今回は、模擬試験や入試問題での、出題範囲公開の話。
1学期の模擬試験では、出題範囲が明示されることが珍しくありません。
「算数では立体図形の切断、歴史で平安時代、理科で天体」が出されるなどと発表されます。
【1】1学期は模試でも試験範囲公表
6年生の模試でも、4月~7月は、出題範囲を発表することがあります。
2025年4月13日の6年生「首都圏模試」でも、出題範囲の予告があります。
【算数】
整数・小数・分数の仕組み・四則計算、数の性質、規則性、場合の数、面積を求める問題、角度を求める問題、角すいと円すい、仕事算、食塩水の問題、時計算、通過算、年齢算、条件の整理(集合算)
ただし、これでは対策が取りにくいです。「数の性質」「面積を求めるの問題」といっても様々なパターンがありますから、直前に1時間復習しても、点数が上がるか分かりません。強いて言えば「時計算」「角すいと円すい」「通過算」あたりはパターンの区別を復習すれば、点数が上がりそうな気がします。
これですと、比較的対策を取りやすいのは理科です。
【理科】
動物やヒトの体のつくり、気温、地温の変化、電流と電磁石、もののもえ方
「水溶液」や「力」はほとんど出ないようです。かなり具体的で復習しやすいです。
たとえば『地学分野』は、天体・岩石・気象の3分野に分かれます。今回は気象で、更に細かく地温気温まで絞れているので、対策が取りやすいです。
対策が取りやすいということは、「限られた範囲を復習すれば偏差値アップ」となります。
逆に、特に対策取らないと、偏差値が思うように取れないことになります。
何も考えずに模試を受けたら、ひどい成績になるのは、出題範囲対策をしなかったのが影響している可能性もあります。
成績が伸び悩んでいる生徒の場合、「努力したら偏差値が上がった」という成功体験を実感させたいという考えに賛同できる一方で、「テスト対策するのなら、毎週の学習範囲をしっかり身に付けるのに時間を使いたい」という想いもあります。
【2】2学期の模試は、原則出題範囲は発表無し
そもそも試験範囲の発表は、まだ習っていない内容が出題されるかを確認するのに重要です。
たとえば首都圏模試の6年7月の社会では、地理と歴史だけで、公民分野は出題されません。進度が遅い中小塾での生徒でも、安心して受けられることになります。
しかし、9月以降ですと、出題範囲の発表は、基本的にありません。
夏休み明けの6年2学期になると、正確な実力を判定して、志望校の合格可能性を判定する必要が出てきます。
出題範囲の発表があると、狭い範囲だけ鍛えた受験生が、良い偏差値を出してしまい、正確な判定はできなくなります。
指導者側としては、苦手な分野を鍛えるのに、危機意識を出すのに役立てます。「もしかしたら苦手な流水算や電流が出題されるかもしれない。復習するなら今が絶好の機会だ!」というわけです。
【3】入試問題でも範囲の公表が
実際の入試問題でも、学校説明会に行けば、入試問題で何が出るか公表してもらえることがあります。
たとえば1回目入試の社会では、「地理は北海道・東北中心、歴史は幕末から明治大正時代」などと、出題の大まかな範囲が発表されることがあります。
ただし、出題範囲の対策を取っても、点数アップにつながることは多くありません。
★多くの受験生が、指定された範囲を丁寧に復習してくるため
「北海道・東北中心」と言われれば、多くの受験生が範囲を念入りに復習してきます。
みんな対策を取って受けるわけですから、たいして差はつかないのです。
★範囲が大ざっぱすぎる
「光・音を出題」すると言っても、けっこう範囲が広いです。
学校によっては「物理分野は、1回入試は光と音、2回入試は電流、3回は力を出します」という形の発表になります。
第一志望校なら、結局どの分野も手を抜けません。
それでも、必死に頑張る受験生のために、できる限りの対策を取るのが塾の先生、家庭教師の先生なのです。
★併願校が多い
千葉県埼玉県を受験できる地域にお住まいですと、5校6校と受ける人が多数派です。それぞれの受験校のあいまいな範囲の発表に振り回されるのは、あまり得策とは言えません。
勉強のペースが乱れてしまいます。
【4】たまに具体的すぎる学校も
頑張って予想問題を作るものの、なかなか類似した問題ができないのが現状です。
ところが、2025年1月入試では、具体的すぎる範囲の発表をした学校がありました。
埼玉の開智中です。
レールの伸び縮、開花の計算、日時計などと、非常に具体的な発表がありました。
これなら、対策を取れば、合格に近づきます。
適した問題が、問題集にはあまり見当たりませんでした。そこで、手間はかかりましたが、作ることにしました。

開花の予想問題を作りました。
解答は手書きで書き込みました↑

レールの問題を作りました。
解答は手書きで書き込みました↑
この他、日時計や光の問題も作りました。
家庭教師1人でも、この程度の予想問題を作れるわけですから、地元の塾は開智対策として、予想問題をどんどん作成したことでしょう。対策無しでは驚異的な倍率も重なり、厳しい結果になったのではないかと感じます。
私は模擬試験のための対策を、あまり積極的に進めようとは思いません。
次の模試のためより、入試に向けて実力をつけるのを最優先にしたいのです。
でも、ご要望があれば、対策を取ります。
とりわけ具体的な発表があれば、決められた範囲に向けて力を注ぎたいと考えます。
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私はプロ家庭教師をしています。中学受験の算数と理科を指導します。
「平日の対面指導」は受付終了しました。
★平日遅めの時間帯(20時頃~)は、火・水・木に、リモート指導ができます。
ZOOM利用、1回90分で7800円。
(5月から17時頃から空く曜日ができる見込みです)
★土曜の午前と夜に、リモート指導・対面指導ができます。
対面指導は東京23区の東半分と、千葉県の東京寄り
1学期は月1回ほど指導不可の日があります。
★9月以降は日曜の午前と夜も指導可。
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