先日あるイベントに登壇してこんな相談を受けました。

 

「テストの結果が悪くて子どもが落ち込んでいるときに、どんな言葉をかけるのがいいでしょうか? ドンマイとか惜しかったねとか言われると責められているように感じてしまうようです」

 

思い返してみると、僕の母親の場合は、僕が泣いていたりすると、いっしょに泣いてオロオロするだけでした。当時は頼りにならない母親だなって思ってたかもしれません。でもそれって、いま思うと正解だったなって思うんです。うちの母親が意図してそうしていたとは思いませんけれど。

 

子どもが落ち込んでいるのを見ると、親はなんとか救ってやりたいと思います。当然の心情だと思います。でも、そんな魔法の言葉はありませんよね。傷ついたときはしっかり傷ついて、痛みと向き合って、そこから何かを学び取って、また立ち上がるのを待つしかないわけです。それが人間的な成長をもたらします。

 

イベントでは、「言葉は要らないと思います。うれしいときもつらいときも、君のことをちゃんと見ているよというメッセージがノンバーバルに伝わればいい。テストの結果が悪かったくらいのときならば、コンビニでケーキでも買ってきて、『いっしょに食べよっか』とでも言えば、気持ちは伝わると思います」と答えました。

 

テストの結果が悪くて落ち込むってところだけで、この子はものすごく向上心がありますから、何も心配ないですよね。ケロッとしている子もそれはそれでたくましくて魅力的ですけど。

 

大人でも、失敗して、落ち込むことありますよね。そんなとき、親しいひとからどうしてもらうのがうれしいですか?

 

ひとに話を聞いてもらえるだけで気が楽になったりしますよね。そこで、そのイベントでは私はこうも付け加えました。

 

「質問には、どういう声をかけたらいいでしょうか?とあるんですが、そもそもそういうときって、こっちから話すんじゃなくて、むしろ聞き役に徹するほうが大事だったりするんですよね」

 

自然に話してくれるような雰囲気ができたらいいですけど、「大丈夫? いま、どんな気持ちなの?」などと声をかけてもいいと思います。

 

子どもが話してくれたら、それに対して、批判もアドバイスもしないで、子どもの気持ちに共感しながら聞けばいいんです。「それ、ちょっとちがくね?」とか「甘ったれるなよ」と内心思っていても、子どもの心の中のモヤモヤを全部吐き出してもらうことが優先です。

 

モヤモヤをぜんぶ吐き出して、それをお父さんやお母さんがしっかり受け止めてくれたという安心感が得られると、励ましたり、アドバイスを伝えたりしなくても、子どもってひとりでまた立ち上がるようになるんです。

 

子どもを見ていて心配になったり、不安になったりしたときこそ、親は自分の思いをそのまま伝えるのではなくて、子どもの気持ちを聞くようにすることのほうが大切だということを頭の片隅においておいてくれたらいいなと思います。

 

※2024年7月25日のFMラジオJFN系列「OH! HAPPY MORNING」でお話しした内容です。