こんにちは、ないとめあです。

今日もブログにお越しいただきありがとうございます。

 

 ホルムズ海峡の封鎖は「軍事的に解除できる問題」から「政治的解決なしには構造的に解消不能な問題」へと質的に変化しつつある。

■ 封鎖を問題的に分解

 

 まず前提として、「封鎖を解く」という言葉が何を意味するかを整理する必要がある。封鎖は単一の事象ではなく、以下の三層で構成されている。

 

第一層:正規海軍による組織的封鎖

 フリゲート・コルベット艦による艦隊運用がこれにあたる。米中央軍(CENTCOM)は3月11日までに60隻以上のイラン海軍艦艇を撃沈しており、この層はほぼ解消されつつある。

 

第二層:IRGC(革命防衛隊)による非対称戦封鎖

 小型艇・機雷・沿岸ミサイルによる脅威である。ここが現在の問題の核心だ。IRGCは小型艇・機雷敷設艇の推定80〜90%を依然保有しており、機雷在庫は約2,000発とされる。小型艇一隻・機雷一発で民間船は停止する。この非対称性が「徹底的破壊」論の根本的欠陥である。

 

第三層:保険・市場による事実上の封鎖

 保険会社が引き上げることで、民間船が自発的に通航を回避する。これは正式な封鎖宣言がなくとも機能する。そしてこの層が最後まで残る。

■ 米国の保険引き受け表明は単なる政治的シグナルに過ぎない

 

 トランプ大統領はDFC(米国際開発金融公社)に対し、湾岸通過船舶への政治リスク保険提供を命じ、Chubbを主幹事とする200億ドル規模の再保険ファシリティが設立された。表明は本物だ。しかし実効性には三重の問題がある。

 

①制度的ミスマッチ

 DFCの本来の機能は途上国向け開発案件の政治リスク保険であり、実弾攻撃リスクをカバーする設計になっていない。

 

②軍事エスコートの不在

 米海軍当局者はすでに非公式に、タンカー護衛の余力がないことを業界に伝えている。

 

③保険では船員の安全は保証されない

 業界関係者が明確に述べているように、乗組員を戦場に送ることへの安全懸念は保険の存在だけでは解消されない。発表から約10日が経過した現在も、海峡通航はほぼゼロのままだ。現実が答えを出している。

■ 2万〜6万人の船員が洋上に閉じ込められている

 

 これは数字の問題ではなく、人道的危機として認識すべきだ。IMO事務局長は約2万人の船員が足止めされていると発表しているが、3,000隻超の船舶が洋上待機を強いられているという報告もあり、最大6万人に達する可能性がある。すでに少なくとも6名の船員が死亡している。

 コロナ禍の足止め問題との比較で見ると、今回は質的に深刻だ。攻撃される可能性がある状況での長期拘束はPTSDの発症リスクを大幅に高める。出口が見えないという不確実性が精神的苦痛を増幅する。そして代替乗組員の派遣自体が危険なため、乗組員交代も困難だ。

 船員の多くはフィリピン・インド・ミャンマー出身の低賃金労働者である。彼らの送金が止まることは、フィリピンのように送金がGDPの約9%を占める国にとって、国内経済への直撃を意味する。これは「エネルギー問題」の裏側に存在する、見えにくい人道・経済危機だ。

■ 「徹底的破壊」は出口のない罠

 

 停戦の見通しが立たない現状で、「徹底的にイランを破壊するしかない」という論が出てくるのは理解できる。しかしこれは軍事的に非完結性という根本的欠陥を抱えている。

 イランの沿岸ミサイル陣地は地下・山岳部に分散配備されており、空爆による完全破壊は極めて困難だ。機雷在庫は小型艇や潜水艦での敷設が可能なため、全滅させることはほぼ不可能だ。そして機雷敷設という行為を実行する「人間」は、空爆では排除できない。

 地上侵攻はどうか。イランの国土は日本の約4.3倍、人口8,500万人、山岳地形が国土の大半を占め、IRGCは非対称戦を前提に訓練されている。アフガニスタン・イラクの教訓を踏まえれば、数十万規模の兵力・数年単位の時間・数兆ドルの費用を必要とする。トランプ政権にその政治的基盤はない。

 さらに本質的な問題がある。イランの指導部の家族を含む大量殺害は、イスラム的文脈でシャヒード(殉教者)を量産する行為だ。殉教者は敗北の象徴ではなく勝利の象徴として機能する。和平に応じることが「殉教者たちを裏切ること」になるため、新指導部が仮に交渉を望んでも国内的に正当化できない構造が生まれてしまった。これは取り返しのつかないことだ。

■ 日本の対応はどうなるのか?

 

 日本はこの危機を引き起こした為政者ではない。しかし最大級の「コストの負担を強いられる者」の一人だ。中東依存度約90%・石油備蓄約260日という構造的脆弱性は以前から指摘されていたが、政治的課題として本格化しなかった。

 今回の危機で必要なのは、米国から独立した中東外交チャンネル、エネルギー多角化の即時推進、そして場合によっては対米批判を公言できる政治的胆力だ。しかし現在の日本の政治を見ると、これらを同時に実行できる指導者の像が見えてこない。

 安倍元首相はトランプへの個人的アクセスという属人的手段でこの矛盾を部分的に補っていた。その緩衝機能が失われた今、誰がその役割を果たすのかという問いに日本の政治は答えを出せていない。

 残念ながら、この危機を正面から受けることになるだろう。過度の円高を阻止するために利上げをする必要もあるだろう。円買い介入も有効かもしれないが外貨準備高を減らすのは後々に不利になる可能性がある。介入は利上げしても過度の円安が解消できない場合に発動するのが良いだろう。円安を緩和することで価格を抑える方向に持っていく必要がある。

 

 円安でほくほくなどと言っている場合ではない

■ 封鎖解消の現実的経路

 

 「封鎖の解消が不可能」状態は、軍事的意味と経済的意味で大きく異なる。整理すると以下の通りだ。

 

軍事的制海権の確立(IRGCの行動抑止)

 政治的決着なければ、数ヶ月〜半年、あるいは無期限

機雷の完全除去

 楽観シナリオで3〜4ヶ月、現実的には半年以上、除去しても再敷設リスクが継続

民間船の通常運航再開

 停戦合意後2〜4ヶ月、停戦なければ無期限

 

 現実的な出口は三つしかない。イラン体制の内部崩壊中国による本格的仲介、そして「核開発一時停止」と「封鎖解除」をセットにした限定的停戦合意だ。最後の経路が最も現実的だが、現在の米・イラン双方にそのコストを払える指導者がいるかどうかが最大の不確実性だ。

 軍事的優勢は確立されつつある。しかし軍事的優勢は「封鎖解消」を意味しない。この区別を見誤ると、今後の事態の深刻さを過小評価することになる。

 

では、また!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは!こんばんは!

