東京・国立西洋美術館
東京・上野の国立西洋美術館です。
「どうしても行かなくちゃ!」
…と思った美術展というのはこちら。
内藤コレクション 写本
いとも優雅なる中世の小宇宙
入り口からいきなり
美しい世界が広がります。
写本というのは、印刷技術がまだ
なかった中世のヨーロッパにおいて
人の手によって一枚ずつ
写し描かれた本のこと。
羊や子牛の皮を薄く加工して
作った紙に書いていきます。
これがまた、想像を絶するほど
美しく豪華で繊細な贅沢品なのです。
優雅なる小宇宙という表現はまさに。
小さなものは、ほんの絵葉書ほどの
サイズの獣皮紙にびっしりと
文字と装飾デザインが描かれています。
あまりの細かさに
裸眼ではよく見えないほど!!
こんなに細かいものを
どうやって描いたのでしょう!?
小ささが伝わりますか?
展示されていたのは
おもに13〜16世紀の
フランス、イギリス、イタリア
ネーデルランド(オランダ、ベルギー)
などの装飾写本です。
内藤コレクションといわれる訳は
内藤裕史氏により、西洋美術館に
寄贈されたものだから。(2015年)
内藤裕史先生は
筑波大学、および茨城県立医療大学の
名誉教授です。
本業のかたわら、数十年を費やして
装飾写本を収集しました。
写本との出会いは
1985年頃のパリ。
セーヌ川沿いの屋台の古本屋の軒下に
クリップに挟まれてぶら下がっていた
一枚の絵に惹きつけられました。
羊皮紙に手描きされた14世紀の
時祷書(じどうしょ・中世の写本)で
その絵に惹きつけられて
ポケットの現金をはたいて
5点ほどを購入したそうです。
それがはじまり。
内藤先生の手元に唯一残された
お氣に入りの一枚。
ギステルの時祷書。
デスクの脇に置かれているそうです。
なんとも言えないユニークさ!
内藤先生と長い親交のある
ロンドンの古書ディーラー
リチャード氏によると
内藤氏は『自分の好みと判断に忠実』
だったそうです。
自分のコレクションに
加えるべきものに出会えた時は
決断力を発揮して素早く行動した、
…と語ります。
中世の無名の画家の
無銘の作品の中から
自分の目だけで選び取る
…いうこと。
オークションに出して
金に変える事だけを目的としてたなら
有名な画家の有名な作品を選ぶのが
普通でしょうが…。
中世の音符の記された写本
各地にバラバラになっていた
写本が一同に集められ
国立の美術館を安住の地に
することができた。
これは素晴らしいコレクターの
偉業に他なりません。
会場はステキな空間でした。
ステンドグラス絵付け教室展
たくさんの方々にお越し頂き
ありがとうございました!!!