クラシックダンジョンが目指したものの話
ディレクター兼グラフィッカーの池田です。
三回目はクラシックダンジョンが目指したものについて書いてみます。
【クラシックダンジョンが目指したもの】
個人的に、ゲームはRPG系が好きで色々と遊んでいます。
ただ、最近は年を取ったせいかコマンド入力をするのがちょっと面倒になってきていました。
・ボタンを押すたびにすぐに結果が返ってくるRPGをやりたいな。
・ARPGでは沢山のキャラを使いたいな。
・チマチマとキャラを育てるのが楽しいゲームがいいな。
・プレイヤーが自分で一区切り付けられるゲームがいいな。
・ミスして死んだ時に自分自身が納得できるゲームがいいな。
こういった目標をどんなふうに達成したのか、ちょっとご説明します。
>ボタンを押すたびにすぐに結果が返ってくるRPGをやりたいな。
ということはジャンルはARPG(アクションRPG)ですよね。
今回、戦闘中にはシステムメニューを除いて一切コマンド選択が出てこないシステムにしました。
リアルタイムに遊ぶことを徹底しましたのでサクサク遊べます。
>ARPGでは沢山のキャラを使いたいな。
ARPGでは当たり前のことですが「キャラが一人しか操作できない」点をどうにか解消したいと思っていました。
RPGは色々なキャラを育てるのが楽しいのにARPGでそれができないのはもったいない!
そんなことを悶々としながらゲームシステムを考えて、結果できたのが「魔装陣」です。
「魔装陣」は操作キャラクターはひとりですが、他のキャラクターがパーティとして冒険に参加しているようなイメージです。
「魔装陣」の詳しい内容は大変なのでほかに譲りたいと思います。
>チマチマとキャラを育てるのが楽しいゲームがいいな。
日本一ソフトウェアのSRPGには果てしなくLVや能力が上がっていく特徴がありますが、このゲームはちょっと角度を変えて成長要素を入れました。
まず、ダメージに小数点二桁があります。
具体的には0.01といったダメージがでるのですが、ARPGなので敵の攻撃を避け続けてチマチマダメージを与えれば理論上はどんな強敵でもLV1で倒せるハズ、です。
(設定で小数点は非表示にもできます)
次にLVの限界は99としました。
画面に表示される数字の桁数が多すぎるとARPGでは情報を把握しきれないかなー、との思いからです。
ただ、開発後半にやり込み部分のモンスターLVだけは999と9999に上限を上げました。
プレイヤーのLVは99までですが、魔装陣を使えばLV999位の敵とはガチで戦っても勝つことが可能です。
しかしLV9999になると、専用に魔装陣をカスタマイズしないと勝つのは厳しいです。
自分よりもはるかに高いLVの敵を撃破しながら潜るランダムダンジョンはスリル満点です。
この辺のやり込みに入った部分は、けっこうマゾいバランスになっていますのでご期待下さい。
>プレイヤーが自分で一区切り付けられるゲームがいいな。
セーブはマノアカズでいつでもできますし、戦闘マップはひとつ1分から10分くらいで終わります。
短いサイクルでどんどん遊べるゲームです。
(ただしランダムダンジョンだけはノーセーブ&高難易度なので99階までクリアするのに結構な時間がかかります)
あとはゲーム自体に一区切り付けたい人用にゲームスタート後にいつでもエンディングが見られる方式にしました。
ただしバッドエンドですけど……。
>ミスして死んだ時に自分自身が納得できるゲームがいいな。
開発終盤のデバッグ時には、各所から「しまった~!」「うわああ~!」「最悪だ~!」
といった悲鳴が聞こえてきました。
「あのとき盾を構えていれば生きていたのに!」
「欲をかかずに出口に入ればよかった!」
「なぜ歩かずに走ってしまったんだ!」
など、己のミスを悔やむ声が多かったように思います。
最終的にはプレイしていただいたユーザーさんにご判断いただくしかありませんが、この点はたぶんうまくいったのではないかな? と思っています。
なるべく多くの要素が「プレイヤーにとってのメリットとデメリット」を内包するようにゲームデザインしていますので、期待しすぎない程度にご期待下さい。