ないとめあです。

ご訪問ありがとうございます。

 

税抜き0.387%(年利0.774%)でした!てへぺろ

まだ、年利1%を突破できていません...

 

では、また!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは、ないとめあです。

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「戦争になれば金(ゴールド)が上がる」という話はよく聞きます。ところが、2026年2月28日の米・イスラエルによるイラン攻撃後、金も株も同時に下落するという、一見不思議な動きが起きました。

 日本経済新聞の報道によれば、ニューヨーク金先物(中心限月)は3月11日に1トロイオンス5,170ドルほどと、イラン攻撃前より1%超下落しています。「有事の金」の法則はどこへ行ったのでしょうか?

■「戦争=金上昇」は単純化しすぎ

 まず前提の誤解を解きましょう。金が上がる条件は「戦争」そのものではなく、より正確には次のような状況です。

  • 不確実性の高まり(戦争勃発、緊張エスカレート時)
  • ドル安・インフレ懸念の強まり
  • 株式市場の急落や信用不安

 つまり金は「リスクオフの受け皿」として買われるのであり、戦争というイベント自体に反応するわけではありません。重要なのは「不確実性がいつ最大になるか」という時間軸です。

■攻撃直前はむしろ金が上昇していた

 実際、攻撃前の緊張局面では金はすでに大きく動いていました。Bloombergの報道では、攻撃当日(3月1日)の市場開始直後に金相場は約2%上昇し、1オンス5,300ドルを超える水準で推移していました。また、2026年に入ってから攻撃前の時点で金は既に20%以上値上がりしていたというデータもあります。

つまり「有事の金」の恩恵は、攻撃前の緊張局面ですでに享受済みだった、ということです。

■攻撃後に下がった3つの理由(分析)

以下は市場データと状況から導いた分析です。

 

① "Buy the rumor, sell the fact"(噂で買い、事実で売り)

 マネックス証券のレポートでも、「Sell on the rumor, buy on the fact(噂で売って、事実で買う)という展開」という表現で同様の動きが指摘されています。攻撃が実施されて「最悪シナリオが回避された」「限定的な打撃で終わった」と市場が解釈すれば、事前に積み上げたロングポジションを利益確定する動きが集中するのは合理的です。

 

② 損失補填のための換金売り

 日経新聞によれば、金融市場の変動性が急激に高まり、損失を補填するために金を売ったことが一因と報じられています。株や原油など他の資産で損が出た投資家が、値上がりしていた金を現金化したという動きです。これは推測ではなく、市場参加者の行動として実際に観測された動きです。

 

③ ドル高が金の重荷に

 有事には「質への逃避先がドル(キャッシュ)」になるケースがあります。ドルが買われれば、ドル建てで取引される金は相対的に割高になり売られやすくなります。日経報道でも「ドル高や金利上昇という逆風」が金の軟調の要因として挙げられています。

■歴史が示すパターン

 大和アセットマネジメントのレポートでは、第四次中東戦争、イラン・イスラム革命、イラクのクウェート侵攻のいずれも、動乱をきっかけに原油価格が急騰し米国株式市場が下落傾向に陥ったという過去の事例が整理されています。

金の動きを局面別に整理すると、おおよそ以下のパターンが繰り返されています。

局面 金の動き
緊張エスカレート前(噂段階) ↑ 上昇しやすい
攻撃実施・事態が明確化した直後 ↓ 下落しやすい
長期化・泥沼化した場合 ↑ 再上昇しやすい

 今回の「攻撃直後に下落」は、このパターンの「②段階」にあたり、むしろ歴史の繰り返しとも言えます。

■今後の注目点

 現時点での筆者の見立てでは、今後の金価格は事態の長期化・エスカレーションがカギを握ります。

 SBI証券のレポートによれば、イランがドローン攻撃でサウジアラビアのラスタヌラ製油所やカタールのLNG関連施設を攻撃し操業停止したとの報道もあります。報復の連鎖が続くならば、エネルギー供給不安→インフレ懸念→金再上昇というシナリオは十分あり得ます。

 一方で、大和アセットマネジメントの分析では、トランプ大統領が「4〜5週間で作戦終了」と述べており、長期戦を避けたい意向が見えるとも指摘されています。短期終結となれば、金の再上昇は限定的にとどまる可能性もあります。

 

結果:「有事の金」は正しいが、タイミングが命。金が輝くのは「戦争中」ではなく「戦争前夜」。攻撃が実施された瞬間から、市場は次のシナリオを先読みして動きます。今後はイランの出方と事態の長期化・短期収束のどちらに向かうかを注視する必要があります。


【主要参照元】
日本経済新聞「有事で輝けない金、イラン攻撃後1%安」(2026/3/12)
Bloomberg「米国のイラン攻撃と商品・金融市場の動向」ライブブログ(2026/3/1)
マネックス証券「イラン攻撃で揺れる株式・為替市場の行方」(2026/3/2)
大和アセットマネジメント「米国のイラン攻撃が米株相場に与える影響」(2026/3/3)
SBI証券「今後のイランをめぐるシナリオと日経平均の見通し」(2026/3/3)

 

では、また!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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■ 現在の原油価格は想定以上の水準

3月15日(日)時点の原油価格 EIA Bloomberg
・WTI先物:$98.71(+3.11%)、日中高値$99.32
・ブレント先物:$103.14、日中高値$103.95


