こんにちは、培養部門です。
当院はPGT-A実施施設であるため、多くの方のPGT-Aを行っています。
PGT-Aを行う患者様から「 PGT-A後に正常胚と判定された胚を移植する場合も年齢によっては妊娠率が低下することがあるのでしょうか 」とご質問をいただいたことがありますので論文を用いて詳しく説明していきます。
一般的に考えると年齢が上昇するにつれて妊娠率が低下します。それは採取される卵子の染色体が正常である割合が低下することが原因であると考えられています。よって、年齢が上昇するにつれて多くの卵子が必要になります。妊娠不成立や流産の原因の約7割が受精卵の染色体異常が原因であると言われています。
年齢の上昇による妊娠率・出産率の低下はPGT-A後に正常胚と判定された胚を移植することで防ぐことができるのか、海外のチームが調べた論文があります。
39歳~46歳の患者様を対象とし、ドナー卵子由来の正常胚( 年齢が若い卵子由来 )と自己卵子由来の正常胚を移植して妊娠率、出産率に差があるか比較しました。
妊娠率はドナー卵子由来の正常胚で57.91%、自己卵子由来の正常胚で57.19%と同等の結果でした。出産率もドナー卵子由来の正常胚で41.01%、自己卵子由来の正常胚で42.45%と同等でした。妊娠期間、または乳児出生体重に統計的に有意な差は確認されませんでした。
これらの結果は20歳~30歳の結果と同等です。
質問の回答としては「 正常胚を移植する場合は年齢によって妊娠率が低下しない 」と答えることができます。
年齢の上昇による妊娠率や出産率の低下のほとんどが卵子や胚の染色体異常と考えられています。現状では年齢の上昇による卵子や胚の染色体異常を抑える治療法はありません。よって、染色体異常が原因でなかなか出産に至らない場合はPGT-Aはとてもよい治療方法であることが言えます。
もちろん、各クリニックにおける培養技術や胚移植技術などの技術面で妊娠率や出産率が影響することもあります。不妊治療を行うクリニックによって治療成績が異なる
お悩みの場合は一度当院にご相談ください。
参考:Mauro C et al. IVF and perinatal outcomes of advanced maternal age patients after single frozen euploid embryo transfer: a propensity-matched analysis of autologous and donor cycles. Fertil Steril. 2024
お知らせ
当院の初診について
当院の不妊外来を初めて受診される際にお電話での予約が必要な理由
当院は不妊治療に関わる先進医療を行なっております。
大垣市在住のご夫婦を対象として、自費診療でAMH( 抗ミュラー管ホルモン )検査、精液検査を実施した場合に大垣市から助成金を受け取ることができる制度が開始されました。
当院で行うことができます。お電話にてご予約をお願い致します。
大垣市在住のご夫婦を対象に妊活検診費( AMH検査・精液検査 )が助成されます
当院はPGT-A実施施設として日本産科婦人科学会に承認されています。
PGT-Aを行うことによって、複数回の妊娠不成立や流産を繰り返す方に妊娠率の向上と流産率の低下が期待できます。
↓詳しくはこちらをご覧いただければ幸いです。
※PGT-A対象者の方で当院に胚盤胞を凍結保存している場合、採卵を行わずに保存してある胚盤胞を用いてPGT-Aをすることができます。
PRP療法とは再生医療の一つです。
様々な医療分野でPRP治療は行われており、不妊治療分野ではPRP療法を行うと子宮内膜が厚くなるという報告が専門の学会から報告されています。
子宮内膜が厚くなると、移植した胚の妊娠率、出産率が向上します。
先進医療、PGT-A、PRP療法をご希望の方、ご興味がある方は当院の不妊外来診察を受診ください。
文責:培養部門
〔生殖医療専門医〕古井憲司