『なぜ世界は不幸になったのか』・その4 | くらえもんの気ままに独り言

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 先週より適菜収氏の『なぜ世界は不幸になったのか』を取り上げておりますが、今回が最終回になります。


前回までの話はコチラ

『なぜ世界は不幸になったのか』

その1 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11962570917.html

その2 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11962571163.html

その3 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11966074369.html


 これだけ昔の人たちが大事な言葉を残してきているというのに、現代人はこれらの歴史によって磨き抜かれた言葉の数々をあまり大切にしようとはしていないようです。というより大切にする能力がないものが現代社会を支配してしまっているといった方が正確でしょうか?


 それでは、最後の8名の言葉です。


ウォルター・リップマン

「公共の事柄に対する意見は社会の正常な成員によるものだけではないし、また選挙、宣伝、支持者集団のためには数が力となるものであるから、注意力の質はなおさらに低下する。読み書きのまったくできない人たち、精神衰弱者たち、たいへんに神経質な人たち、栄養不良の人たち、欲求不満の人たちからなる大衆の数は相当に大きい。」 (『世論』より)


 公共の事柄を決める能力について問題のある人間であろうと一票は一票ですからね。


 なので、能力のない人間が投票に行かないこと自体は別に問題のあることだとは思いません。(どちらかと言うと能力のない人間が投票に行くことの方が問題ではありますが。)


 しかし、自分は能力がないので投票に行かないと言う人がいたら、その人は投票に行くべきでしょうね。たぶん、他の人より正常ですから。


 むしろ、投票率の低下に関して問題視したいのは能力のない人間の数が増えてきている可能性が高いということでしょうか。


福沢 諭吉

「人間社会の事は千緒万端にして、ただ政治のみをもって組織すべきものに非ず。人の働もまた千緒万端に分別してこれに応ぜざるべからず。すなわち人事の分業分任なり。」 (『学問之独立』より)


 人間社会は複雑だから政治だけでどうにかなるものではない。人はそれぞれの役割を果たすべきだ。って意味でしょうかね。


 と言いましても、私も自分の専門外の事にいろいろ口を出してしまっている身でして・・・(;^_^A


 もしかすると、こうやって政治とか経済に口を出すのってよくないのかもですね。でも、今は専門家のレベル自体が問題になってきてますからね(専門家だからこそ劣化してきているという可能性もありますが)。いや、もう手遅れだということなのかもしれません・・・。


 それでも、自分の価値観においてやるべきと思うことをやるしかないのですが。


 エリートのみなさん、ぜひとも古典を読んでくださいまし(>_<)


山本 七平

「「さまよえる」という状態は、ある意味では世界に共通していると記した。これが全世界が、西欧の啓蒙主義以降の思想に何らかの形で影響を受けたという結果に外ならない。」 (『「さまよえる」日本人』より)


 この本を読んでいないので、山本氏が何を言いたかったのかはよく分かりません。


 啓蒙主義以降の思想、つまり自由バンザイ、民主化バンザイみたいな思想の事でしょうか、これによって全世界が「さまよえる」という状態になったということなのでしょう。


 そりゃ、そうでしょうね。類が進むための道標は我々が歩んできた足跡に記されているわけですから。これに見向きもしなければ迷子になるのは当たり前です。(そういう意味で書かれてるのかな(;^_^A?)


シャルル=ルイ・ド・モンテスキュー

「代表の大きな利点は、彼らが政務を議論する能力を持っているということである。人民は、まったくそれに適していない。そのことが民主政の大きな欠陥の一つをなしている。」 (『法の精神』より)


 人民は政務を議論する能力を持っていないから代議制によって議論する能力のある人物を選んで政治を行ってもらうというわけですね。とは言え、現代日本においては選ばれた議員がに果たして議論を行う能力があるのか甚だ疑問ではありますが・・・。


 しかも、先の選挙で与党が大勝しましたので、国会においての議論はもはや行われないこと(形式的には行われますが、それは議論とは呼べません)がほぼ確実になっております。