ブレントはすでに$100の大台を突破した状態で週明けを迎える。
 
 Bloomberg 3/13 3月9日(月)にWTIが週間騰落率で史上最大の+35.6%を記録。ブレントは$108.20まで急騰し、52週高値は$119.50に達した。また、イランはホルムズ海峡を引き続き実効封鎖する方針を表明し、投資家は今後の混乱に備えている。
 
EIA(米エネルギー省)の公式見解(3/10発表
EIA STEO 2026年3月 全文PDF
 ホルムズ海峡の輸送量低下と中東産油量の急減を受け、EIAはブレントについて今後2ヶ月間は$95以上を維持すると予測。3月9日のブレント終値は年初来+50%となっていた。なお、EIAの予測は「ホルムズ通航が段階的に回復する」というモデル前提に基づくものであり、封鎖が長期化した場合は上振れリスクがある。
 
日経平均・日本市場(3/9〜14)
Bloomberg JP 3/9 日経 先物3/14 日経 市場データ
・3月9日:日経平均とTOPIXが5%超下落、2月27日の最高値から10%超下落し調整局面入り。超長期金利が急上昇、円は158円台後半と約1ヵ月半ぶりの安値。
・3月13日大引け:日経平均633円安の5万3,819円(-1.16%)と続落。幻のSQ出現。
・3月14日早朝(夜間取引):日経平均先物460円安の5万2,910円で終了。

■ なぜ「ブラックマンデー級」の可能性が高まったのか

① 「ショック吸収済み」ではない(分析)

 3月9日の急騰後もブレントが$103まで上昇し続けているという事実は、「市場の価格発見フェーズがまだ終わっていない」ことを強く示唆する。
 通常の地政学リスクは「ショック → 織り込み → 落ち着き」のパターンをたどるが、ホルムズ封鎖が継続している限り、毎週新たなサプライズが発生する構造になっている。今回は「一過性の急騰」ではなく、「慢性的なエネルギー危機」への移行を市場が認識し始めている可能性が高い。

② 日本への影響が構造的に深刻

構造的事実
・日本の原油輸入の約90%が中東依存
・戦略備蓄は約260日分(平時)
・ブレント$103 × ドル円155円 ≒ 1バレル約1万6,000円という異常な水準
 エネルギーコスト上昇 → 輸送・製造コスト全般の上昇 → 企業収益の圧迫という連鎖が避けられない。さらに円安が同時進行すれば、「輸入インフレ+景気悪化」のスタグフレーション懸念が日本株を他国よりも深く売り込む材料になりえる。これは日本市場固有の構造的脆弱性である(分析)。

③ 先物・SQの歪みが月曜の波乱要因に

 3月14日(金)の取引では「幻のSQ(特別清算指数)」が出現したとの報道があり、日経平均先物の夜間取引は460円安の5万2,910円で終了。
 3月物先物・オプションの清算が絡んでいる場合、月曜寄り付きに投げ売りが集中するリスクがある。SQ後の需給の空白と原油高が重なれば、通常より大きな値動きになりやすい地合いが形成されている(分析)。

■ シナリオ別確率(前週比較)

シナリオ 下落率の目安 前週の評価 今週の評価
小幅続落 -1〜3% 最も可能性高い メインシナリオ(維持)
急落 -3〜7% 警戒レベル 警戒レベル(引き上げ)
ブラックマンデー級 -10%超 低い 「低くはない」に修正

■ ブラックマンデー級になりえる条件(推論)

以下の条件が複数重なった場合、歴史的な急落が起きるかもw
  • 週末(3/15)に新たなエスカレーションが報道される(米軍の地上作戦開始、イランによる核施設防衛宣言など)
  • ブレント$110超で月曜寄り付きが確認される
  • VIX(恐怖指数)の急騰と円高同時発生によるリスクオフの連鎖
  • 日本の主要企業による業績下方修正の連鎖的な発表

■ 逆方向リスク(急反発の可能性)も存在

 テクニカル分析では、WTI$90〜$95に大きな流動性の空白(ギャップ)が存在するとされており、停戦合意や主要国による緊急備蓄(SPR)の協調放出があれば、原油が$20急落するリスクも同時に存在する。
 この双方向の不安定性こそが現在の市場の本質的な特徴であり、「急落」だけでなく「急反発」も同様に起きやすい地合いであることを忘れてはならない。いずれにせよ、ボラティリティ(価格変動幅)は通常の数倍に拡大していると見るべきだろう(分析)。

■ 結論と投資家へのメッセージ

週明け3月16日(月)は...たぶん

  • 小幅続落(-1〜3%)がメインシナリオではあるものの
  • 急落(-3〜7%)の確率が前週比で明確に上昇
  • ブラックマンデー級(-10%超)も「低くはない」リスクとして認識すべき水準

 ホルムズ危機が「一時的なショック」ではなく「構造的な供給制約」として市場に認識され始めている今、単純なバイ・アンド・ホールド戦略は再点検が求められる局面に入っている。

では、また!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは、ないとめあです。

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 2026年3月12日、高市早苗首相が中東諸国の駐日大使らとの面会と、ラマダン期間中のイフタール食事会を欠席しました。理由は「風邪の疑い」です。

 今、日本がどういう状況に置かれているかを考えてください。日本のエネルギー供給の根幹を担うホルムズ海峡が、今まさに危機的な状況にあります。そのような時期に、首相がエネルギー供給の根幹を握るGCC(湾岸協力会議)加盟国——サウジアラビア、UAE、オマーンなど——の大使たちとの面会をキャンセルしたのです。

 当日の状況を確認しましょう。首相はこの日午前9時から衆院予算委員会に出席し、午後6時過ぎまで答弁に立ちました。予算委終了後にはしばらく席から立ち上がれず、心配した閣僚らが気遣う場面もあったといいます。その後、医務官の診察を約10分受け、中東大使との面会は木原稔官房長官が代理で対応しました。

出典:

 日テレNEWS・ライブドアニュース https://news.livedoor.com/article/detail/30753869/

 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA129U10S6A310C2000000/

 時事通信 https://www.jiji.com/jc/article?k=2026031201165&g=pol

 

 体調不良であること自体は否定しません。しかし、問題はこの欠席の相手が誰だったかです。しかもこの欠席が問われるのは、高市首相自身の言葉があるからです。高市氏は2025年10月4日、自民党総裁選勝利後にこう宣言しました。

