(今回も、私小山田が感じたことを雑多につづっていきます)
90. 「変わらぬ想い」におけるought to
今回は、1984年にジョージ・ベンソンが歌い、1987年にはグレン・メディロスが、2006年にはウエストライフがカバーをした、Nothing's Gonna Change My Love For You(変わらぬ想い)を取り上げます(対訳はこちら)。
この曲のサビで何度も繰り返される、次の部分に注目しましょう(訳は筆者)。
Nothing's gonna change my love for you
(あなたへの愛は決して変わりません)
You ought to know by now how much I love you
(今までにあなたをどれほど愛したか、知ってくれたらいいな)
※ought toの発音は、「オラ」のように/t/の音が「ル」に変化するといういわゆる「フラップT」の現象が起こります。
このought to know は、「知ってくれたらいい」と意訳しましたが、直訳すると「知っていたほうがよい」という感じです。「~したほうがよい」というと、had betterを思い出す人も多いですが、had betterは「~しないと大変なことになる」というかなり強いニュアンスが入っています。例えば、大けがをした人に対して、
・He had better go to the hospital!
(彼は、病院で治療か入院しないと大変だ)
のように使うことは可能ですが、日本語の「~したほうがよい」というやわらかなアドバイスには適切ではありません。そこで登場するのが、should及び今回取り上げるought toです。shouldというと、「~するべきである」という意味で覚えている人が多く、確かにその意味でも使用されますが、「~したほうがよい」というやわらかなアドバイスにも使用されます(もちろん、口調にもよりますが)。
shouldとought toは交換して使用も可能ですが、ought toはshouldよりも客観性が強く、理由付けがあるというニュアンスです。この歌詞では相手への愛情をあえて抑えて客観的なought toを使用することで、内に秘めた強い思いを表現していると思われます。