後に
棺の中の知らないおじさんは父親の父親(私の祖父)だということ
祖母とは離婚して生家には帰らず一人で暮らしていたこと
ひいじいちゃんがひいばあちゃんと再婚し、前妻と一緒に生家を追い出されていたこと
そのことでひばあちゃんやひじいちゃんとは相当な確執があったこと
随分前(祖母と結婚した頃?する前から?)からアルコール依存症(当時はアルコール中毒、アル中と呼ばれていた)になってひいばあちゃんに金の無心をしていたこと
などを聞かされました。
後の話は
私が小学6年生になった頃、何気なく
「ねえ、どうしておじいちゃんとおばあちゃんが私にはいるのに一緒に住んでなかったの?お父さんのお母さんなのにどうしておばあちゃんとおばさんは苗字がちがうの?」
とひいばあちゃんに尋ねた時に聞いた話です。
ひいばあちゃんは淡々と話してくれました。
話を聴いた時、しばらく涙が止まらなかったのを覚えています。

当時のジェノグラム。
父親のこと①でも少し祖父には触れています。私の父親は
縁遠かった父親の
葬式を出した
脅されて金をむしり取られたひいばあちゃんも
葬式には参列していた。(当時はことのいきさつを私は知らない)
どんな思いで死者を送ったのか?
その後我が家の仏壇に仲間入りした祖父の位牌を
どんな思いで見ていたのか?
その当時
父親は何を思ったのだろう?
父親は祖父のことは何も語りませんでした。
語りたくなかったのか、語れなかったのか。
そして
この祖父は
私の生家の先祖代々の墓地に眠っています。
母親は供養すべき新しい仏ができたので
より一層先祖供養に精を出すようになります。
しかし父親のギャンブルはおさまりません。
葬式を段取りしたのも
その後の埋葬やらも
殆どは母親がとり仕切ったのだそうです。(と、愚痴として母親からその後私は聞きました。)
祖父については消息不明で
亡くなる1週間前に
入院先の病院から連絡があったのが最初で最期です。
享年52歳。
アルコール依存症患者の平均寿命と言われている年齢でこの世を去りました。
2代にわたる依存症の家族。
私のルーツはこの家にあるのだということの重大さを
受け止めることができるようになったのは
この自分史を書き始める
ほんの1年ほど前です。
ソーシャルワーカーとして
依存症の当事者の話を聴く機会が増えてから。
それまでは思い出しもしなかった二つの依存症です。
精神保健福祉士の資格を取得してから
5年以上が経っていましたが
「依存症のことは良くわからないから勉強しなくっちゃ」
(まじめかっ!)
とさえ本気で思っていました。そして研修に行ったり、本を読んだり…。
え?私の家のこと?イネイブラーってひいばあちゃんや母親のこと?
私は…?
でも、これがリアルなんだと思います。
向き合う準備ができていない限りは情報として頭に入ってくるだけでちっとも心に刺さらない。
依存症については「治療しようと決断した、覚悟を決めた」当事者やその家族、一部の支援者の間では知られていることでも
一般社会や治療につながっていない当事者家族がしらないことがあまりにも多い。
「否認の病」とも言われ、当事者も家族もまさか脳の病気だなんて考えもしない。
でも当事者、巻き込まれた家族や周囲の人の人生には少なからず影響を及ぼす。
しかもあまりよろしくない影響を。
私は私自身の人生を生きながら
そして
対人援助の仕事をしている者として
ちょっとすれ違いの家族として
1人でも多くの
依存症やその他の人生の課題を持つ人が
気がつくように
向き合う準備ができるように
やり直しができるように
そう願っています
少しのお手伝いをすることができる今を
生きようと思います。
*以下、自分史には書く予定がなかった内容ですが最近のニュースに対しての私の個人的な考えです。
最近、強制わいせつ事件を起こした元アイドルグループのメンバーのマスコミ報道を見聞きするたびに心が痛みます。
断罪することや他のタレントさんが好き勝手持論を言う、それがテレビでそれが彼らのお仕事なのかもしれません。
アルコールの問題は暴力や窃盗、今回の強制わいせつなど色んな哀しい事件、事故の元になる事は事実です。
もう一つ知っておいてほしい事実があります。
アルコールの問題は自殺とも大いに関連しています。
憔悴しきっている人に追い打ちをかけて
万が一
自殺ということになったとしても
それを
「自業自得」
と切り捨てるのだろうか?
自殺の可能性まで理解してテレビでしゃべっている有名人がどれくらいいるのだろう。
人生や命をマスコミ報道は左右していることを覚悟して欲しいと個人的には思います。
そして
事件を起こしてしまった方も
アルコールや嗜癖の問題を
きちんと課題として受け止めて
回復に向かってほしいと思います。