 モンテスキューはこういう事態をも想定して民主政は欠陥があると言ったのかもしれませんね。


マックス・ヴェーバー

「政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、堅い板に力をこめてじわっと穴をくり貫いていく作業である。(中略)しかし、これをなしうる人は指導者でなければならない。いや指導者であるだけでなく、―はなはだ素朴な意味での―英雄でなければならない。」 (『職業としての政治』より)


 これまた難しい表現・・・。

 読書慣れしていない私orz


 まぁ、あれです。情熱も判断力もない人は政治なんかできないってことですかね。


 はなはだ素朴な意味での英雄ってどういう意味でしょうか?


 英雄と言えば、ヒーロー。ヒーローと言えば正義の味方。正義の味方と言えば、悪を倒し人々を守る存在・・・ってなイメージですが。しかも指導者でもあると。


 政治家は情熱と判断力を兼ね備え、そして、指導力もあって人々のために体を張れる人じゃないと務まらないって事という風に解釈しました。


 この言葉だけで分からなければ、本書を読めば適菜氏の解説がのってますので、そちらの方で(;^_^A


開高 健

「戦争も死もない。ただ計算機の唸りがあるばかりなのだ。この国の空気はおそらく酸素と窒素と『死』で構成されているのだ。数字にすぎなくなった『死』で。」 (『ベトナム戦記』より)


 死はただの数字になっちゃったということでしょうか。開高氏はベトナム戦争での経験で死というものが日常化し、数字にすぎなくなったということを表しているようです。


 無機質なもので満たされてしまうと、そこには感情がなくなってしまいそうです。


 でもそれって、人間としてどうなんでしょうか。


 死は数字にすぎない。だとしても、そこから目をそらしてしまうと、何も見えなくなってしまうのではないかと思います。


ニッコロ・マキャベリ

「運命がその力を発揮するのはそれに抵抗できるような力が組織されていない場合であり、それを防ぐ堤防や堰がないことが明らかな所にその猛威を向けるのである。」 (『君主論』より)


 〇〇は滅びる運命だったのだ。っていう話はつまり、それに抵抗する力を組織しなかったから滅びてしまったというわけですよね。


 震災対策にしてもそうです。対策してないところがやられるのです。


 病気も予防を怠ると簡単にかかってしまいます。


 ネオリベスだって、壁のないところからやってきます。(by『もう一つの進撃の庶民』)


 運命論なんてものは、対策を怠った者たちの言い訳に過ぎないってことなのかもしれませんね。


アレクシス・ド・トクヴィル

「どんな革命も古い信仰を揺るがして権威を弱め、人々の共通の観念を弱らせるものである。あらゆる革命はだから多少とも人々を自分の中に閉じこもらせ、一人一人の精神の前にほとんど際限のない空白を置くことになる。」 (『アメリカのデモクラシー』より)


 革命は人々の精神的支柱を取り払ってしまうってことなのかもしれませんね。


 そして、自己の中に閉じこもった結果、大衆性が増してしまうということなのでしょう。


 逆に現代日本では為政者が改革改革言ってますからねorz


 為政者の手によって国民がどんどん大衆化させられるという恐怖展開・・・。まぁ、安倍政権にとっては国民が大衆化してしまった方が操りやすくて好都合なのでしょうが・・・。


 もはやこれまで!?



 というわけで、全部で4回にわたって適菜収氏の『なぜ世界は不幸になったのか』を取り上げました。この本を読んで、もっと古典を読んでみたいという気になってきたので、来年は頑張って古典を何冊か読んでみるとしますか(‐^皿^‐)


 書いてあることは難しいかもしれませんが、新渡戸稲造いわく一度艱難して読めば、あとは自由自在に読めるらしいですし。


 ちなみに今回の部分で適菜氏が言いたかったことをまとめるとこんな感じです。


・民主主義には問題が多い

・政治家になってはいけない人間が政治をしている


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