レトロ風のグラフィックの話
二回目の登場となるディレクター兼グラフィッカーの池田です。
前回はクラシックダンジョンがうまれた経緯を書いてみましたので、今回はグラフィックについて書いてみます。
【グラフィックについて】
今はもうマスターアップしましたので画面写真として出ているものが完成版なのですが、見た目をどの程度レトロ風にするのかは、仕様決定のギリギリまで迷いました。
最初はファミコンと同じ制限で作った画面なども試作したりしました。ただ、スタッフ受けが悪かったこともあり、「じゃあ、ほどほどのレトロで」という形に落ち着いたのが現在の画面です。
キャラクターは低解像度で6色くらい。
ステータスなどの細かい表示が必要な部分は高解像度。
壁紙など、浮かせた方が情報が見やすい素材も高解像度。
武器と盾は、手にいれたときに嬉しいように高解像度。
あとは、なんとなくレトロな低解像度。
……で作られています。
簡単に言うと、「細かい方がゲームがプレイしやすくなる部分は高解像度」になっているというわけです。
プレイしてみると、懐かしいようなちょっと違うような不思議な感じがする物になったのではないかなと思っています。
あと補足ですが、ゲームのメインキャラは6色程度で描かれていますが、キャラメイクしたときのおえかきエディタでは15色まで使えます。
お手本のグラフィックの敷居を下げて、だれでもドット絵を楽しんで欲しかったからです。
公式PVなどに出ているフロンやエトナのキャラグラフィックはプロのグラフィッカーやドッターが描いたものではなく、アルバイトで参加してもらった素人の方が描かれたものです。
デバッグには主婦の方や別業種の方などに参加していただきましたが、おえかきエディタは皆さんが使いこなしておられました。
自分だけのキャラがお手軽に作成出きますので、発売されたら皆さんもぜひ自分だけのキャラを作ってみてください。
クラシックダンジョンができたワケの話
はじめまして。
ディレクター兼グラフィッカーの池田です。
アシスタントプロデューサーから開発日記をやりますよ!
と聞かされましたので私も何か書いてみようかと思います。
ゲームシステムは既に色々と公表されているようですので、私は裏話をちょこちょこと書かせてもらおうかと思います。
よろしくお願いします。
【クラシックダンジョンができたワケ】
もう6年以上前になりますが、PS2版のファントム・ブレイブの開発をしていた頃に「ファミコンの見た目のようなゲームを作りたいな」と思っていたことがありました。
(たしかファントム・ブレイブ・キャラクターコレクションにも、ファミコンみたいな見た目のゲームを作りたいとコメントを寄せた覚えがあります)
ファミコン時代のゲームはキャラクターがすごく記号化されていて、プレイヤーが想像力を働かせる余地があるところに魅力を感じていました。
それにPS2は(当時)高性能なハードでしたので、ファミコン風ゲームにすれば制限がなくて色々と楽しい事ができるんじゃないかなと漠然と考えていました。
ただ、当時の日本一ソフトウェアはSRPG一本の制作で手一杯でしたのでファミコンのような画面のゲームは作れないまま時は過ぎていきました。
そして一昨年の2008年。
ファントム・ブレイブWiiを制作する機会がありまして、そのとき次回作を考えているときに、ふと6年前に作りたかったファミコン風ゲームの事を思い出しました。
あー。そういえばPS2版作ってるときにこんな事考えてたなぁ。
今ならレトロゲーが受け入れられてるし、企画も通るかなぁ。
そんな事を思いながら当時はまだ社長ではなかった新川に企画書を出したところ、結構あっさりとOKが出ちゃいました。
あれ? 本当に作っていいの?
タイミングってあるんだな、と思います。
池田 真一
代表作:
天使のプレゼント マール王国物語~魔界戦記ディスガイア2(ドット絵担当)
魔界戦記ディスガイア~ソウルクレイドル 世界を喰らう者(ディレクション)
最新作はファントム・ブレイブWii(ディレクション&ドット絵)