「私自身、ワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて、働いて、働いて、働いて、働いていきます」

 この発言は2025年の新語・流行語大賞の年間大賞を受賞するほど広く知られたものです。首相自身も首相官邸での記者会見でこの言葉を繰り返し使用しています。

出典:

 日経新聞・流行語大賞報道 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA013X10R01C25A2000000/

 首相官邸・記者会見 https://www.kantei.go.jp/jp/104/statement/2026/0119kaiken.html

 

 民間企業に置き換えて考えてみてください。会社の資金繰りが危機的な状況で、最重要取引先の担当者たちとの面会を、社長が「風邪気味だから」という理由でキャンセルし、副社長に任せたとしたら、あなたはどう思いますか。

 

「それでいい」と思う人はほとんどいないでしょう。

 

 問題は優先順位です。首脳が自ら対話することで伝わるメッセージがあります。それを「風邪の疑い」という段階で手放したことは、リーダーとしての覚悟に疑問符をつけざるを得ません。「働いて働いて」と言うなら、まさにこういう時こそ、その言葉を体現すべきではなかったでしょうか。

 今回の件は、単なる体調不良の問題ではありません。国家の最高責任者が、エネルギー安全保障という国家存亡に関わりかねない危機の局面で、何を優先するかという問題です。その判断が「個人の体調」を優先したように見えてしまうことが、最も深刻な問題だと私は思います。「働いて働いて」と言える首相なら、こういう局面でこそ、その言葉の意味を見せてほしかった。

 

では、また!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 イランへの軍事攻撃、ウクライナ戦争、中国への経済封鎖。これらはバラバラな出来事に見えますが、実は同じひとつの論理から派生しています。それは「アメリカのコントロールシステムを維持する」という論理です。


■ ペトロダラー防衛は「目的」ではなく「手段のひとつ」

 よく「アメリカは原油のドル建て取引(ペトロダラー)を守るために戦争をしている」と言われます。しかしこれは正確ではありません。より正確には、アメリカは以下のような多層的なコントロールシステムを持っており、ペトロダラーはその一部に過ぎないのです。

分野 手段
軍事 世界各地の基地ネットワーク・NATO・二国間同盟
金融 ドル基軸・SWIFT・IMF・世界銀行
政治 親米政権の維持・体制転換工作
情報 メディア・文化的覇権

このシステムから「逸脱」しようとした国が、例外なく標的にされてきました。


■ 「敵対国認定」のパターン――共通するのは「コントロール不能」

 アメリカが敵対国と認定する基準は、大量破壊兵器でも民主主義の有無でもありません。「アメリカの言うことを聞かなくなったかどうか」です。

イラク(フセイン政権)

 1980年代はアメリカの支援対象。1990年クウェート侵攻で敵対国に転落。2000年にユーロ建て原油取引を開始(制裁下での選択の余地がない結果)。2003年、イラク戦争で政権崩壊。

リビア(カダフィ政権)

 アフリカ統一通貨(金ディナール)構想を提唱。2011年NATOの軍事介入→政権崩壊・カダフィ殺害。

イラン

1953年:モサデク首相が石油国有化→CIAがクーデターを支援し打倒
1979年:イスラム革命で親米政権崩壊。ここが敵対国認定の真の起点
2012年:SWIFTから排除→人民元・ルーブル決済にシフトせざるを得なかった
2023年:上海協力機構(SCO)に正式加盟

🔄 自己強化サイクル:アメリカが先にドルシステムから排除→代替通貨取引が生まれる→それがさらなる敵対の口実になる


■ 核の脅威論は選択的に適用される

イランの核問題について、事実を整理しておきます。

項目 数値
JCPOA合意時のイランの濃縮度上限 3.67%以下
核兵器級に必要な濃縮度 90%以上
日本のプルトニウム保有量(2023年) 約44トン(核兵器5,000発分以上)

 第一次トランプ政権が2018年に一方的に合意を離脱しなければ、査察体制が維持され、兵器化は構造的に困難だったはずです。核の脅威をアメリカ自身が拡大させたという皮肉な構造があります。

参考:JCPOA概要(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000091560.pdf

参考:内閣府 プルトニウム管理状況
https://www.nsr.go.jp/data/000417736.pdf

この非対称性はコントロールの有無以外では説明できません

コントロール可能な国 → 核保有も黙認(日本・韓国・イスラエル)
コントロール不能な国 → 通常兵器でも「脅威」認定


■ 日本は「事実上の占領状態」にある

 日本のプルトニウムが許容される理由は、日本が今も事実上の占領状態にあるからです。

  • 日米地位協定(1960年):米軍は日本の国内法に原則として拘束されない
  • 日本政府は米軍基地の使用を拒否できない構造
  • 敗戦後の憲法原案はGHQが9日間で作成

参考:日米地位協定(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/pdfs/sfa.pdf

⚠️ 推論:示唆的なパターン

 田中角栄(ロッキード事件)、鳩山由紀夫(普天間移設問題での失脚)——アメリカの意向に反しようとした政治家の末路。直接的証拠はありませんが、偶然の一致とは言いにくいパターンがあります。

 日本のプルトニウムは「日本が核を持つ」のではなく、「アメリカが日本という土台に核能力を置いている」と見るべきかもしれません。


■ アメリカ帝国の革新性(コストを同盟国に外部化)

帝国タイプ 支配方法 コスト負担
従来型
(ローマ・英国)
領土を直接支配 帝国中枢が負担
アメリカ型 制度・金融・同盟でコントロール 同盟国に外部化

日本への負担転嫁の具体例:

  • プラザ合意(1985年):円高を強制→日本の輸出競争力を削ぐ
  • FMS(対外有償軍事援助):言い値でのアメリカ製兵器購入を強制
  • 防衛費増額圧力:岸田政権がGDP比2%への倍増を決定
  • 今回のイラン攻撃:原油高のダメージは輸入依存の日本が最大級に被る一方、アメリカのエネルギー企業は利益増大


■ 大国への対応(直接戦争できない相手には間接戦略)

