理科の指導はツライよ!? | 中学受験講師ブンブンのブログ

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中学受験の塾講師とプロ家庭教師をしています。指導のあり方、入試情勢、教えて思うことなどについて、書いていきます。

今回は、理科を教えるのはツライという話です。

私は長年、中学受験指導の仕事をしてきました。

家庭教師としては、需要が多い算数を主に教えています。

でも塾で教えてきた教科は、ほとんどが理科です。

どの教科を教える先生でも、自分の教科はキツイと言いたくなると思いますが、今回は理科を教えるのは辛いという話です。

 

 

【1】指導が苦手な分野ができやすい

他の教科に比べて、苦手な分野・領域ができやすいのは圧倒的に理科です。

■算数の場合

算数なら「速さと比は得意だけど図形の相似は苦手」とか「消去算などの文章題は自信あるけど、場合の数はキツイ」という先生は、ほとんどいないと思います。強いて言えば、理系の大学生が教え始めて1年目は、「図形の相似を使った問題がなかなかひらめかない」ので予習を特に念入りにする程度はあると思いますけど。

(理工系の大学を出た保護者でも、長男を教える時は余裕がない分野が複数あるものですが、慣れてきた次男の時は余裕で教えられる可能性大です)

■社会の場合

社会は、大学入試の際に必死に勉強する選択科目は、1つか2つです。「世界史」と「地理」で大学受験をした人は、選択しなかった「日本史」にはあまりエネルギーを注がなかった人が多いと思います。

でも中学受験をせずに公立中学・公立高校に進んでも、地理・歴史・公民を一通り授業で習います。

大学受験で《日本史》を選択しなかった学生でも、「寛政の改革」や「承久の乱」の大まかな説明はできます。細かな中身は、参考書をざっと読めば、頭の中に復活します。世界史は大好きだけど、地理は全くダメという先生は皆無でしょう。

《公民の政治分野》《日本地理》も、細かな点は忘れていても、基礎知識と流れは把握できていますから、問題なく教えられると思います。

比較的知識が頭から抜けがちなのが《世界史》ですが、運よく中学受験には基本的に出題されません。ですから、「カノッサの屈辱」「アーリア人」「ピューリタン革命」あたりの用語の意味が完全に頭から抜けていても、直接は困らないのです。

■理科の場合

理科を教えようとする理系の人なら、水溶液の中和計算や、てこのつりあいは余裕で教えられるハズです。

特に問題になるのは、地学です。

地学は理系の高校生は、大学受験にほとんど使いません。

「おとめ座のスピカは青白い一等星」といった「天体」、「白っぽい深成岩はカコウ岩」といった「岩石」の知識は、小5の中学受験生は覚えていて当たり前です。でも「スピカって、あれ?何座だっけ?」なんて生徒の前で戸惑ったら、一気に信頼されなくなります。

東大の理系の学生でも、中学受験に必要な地学や生物の基礎が、不安なのです。

東京周辺や関西ので中学受験を経た中高一貫校出身者なら、短期間で思い出せますが、慣れるまで大変です。

(この事情から、特に理科の先生が不足気味の塾が多いそうです)

 

 

【2】使えない計算・概念がある

算数と理科は、中学生・高校生にならないと使えない教え方があります。

■算数

「方程式は使えない」のは、ご存じだと思います。

つるかめ算でも消去算でも、面積図を書いたり線分図を書いたりして解くことになります。

(正確には、使っても減点はされないけど、教材や他の先生の教え方と違って混乱するから極力避けたいのです)

近頃は、場合の数では「5C2」といった「コンビネーション」は一般的になりつつありますが。

■理科

算数ほどではないですが、理科も慣れない学生が授業をすると大変です。

習わないハズの計算・概念を使って問題を解いても、不正解にはまずなりませんが、問題集の解説と説明が異なり混乱します。

★化学反応式(2H2+O2→2H2O)を使って説明することはできません。

★電圧がギリギリ出る状態ですが、電圧を使った計算は、基本的に教えません。

オームの法則は使えないのです。(強引に教える先生もいるようですが)

 

 

【3】理科社会は「脇役」

中学受験では、1に算数、2に国語。3、4が無くて、5に理科(6に社会)となりがちです。

大変だけど、やりがいがあるのは算数の先生です。

★合格した生徒が、真っ先に感謝するのは算数の先生です。

 理科社会の先生は、あと回しです。

 理科社会は、自宅で時間をかけて復習(暗記)すれば、一定の成績は確保できます。

 ですから、理科の先生に感謝するというより、時間かけて理科頑張ったから自分で自分を褒めようとなるのです。

★理科担当の先生に、面談を要望してくる保護者はほぼいません。

 多くは算数、たまに国語の先生です。

 面倒な仕事が減って嬉しいか、頼られずに意欲が上がらないかは、先生によって違いますけど。

★補習は算数と国語が中心で、理科社会は特訓授業に呼ばれないことも珍しくありません。

 時間講師でしたら、稼げません。

 正社員講師でしたら、算数担当だと質問応対でハードですけど、たいていは同じ給料です。

 

 

【4】家庭教師だと時間の確保が難しい

私は中学受験の家庭教師をしています。

算数・理科は難問でも指導OKです。(社会も必要なら教えます)

すると、理科を教える場合、算数と違って少しの時間しか確保ができないのが悩みの種です。

「毎週2時間の指導で、成績を上げてほしい」と要望があったとします。

すると、理科の時間がかなり短くなってしまいます。

■算数・・1時間40分

算数は「説明して納得させる」のに加えて、数字や条件を少し変えて「類題を作って解かせる」のが必要なレベルの生徒が多いです。偏差値60なら不要な類題演習が、多くの生徒には効果的ですから、時間がかかります。

■理科・・20分

算数に時間をとりますから、どうしても理科の時間が短くなってしまいます。

その20分も、電流・力・水溶液の計算に時間を充てます。

生物・地学などの暗記領域にかける時間が不足してしまいます。

そこで、説明を3分か5分で済ませるために、プリントを用意します。

たとえば、こちら↓

水溶液や気体の性質を復習する際は、説明する時間がとれません。

そこで、一覧表を作って覚えてもらいます↓。

ビニールをかぶせてパウチ加工して、普段は下敷きとして使うこともできます。

裏面には、一部が穴埋めにして、復習しやすくします。
理科の時間が取りにくいので、個別指導ではプリントを多用することになります。
長年理科を教えてきましたが、生徒の理解度や、参考書の改定に合わせるとなると、
手間がかかることに変わりありません。
 
今まで、自分より1段も2段も上の算数の先生は、何人も見てきました。(理科はそうでもない)
ですから、算数と共に理科を教え続けるのも良いかな、と思っています。
 
 
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私は中学受験のプロ家庭教師として、算数と理科を教えています。
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