クリーンテック(CleanTech) -26ページ目

Google.org の戦略構想

Google.org のDirector of Climate Change and Energy Initiative のダン・ライカー(Dan Reicher)氏が、スタンフォード大学のエネルギーセミナーで講演し、グーグル.オルグの今後の活動の方向性について、語ってくれました。

同社のRE<C戦略(再生可能エネルギーを化石燃料より安く)を実行するために、グーグルが焦点を当てている四分野として、ソーラー、風力、地熱(EGS)、ならびに送電と蓄電に関する技術とインフラの開発を挙げました。

具体的な投資先の会社として、ソーラーでは、MJさん前述の太陽熱発電の開発会社eSolar、風力では、上空に巨大な風力発電装置を飛翔させる風力発電技術を開発しているMakaniが紹介されました。また地熱発電ではこれまで主流の地熱による水蒸気発電にかわり、地表より3キロから10キロのエリアに存在するマグマに熱せられた岩盤からの熱による地熱発電(EGS-Enhanced Geothermal System)による技術への投資ならびに具体的な開発の可能性を挙げています。そして注目すべきなのが、最後の送電と蓄電に関する技術とインフラの開発です。

新エネルギー発電の発展を妨げる要因として第一に挙げられるのが、送電のための送電インフラの問題です。送電のインフラは、これまで既存の電力発電施設に沿って作られているため、業界への新たな参入者である新エネルギー発電施設が必要な場所に電気を送電するためには、発電施設だけでなく送電方法を確保しなくてはならないわけですが、そのためには既存の発電施設以上のコスト負担をしなくてはならず、このコスト競争で常に大きなハンデを負っている現実があります。その送電施設を新エネルギー用に新たに作ることが出来たら…!それは、ある意味では夢のようなアイデアであるといえます。

どうやって電気を送るか、また貯めておくか。電力業界にとっては古くて新しいこの問題にグーグルが参入しようというのは、非常に大きな試みです。インターネットというネットワーク上に構築された巨大ビジネスの寵児が、電力のためのネットワークを新たに構築しようと構想しているわけですから。

しかし、実際の送電施設の開発は、土地の確保一つとっても、経済的、政治的交渉が常に付きまとう非常に現実的なビジネス。クリントン政権で米国エネルギー省再生可能エネルギー次官補を務め、自らクリーンテックのためのプライベートエクイティ会社も持つダン・ライカー氏は、「シリコンバレーは、ワシントンとウォール街との対話が少なすぎる。」と言い切り、RE<Cを実践するには、政治と金融を巻き込んでいかなくては成立しないと断言しています。この一見非常にシリコンバレー的でない視点は、しかし構想を構想に終わらせないために、非常に大切な認識だと思います。これらの戦略が、本当に機動的に発展していけるのか、注目が集まるところです。

デュターム

太陽電池とシリコンバレー

ちょっと前の記事になりますが、ニューヨーク・タイムズが2月17日に「シリコンバレーが太陽に顔を向け始めた 」と題した記事を書きました(リンクはインタナショナル・ヘラルド・トリビューンのもの)。

シリコンバレーはベンチャー企業を輩出する場所として有名です。インターネット検索エンジンのグーグルやiPodで有名なアップルなど、沢山のIT企業がありますが、名前のシリコンは半導体の材料に使われるシリコン(珪素)に由来します。歴史的に見ればIT産業の基礎となる半導体の企業が集積していたことでこの名前がつきました。昔からある企業としては例えばインテルが有名ですね。このシリコンバレーは今情報産業に使われる半導体とは違うシリコン、つまり太陽電池に注目しているのです。

なんで太陽電池なのでしょうか?カリフォルニアは環境運動が盛んで、州は積極的な政策をとるような土地柄です。こうしたこと以外にも技術的な要因もあるようです。スタンフォード大学のポール・サッフォ准教授は「太陽電池は特殊なチップ(半導体)で、今までチップを作るのに学んだことはすべて適用できる」と語っています。薄膜フィルム型太陽電池を作るナノ・ソーラー や、つなぎめが外面から見えなくて真っ黒に見える 高効率な太陽電池を作るサン・パワー など多くのベンチャー企業ができています。

期待を集めているのは太陽電池だけではなくて、太陽熱システムも感心を集めています。ベンチャー・キャピタリストのヴィノド・コサラ氏はサン・マイクロシステムズの創業者として有名ですが、彼はオーストラリアでオースラという企業を見つけ、本部をシリコンバレーに移すよう経営陣を説得しました。記事には書いていませんでしたがグーグルも(主にGoogle.orgの方のようですが)太陽熱の企業、eソーラーに投資 をしています。

何回もこのブログに書いていることですが、シリコンバレーではクリーン・テックが期待されています。着実に進むこの動きは、アメリカのメジャーな新聞が報じるほど大きくなってきたのだと思います。

MJ

MITクリーンエネルギー起業コンテスト

今日は、MIT Clean Energy Entrepreneurship Prize (CEEP) の応募締め切り日でした。MITが主催するクリーンエネルギー起業コンテストで、最優秀チームには、ビジネスアイディアを実現するための開業資金2千万円が約束されています。

学生の場合、チームの半数はアメリカの大学の学生であること、という条件はあるものの、世界中からの参加が可能です。

特に、Judging Criteria としてまとめられている選考基準には、単に技術斬新であるとか、資金が着きやすいかなどの単純な理由で選ばれることはなく、本当に市場のニーズに応えるものか、実行計画内容が現実的か、市場を主導していく画期的なインパクトが与えられるかなど、実際に成功している企業家や投資ファンドその他の専門家によって吟味される内容が明確にされており、今後のクリーンテックのビジネスを理解しアイディアを練るのに役立ちます。学生のうちからこの類の思考回路を意識して開拓しているところが、アメリカの強みですね。日本の留学生も機会を利用して参加しているかも知れません。

こうしたコンペティションが行われるということは、それだけ業界が勢いを増しているということ。米国エネルギー省とマサチューセッツ州最大手電力会社のNSTARがスポンサーについています。

デュターム