ロシア → 代理戦争による消耗

 ウクライナを代理戦場として使いロシアを消耗させる。バイデン政権高官が「ロシアを弱体化させる」と公言。SWIFTからの排除、約3,000億ドルの外貨準備凍結を同時実施。

中国 → 技術封鎖・同盟包囲・内部侵食

 半導体・先端技術の輸出規制、台湾問題の緊張維持、QUAD・AUKUSによる封じ込め、新疆・香港問題による正当性侵食——ソ連崩壊の再現を中国に試みていると読めます。

共通する論理:手段は異なりますが、すべて「コントロールシステムへの挑戦者を潰す」という単一の論理から派生しています。


■ 帝国の過剰拡張と、コロナ禍という転換点

レイ・ダリオは著書「変化する世界秩序」で帝国衰退のサイクルを示しています。

台頭 → 繁栄 → 過剰拡張 → 債務爆発 → 通貨毀損 → 衰退

アメリカは現在「債務爆発→通貨毀損」の段階にあると見られます。

指標 数値
コロナ前の国家債務 約23兆ドル
現在の国家債務 約36兆ドル(GDP比120%超)
正常化時の年間利払い 1兆ドル超

参考:米国財務省 国家債務データ
https://fiscaldata.treasury.gov/datasets/debt-to-the-penny/


■ 日米相互破綻リスク(「道連れ構造」の恐怖)

日本の米国債保有:約1.1兆ドル(世界最大)

 これは一見「日本の資産」ですが、実態は相互確証破壊の経済版です。

  • 日本が米国債を大量売却すれば → 米国債価格暴落・金利急騰 → アメリカ財政が即座に危機
  • 円安が限界を超えると日本が売却を余儀なくされる → それがアメリカ国債市場を直撃
  • 日銀が金利を上げれば円安は止まるが → 日本の財政が危機(国債利払い急増)

支配者と被支配者が共倒れするリスクを内包した従属関係

帝国史上かなり特異な構造

日本の場合は構造上、離反する前に道連れになる経路の方が現実的かもしれません。


■ まとめ

  • アメリカの戦争の本質は「ペトロダラー防衛」ではなく「コントロールシステムの維持」
  • 核・大量破壊兵器は口実のレパートリーであり、判断基準ではない
  • ドルシステムからの排除 → 代替通貨取引 → 軍事的口実、という自己強化サイクル
  • アメリカはコストを同盟国に外部化することで過剰拡張の限界を先送りしてきた
  • コロナ禍での財政出動が「返せない債務」という臨界点を現実のものにした
  • 日本はアメリカ衰退時に道連れになるリスクを最も強く抱えている

 「アメリカが悪か」という問いに対して悪意というより、帝国は帝国の論理で動くと言う方が正確でしょう。問題はその論理を「民主主義」「自由」「安全保障」という普遍的価値観で包んで正当化し、その価値観を日本も含めて多くの国が内面化してしまっていることです。

 レイダリオが指摘するように、帝国衰退の最終段階では同盟国が離反するか道連れになるかの二択に追い込まれます。日本はその分岐点をいつ、どう認識するかそれが問われる局面に来ていると思います。

 

※本記事の分析には推論・仮説を含む部分があります。推論と明記した箇所については、状況証拠に基づく解釈であり確定的事実ではありません。

 

では、また!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは、ないとめあです。

今日もブログにお越しいただきありがとうございます。

 2026年2月28日、米・イスラエルによるイラン攻撃を契機にホルムズ海峡は事実上封鎖状態となった。原油価格は急騰し、日本の大手海運各社は通峡を停止。わずか10日間で、日本経済は構造的な脆弱性を一気に露呈する局面へと追い込まれつつある。

事実確認

 まずは報道ベースで確認できている事実

【事実①】海峡通過がほぼ消滅
 合同海洋情報センター(JMIC)の3月6日付レポートによれば、ホルムズ海峡の商業通航は過去24時間で2件にとどまり、いずれも原油タンカーではなく貨物船だった。通常は1日あたり138隻前後が行き交う要衝が、実質的な機能停止状態に陥っている。日本郵船・川崎汽船など大手海運は通峡を停止。ペルシャ湾内には日本関係船舶44隻が立ち往生し、そのうち約3分の2が原油タンカー・LNG船だとされる。

📎 出典:Bloomberg「ホルムズ海峡の船舶通航がほぼ完全に停止-JMIC」(2026年3月6日) / 物流Today(2026年3月)
【事実②】原油価格の急騰と湾岸産油国の減産
 WTIブレント原油は3月6日時点で92ドル台に達し、週間上昇率は28%に及んだ。3月9日時点では120ドルに迫った。UAE・クウェート・イラクが相次いで減産を開始しており、供給不安は湾岸全体に広がっている。日本向け原油1400万バレルがペルシャ湾内で動けない状態にあるとの報道もある。

📎 出典:物流Today(2026年3月)
【事実③】日本の産業への波及が始まった
 三菱ケミカルグループが3月6日から茨城県の鹿島エチレンプラントの稼働率を引き下げた。出光興産も山口・千葉のエチレン設備について、封鎖長期化なら停止の可能性を取引先に通知した。この2設備の合計生産能力は国内全体の約16%に相当する。ナフサ在庫は国内に約20日分しかない。

📎 出典:日本経済新聞(2026年3月9日) / Bloomberg(2026年3月9日) / 時事通信(2026年3月9日)
【事実④】政府は備蓄放出の「準備」段階へ
 経済産業省が3月9日、国内10カ所の石油備蓄基地に放出準備を指示した。正式な放出決定はまだ行われていないが、G7財務相会合(3月9日)では備蓄放出を含む必要な対応を講じることで合意した。日本の現在の備蓄は国家146日分・民間101日分・産油国共同7日分の合計254日分。ただしこのクッションが何ヵ月で機能するかは封鎖の長期化度合いによる。

📎 出典:物流Today(2026年3月)
【事実⑤】直前までのインフレ指標
 2026年1月のコアCPIは前年比2.0%で、日銀の2%目標内に一時的に収まっていた。これはガソリン旧暫定税率廃止・高校授業料無償化などの制度的な押し下げ効果によるものであり、エネルギー価格の抑制策という「防波堤」は既に剥落しつつある状況での危機到来となった。

半年後のインフレが3%超えか?

