2023年のニューイヤーコンサートでの新年のスピーチ


新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。2024年も素晴らしいコンサート・オペラ公演に恵まれてますので、とても楽しみです。2023年に国内外で鑑賞したコンサート・オペラ公演のベスト10は、以下の通りになりました。昨日もブログで書きましたが、東京が国際音楽都市にあって欲しいと思っているため、世界中で鑑賞した公演全てが対象となってます。上位8位までは最高評価の五つ星の中からで、どれも最高の公演だったので、ランキング化は難しいのですが、その公演の希少性や貴重性(2度と体験できなそうな公演が上位になります)を加味したランキングです。9位以下は四つ星評価からのセレクトですが、10位は一つに絞れませんでしたので複数あります。


1位: ウェルザー=メスト指揮 ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート

1位はジョン・ウィリアムズと迷いましたが、2023年のニューイヤーは今世紀最高と各方面で言われており、この時のCDは毎日のように聴いてます。他の年のニューイヤーのCDは少し飽きてしまいましたが、ウェルザー=メストによるこだわりのニューイヤー初登場の曲ばかりのCDは毎日聴いても飽きません。当初はニューイヤーコンサートのみに行く予定でしたが、演奏される曲を予習する過程で素晴らしい公演になる予感がしたので、12/31のウィーン・コンチェルトハウスでの第九(マケラ指揮・ウィーン響)をキャンセルして、ジルベスターとニューイヤーの両日鑑賞しました。その価値は十分にあったと思います。ウェルザー=メストが昨年から癌治療で心配な状況でもあるので、1位としましたが、早く回復して頂き、素晴らしいコンサートを指揮して欲しいです。


2位: ジョン・ウィリアムズ指揮 サイトウ・キネン・オーケストラ

ジョン・ウィリアムズの30年ぶりの来日で、自作の曲を楽しめました。彼がステージに登場する瞬間に、サントリーホールのお客様によるスタンディング・オベーションでブラボー喝采で迎えられるシーンは初体験でした。サイトウ・キネンも素晴らしいメンバーで、世界基準の演奏でした。


3位: 『マクベス』(ザルツブルク音楽祭)

先日、NHKで放映されたザルツブルク音楽祭の『マクベス』は圧倒的な演出で、日本ではコンサート形式のオペラが増えていますが、演出と歌手の演技を楽しむことを改めて実感した素晴らしいオペラでした。このプロダクションの再演を願います。


4位: クルレンツィス指揮 ユートピア管(ザルツブルク音楽祭)


クルレンツィスはウクライナ戦争後に西側での活動が制限されていますが、ザルツブルク音楽祭では23年も24年も活躍しております。ザルツブルクの教会で初演されたモーツァルトのミサ曲を聴けたのは貴重な体験でした。この公演のチケットが1番取りにくかったです。この公演は映像化されていないのが、とても残念です。


5位: ネルソンス指揮 ゲヴァントハウス管

メンデルスゾーンの3番は好きな交響曲のベスト3に入るのですが、実演で聴いた最高の演奏で、翌日にBlu-rayを購入し、何度も家で観ています。ネルソンスは世界で1番忙しい指揮者と言われてますが、彼の場数を踏んだ経験による深い分析と適切な指示は秀逸で、オーケストラからメンデルスゾーン伝統の音がきちんと出ていました。


6位: 大野指揮 東京都交響楽団(w/コパチンスカヤ)

この公演は多くの方が2023年の国内オケのベスト公演に選ぶのではないでしょうか。リゲティのメモリアルイヤーなので実現するプログラムで、コパチンスカヤの衝撃的な演奏が2日間楽しめました。次回の彼女の来日ではどんな演奏を魅せてくれるのか期待できます。


7位: フルシャ指揮 ウィーン・フィル(w/トリフォノフ)

ウィーン・フィルの定期演奏会で、このオケが久しぶりに完全燃焼したコンサートでした。トリフォノフのプロコフィエフも絶品で、この公演も2日連続で鑑賞しましたが、映像化されていないと思われ、この点が残念です。フルシャとウィーン・フィルの関係性の良さも実感できました。


8位: K.ペトレンコ指揮 ベルリン・フィル(Aプロ)

ペトレンコ指揮・ベルリンフィルの初来日公演はかなり期待度が高く、サントリーホールで5回鑑賞しました。全ての公演でオケが完全燃焼したわけではなく、少し満足度の低い公演がありましたが、最終公演は絶品でした。11/24の同じAプロはNHKが収録してますので、オンエアが楽しみです。


9位: ソヒエフ指揮 ウィーン・フィル(w/ラン・ラン)

諸条件が整わず、星4.5評価でしたが、実質、星五つの最高評価レベルの秀逸なコンサートでした。ラン・ランのサン=サーンスは実演で聴いたベスト公演ですし、ウェルザー=メストの代役でドヴォルザーク8番を指揮したソヒエフのディレクションも素晴らしかったです。個人的には、↓のウェルザー=メスト指揮・ウィーンフィルの端正なドヴォルザーク8番も好みです。こちらは22年秋の香港公演です。


10位は1つに絞れませんでしたので、イレギュラーですが、個人名としました。


10位: パーヴォ・ヤルヴィ N響&トーンハレ管


今年のパーヴォの指揮の切れ味は久しぶりに秀逸でした。4月のN響とのアルプス交響曲はカラヤン先生レベルに素晴らしかったですし、10月のトーンハレ管来日公演でのブラームス1番とベートーヴェン5番のスピーディかつ筋肉質な演奏には驚きました。


10位: ヴィットリオ・グリゴーロ劇場!


グリゴーロは6月のパレルモ・マッシモ劇場と9月のローマ歌劇場の来日公演に出演しましたが、どちらも完全にグリゴーロ劇場と言える程の活躍でした。演出・演奏面ではローマ歌劇場の方が優れていましたが、現地公演よりも圧倒的に豪華キャストによる海外オペラの来日公演は、今後はあまりないと思われます。かなり貴重な体験でした。


以上が2023年のベスト10公演でした。今年も素晴らしい公演に多く体験できることを願います。