Google.org の戦略構想 | クリーンテック(CleanTech)

Google.org の戦略構想

Google.org のDirector of Climate Change and Energy Initiative のダン・ライカー(Dan Reicher)氏が、スタンフォード大学のエネルギーセミナーで講演し、グーグル.オルグの今後の活動の方向性について、語ってくれました。

同社のRE<C戦略(再生可能エネルギーを化石燃料より安く)を実行するために、グーグルが焦点を当てている四分野として、ソーラー、風力、地熱(EGS)、ならびに送電と蓄電に関する技術とインフラの開発を挙げました。

具体的な投資先の会社として、ソーラーでは、MJさん前述の太陽熱発電の開発会社eSolar、風力では、上空に巨大な風力発電装置を飛翔させる風力発電技術を開発しているMakaniが紹介されました。また地熱発電ではこれまで主流の地熱による水蒸気発電にかわり、地表より3キロから10キロのエリアに存在するマグマに熱せられた岩盤からの熱による地熱発電(EGS-Enhanced Geothermal System)による技術への投資ならびに具体的な開発の可能性を挙げています。そして注目すべきなのが、最後の送電と蓄電に関する技術とインフラの開発です。

新エネルギー発電の発展を妨げる要因として第一に挙げられるのが、送電のための送電インフラの問題です。送電のインフラは、これまで既存の電力発電施設に沿って作られているため、業界への新たな参入者である新エネルギー発電施設が必要な場所に電気を送電するためには、発電施設だけでなく送電方法を確保しなくてはならないわけですが、そのためには既存の発電施設以上のコスト負担をしなくてはならず、このコスト競争で常に大きなハンデを負っている現実があります。その送電施設を新エネルギー用に新たに作ることが出来たら…!それは、ある意味では夢のようなアイデアであるといえます。

どうやって電気を送るか、また貯めておくか。電力業界にとっては古くて新しいこの問題にグーグルが参入しようというのは、非常に大きな試みです。インターネットというネットワーク上に構築された巨大ビジネスの寵児が、電力のためのネットワークを新たに構築しようと構想しているわけですから。

しかし、実際の送電施設の開発は、土地の確保一つとっても、経済的、政治的交渉が常に付きまとう非常に現実的なビジネス。クリントン政権で米国エネルギー省再生可能エネルギー次官補を務め、自らクリーンテックのためのプライベートエクイティ会社も持つダン・ライカー氏は、「シリコンバレーは、ワシントンとウォール街との対話が少なすぎる。」と言い切り、RE<Cを実践するには、政治と金融を巻き込んでいかなくては成立しないと断言しています。この一見非常にシリコンバレー的でない視点は、しかし構想を構想に終わらせないために、非常に大切な認識だと思います。これらの戦略が、本当に機動的に発展していけるのか、注目が集まるところです。

デュターム