半年後にインフレが3%を超えるかを分析する。

【分析】 原油価格が現在の90ドル~120ドル前後へ上がり長期化すると仮定した場合、日本のインフレへの波及は2段階で起きると考える。第1段階はガソリン・電気・ガス料金への直接転嫁(1〜2ヵ月)、第2段階は物流コスト上昇から食品・日用品・工業製品への価格転嫁(3〜6ヵ月のタイムラグ)だ。コアCPIが2.0%で推移していたベースラインに、エネルギー価格急騰の寄与分が上乗せされるため、3%超えは封鎖継続を前提とすれば「十分あり得るシナリオ」となる。ただしこれはあくまで「封鎖が長期化した場合」の条件付き推論であり、確定的な予測ではない。

ナフサ・LNG問題

 原油だけでなく、ナフサとLNGの供給途絶も深刻だ。日本のナフサ在庫はわずか約20日分しかない。エチレン減産が進めば、プラスチック製品・包装材・部品など川下産業全体に影響が及ぶ。さらに世界のLNG供給の約20%を占めるカタールが3月2日にイランのドローン攻撃を受けてLNG生産を停止し、フォースマジュール(不可抗力条項)を宣言した。欧州ガス先物は50%近く急騰しており、日本のLNG調達にも直撃する。これは「エネルギーインフレ」に止まらない第二波のコストプッシュ圧力になる。
📎 出典:Bloomberg(2026年3月9日) / 物流Today(2026年3月)

スタグフレーション

 インフレと景気停滞が同時進行するスタグフレーションは、政策当局にとって最も対処しにくい状況だ。

【分析】  今回の物価上昇は需要主導ではなく、供給途絶によるコストプッシュ型だ。これは1973年の第一次オイルショック時の日本と同じ構造であり、「悪いインフレ」である。企業収益が圧迫され、実質賃金がマイナス方向に押し下げられる中で物価だけが上昇するシナリオでは、消費冷え込みと物価高が並走するスタグフレーション的様相を呈する可能性が高い。日銀は利上げで物価を抑えようとすれば景気をさらに痛め、緩和を維持すれば円安・インフレを増幅するというジレンマに直面する。

トリプル安

円・株・債券の同時下落(トリプル安)は、以下の連鎖で起きうる。

資産クラス 下落メカニズム(推論)
債券安 インフレ加速→日銀の追加利上げ圧力→国債が売られ長期金利上昇
円安 エネルギー輸入額膨張→貿易赤字拡大→実需の円売り圧力が金利差の円高効果を上回る。3月9日時点でドル円はすでに160円に接近
株安 金利上昇+円安による輸入コスト増+消費減退→企業収益見通しの悪化→資金流出
⚠ ただしトリプル安が同時かつ持続的に起きるかどうかは断定できない。円安は輸出企業にとってプラスでもあり、株価への影響は業種によって逆方向になる。また政府の為替介入・財政出動・備蓄放出が一定の緩衝効果を持つ可能性も否定できない。「トリプル安」はあくまで最悪シナリオに近い方向性の議論として捉えるべきで、確定的な帰結ではない。

イランの戦略的意図

【分析】 イランにとって海峡封鎖の長期維持は両刃の剣だ。米軍による掃海作戦・経済制裁の深化というコストを自ら引き受けながら、湾岸産油国を含む広範な勢力を敵に回すリスクもある。過去の事例でもイランは「封鎖の脅し」を外交的カードとして行使しながら、完全封鎖の実施は回避してきた歴史がある。「実質的封鎖の長期維持」と「脅しの持続による交渉圧力」は区別して考える必要がある。後者の蓋然性が高いと考えるが、前者を排除できる根拠もない。

シナリオ

シナリオ 封鎖状況 インフレ(秋) 株・円
ベースケース 1〜2ヵ月で部分的緩和 2.5〜3%程度 円安継続・株軟調
悪化シナリオ 3〜6ヵ月の実質封鎖継続 3〜4%超 円160円台・株大幅安
最悪シナリオ 6ヵ月以上の封鎖+湾岸全体の混乱 4%超・スタグフレーション トリプル安・備蓄枯渇懸念

 現在の状況(3月11日時点)は「ベースケースと悪化シナリオの中間」にある。備蓄という時間的バッファはあるが、ナフサ在庫の薄さと産業への波及の速さは予断を許さない。

結論

 254日分の備蓄は心強いが、問題はその先だ。備蓄の放出は時間を買う措置であり、根本的な解決にはならない。真に問うべきは、原発再稼働の加速・LNG調達ルートの多角化・SDF護衛艦による商船保護の可否(集団的自衛権の解釈問題を含む)といった中長期のエネルギー安全保障政策だ。政府は3月3日の時点で「石油需給に直ちに影響はない」と述べていたが、わずか6日後に備蓄放出の準備を指示している。この対応の速さは危機の深刻さを物語っている。

 たとえトリプル安を免れ、株価だけが上昇する局面となれば、表面的な「株高」が景気悪化の判断を曇らせ、円安も是正されないまま放置されるリスクがある。その結果、輸入コストの上昇を起点とするインフレは高止まりし、長期にわたって持続することになる。

 問題の核心は、日本の家計金融資産の過半数が現預金に偏在していることだ。インフレが数年にわたって2〜3%超で継続すれば、名目上の数字は変わらなくても、その実質的な購買力は静かに、しかし確実に失われていく。

 これは単なる景気後退ではない。エネルギー安全保障の脆弱性を先送りにしてきたツケが、国民の金融資産という形で回収される構図だ。対処を怠れば、日本はやがて先進国の地位から滑り落ち、中進国へと転落する道を歩むことになりかねない。

※事実部分の主要出典:Bloomberg JMIC報告(3月6日)日経新聞 三菱ケミカル減産(3月9日)時事通信(3月9日)物流Today(3月)。分析部分は独自の見解であり、投資助言等ではありません。

 

では、また!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは、ないとめあです。

今日もブログにお越しいただきありがとうございます。

 

 

 2025年から続く「トランプ関税」をめぐって、とうとう大きな司法判断が下されました。アメリカの国際貿易裁判所は3月4日、「相互関税」などで企業から徴収した関税について、負担した企業へ返還するようアメリカ政府に命じました。シンクタンクの試算によると、その総額はなんと約25兆円となるようです。6日には税関当局から返還計画を聞き取るための公聴会も開かれます。

⚠️ 返還するにあたり2つの「問題」

 

① 米国政府の財政悪化リスク

 25兆円はすでに一般会計に組み込まれています。これを返還するとなると、事実上の財政出動に近い話です。関税を「財政収入の柱」と位置づけていたトランプ政権にとって、政策の根幹が揺らぐ事態です。

② 「企業に返還=消費者には届かない」問題

 関税コストは一般的に輸入業者→流通→消費者と転嫁されてきたはずです。しかし法的に関税を納めたのは輸入企業なので、返還先も企業になります。消費者が実質的に負担した分が、企業の利益に化ける可能性があるわけです。トランプ氏が「企業への返還は不当な棚ぼただ」と主張したのは、皮肉にもこの構造問題を正確に突いていると言えます。

⚖️ 「5年間の法廷闘争」は可能か?

 

トランプ氏は5年間闘うと発言したとも伝えられています。

 

国際貿易裁判所(現在地点)

連邦巡回控訴裁判所

連邦最高裁判所

 

 各審級で1〜2年かかることを考えると、最大3〜4年は現実的です。5年は「やや盛った」数字かもしれませんが、政権側には執行停止の申請・返還計画の引き延ばし・議会を通じた立法対抗など、時間を稼ぐ手段もあります。ただし、執行停止が認められなければ上訴中でも返還義務が生じる可能性があり、その間も利子が積み上がるというリスクもあります。

 

※以下は推論・仮説を含みます。

📈 長期金利・為替はどう動く?

 

 通常、金利上昇=ドル高です。しかし今回は財政悪化による金利上昇という異常事態。過去に財政危機に陥った新興国で見られた「悪い金利上昇」のパターンです。

①ドル安+長期金利上昇するケース
 返還義務が現実化し財政不安が拡大 → 外国投資家が米国債を売却 → 金利上昇しながらドル安という矛盾した状況に。金・円・ユーロへの資金逃避が加速する可能性。

②執行停止でドル安圧力が緩和するケース
 法廷で返還の一時停止が認められ、財政悪化懸念が後退。ただし不確実性プレミアムは残る。

③政治混乱でリスクオフとなるケース
 政権と司法の対立が深刻化 → 市場が「米国の制度的安定性」に疑問を持ち始める → 株安・ドル安・金高のトリプル安となる。

🔮 総合的な見て(推論)

 

最も可能性が高いのは③混合です。

短期:執行停止申請などで市場は様子見
中期:法廷闘争が長引くにつれドル安トレンドが強まる
長期:米国の財政・司法・政治リスクが「米国例外主義」への疑問につながり、基軸通貨としてのドルの地位が緩やかに低下

 

 円は消去法的な買いが入りやすい環境ですが、日本自身も財政問題を抱えているため、最終的な受益者は金(ゴールド)になる可能性が高いと思います。2022年の英国トラス政権のケース(財政悪化懸念でポンドと国債が同時に売られた)が、今回の米国と最も近い構図かもしれません。

 

では、また!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは、ないとめあです。

今日もブログにお越しいただきありがとうございます。

 

 2026年2月28日、米国がイランへの軍事攻撃を開始し、イランは報復としてホルムズ海峡を事実上封鎖した。世界の石油消費量の約2割が通過するこの「チョークポイント」が塞がれた今、日本のエネルギー安全保障は戦後最大級の試練に直面している。

 にもかかわらず、日本政府の動きは鈍い。「直ちに影響はない」ってどこかで聞いたような言葉が、また繰り返されようとしている。

■ 数字が示す日本の脆弱性

 まず現実を直視しよう。日本は原油輸入の約95%を中東に依存している。その大半がホルムズ海峡を通って運ばれてくる。「備蓄254日分があるから大丈夫」という声もあるが、問題はそこではない。

 原油価格はすでに封鎖前の67ドル(2月27日)から、3月9日時点で115ドルを超えた。北海ブレント原油は一時118.73ドルをつけ、120ドルに向かう勢いだ。タンカー運賃は先週比2倍超となり、過去10年で最高水準に達している。

 カタールのエネルギー大臣は「原油150ドル」を公式に警告している。これは絵空事ではない。UAE・クウェート・イラクはすでに生産削減を開始しており、供給ショックは二重構造になっている──海峡を通れないことによる輸送の断絶と、産油国自身の生産削減が同時進行しているのだ。

⚠ スタグフレーションへのシナリオ(推論)

原油が150ドルに達した場合、ガソリン価格は1リットル200円超が確実視される。電気・ガス料金も連動して上昇し、食料品・物流コストを押し上げる。一方で、実質賃金の低下により個人消費は冷え込む。「物価高+景気後退」──これが教科書的なスタグフレーションだ。備蓄を消費しながらインフレが進行し、その間に景気が壊死していく。

■ 「航空爆撃で解決できる」という幻想

 根本的な問題を指摘しなければならない。米国・イスラエルが航空攻撃を続けても、ホルムズ海峡の封鎖は解けない。なぜか。イラン革命防衛隊(IRGC)の海軍拠点・沿岸ミサイル陣地・小型高速艇・機雷敷設能力は、イラン本土の沿岸部や島嶼部の地下施設に分散配備されている。航空爆撃はこれらを完全に無力化できない。地下・洞窟施設は爆撃耐性が高く、破壊しても再建・再配備が可能だからだ。

 ホルムズ海峡を本当に「開通」させるには、イランの海岸線を物理的に占領するしかない。それはイラク戦争を超える規模の地上作戦を意味し、米国に現実的な実行意思があるとは思えない。つまり構造的に言えば、こうなる。

対応策 効果
航空爆撃のみ 妨害能力を完全排除できない
地上占領 政治的・軍事的コストが許容不可能
∴ 封鎖の長期化 構造的に不可避(推論)

 イランにとってホルムズ海峡の妨害は「唯一の非対称カード」だ。通常戦力では米・イスラエルに勝てない以上、この手段を手放す合理的理由がない。イランが「長期戦を想定している」のは軍事的合理性として正確である。

■ 「254日分の備蓄」が焼け石に水になる日

備蓄の意味は、封鎖の期間によって根本的に変わる。

封鎖期間の想定 備蓄の意味
数週間 十分な緩衝材
数ヶ月 消費しながら代替調達を模索
1年超(長期化) 備蓄は焼け石に水。構造的危機へ

 代替調達先(西アフリカ・米国・カナダ)の拡大には時間とコストがかかる。その間も原油110〜150ドルが続けば、備蓄を使いながらもインフレが止まらないという最悪の構図が現実になる。

■ 日本政府が今すぐすべきこと

 政府は「楽観シナリオ」ではなく、「封鎖が1年以上続く」という悲観シナリオをベースに動くべきだ。具体的には以下の対応が急務である。

 

① 即時の経済対策:減税・補助金の発動
 補正予算による支出増は財政コストが大きく、家計への波及が遅い。消費税の引き下げなど、即効性のある減税を今すぐ議論すべきだ。コストプッシュ型インフレへの対応を先送りすれば、消費の冷え込みと物価上昇の悪循環は加速する。

 

② 自衛隊によるタンカー護衛の検討
 日本は自国のエネルギー安全保障を、米軍の「善意」に丸投げしてきた。だがトランプ政権下で「米国が日本のために動く」という前提は揺らいでいる。現行の安保法制の枠内で、自衛隊によるタンカー護衛の実施を真剣に検討すべき段階に来ている。まずは海賊対処法の運用拡大や、アデン湾からホルムズ方向への護衛範囲延長など、現行法で可能な第一歩から動くべきだ。

 

③ 中東依存からの構造転換の本格化
 これは中長期の課題だが、今こそ議論を加速させる好機だ。再生可能エネルギーへの移行、調達先の多様化、原子力の活用、いずれも「できればやる」ではなく「やらなければ生き残れない」課題として位置づけるべきだ。

■ 「直ちに影響はない」の次に来るもの

 日本政府が危機を甘く見る最大の理由は、備蓄という「時間のバッファ」が存在するからだ。しかしそのバッファは、長期封鎖の前では意味を失う。イランは長期戦を想定している。ホルムズ海峡の妨害は彼らにとって低コストで高効果の手段だ。米国が海岸線を占領しない限り、封鎖は続く。そしてその可能性は現実的ではない。

 スタグフレーションは、突然やってくるわけではない。「直ちに影響はない」という言葉の陰で、じわじわと家計と企業の体力が削られていく。その時になって政府が動き出しても、手遅れになる。

 問うべきは「なぜ対策が遅れているのか」だ。答えは単純かもしれない、危機を危機と考えていない、対応能力不足なため楽観的に常に考えているからである。

 

では、また!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは、ないとめあです。

今日もブログにお越しいただきありがとうございます。

 

 日経平均先物が週末の夜間取引で1,710円安の5万4,020円で終了しました。今週末(3月13日)にはメジャーSQ(特別清算指数算出日)が控えており、空売りや信用買いが高水準で積み上がった状態での波乱も懸念されます。また、月曜日朝の時点で3000越えの日経平均安となり、トリプル安となっています。

 今後の日経平均の注目するべきポイントを考えてみます。もし、注目したポイントが実現していれば、一層の下落圧力になるのではないかを考えます。

 


2つの逆風

① 米国の雇用悪化とFRBのジレンマ

2月の米雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月比9万2,000人減少となり、5〜6万人増との市場予想に反してマイナスとなりました。失業率も上昇し、労働市場の健全性への懸念が高まっています(日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0605S0W6A300C2000000/ Bloomberg https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-03-06/TBHCD1T96OSG00)。 

 

 本来であれば、雇用の悪化はFRBの利下げ圧力を高め、株式市場にとってはプラス材料となりえます。しかし、現状はそう単純ではありません。イラン攻撃を受けた原油価格の急騰が、インフレ再燃のリスクを高めているからです。FRBは「雇用を守るために利下げしたい」一方で「原油高によるインフレを抑えなければならない」という板挟みの状況に置かれています。利下げが遠のけば、株式市場への下押し圧力は続くことになります。

② イラン情勢と原油高

 米国・イスラエルによるイラン攻撃が引き金となり、ホルムズ海峡封鎖への懸念が浮上しています。原油価格は急騰しており、エネルギーコストの上昇は企業収益を圧迫し、日本株にとっても直接的なネガティブ要因となっています。

 


メジャーSQとは何か

 SQ(Special Quotation=特別清算指数)とは、株価指数先物・オプション取引の決済価格を算出するための指数のことです。毎月第2金曜日の寄り付き価格をもとに算出されますが、3月・6月・9月・12月の第2金曜日は先物とオプションが同時に精算される「メジャーSQ」となり、通常月より大きな需給変動が起きやすくなります。

今週末(3月13日)はそのメジャーSQにあたります。

 


SQに向けた需給の読み方

 信用買い残高は高水準で積み上がっており、株価の下落によって追証が発生すれば、機械的な投げ売りが相場の下押しを加速させるリスクがあります。

 一方、空売り比率が高い局面ではSQ前後にショートカバーが入りやすく、見かけ上の反発を生みやすい構造があります。来週の相場が特に読みにくい理由は、この「売り方の買い戻しによる反発」と「信用買いの投げ売りによる下落」が同時に起きうる点にあります。

 


注目すべきポイント

特に目を向けておきたい事項を整理します。

  • 原油価格の動向:1バレル90ドルを超えて定着するか否かが、インフレ懸念の強度を左右します
  • イラン情勢に関する報道:停戦・交渉の兆候が出るかどうかが最大の変数です
  • 米長期金利(10年債利回り):リスクオフが強まれば低下しますが、インフレ懸念が勝れば上昇し株式のバリュエーションを圧迫します
  • 為替(ドル円):リスク回避の円高が進めば輸出企業の収益予想に下方修正圧力がかかります
ボラティリティが高くなると思われますので、投資は慎重に進めていきましょう。
 

 

 

 

では、また!