歴史人物が投影された梁山泊の好漢が持つ共通性(五・張飛の投影 前編)-全十四回
4.張飛の投影を確認する ~林冲~ 前編『水滸伝』における林冲は、梁山泊に入山する前は禁軍で武芸を教えており、基本的には至極まっとうな振る舞いをする人物です。武勇という点では共通していても、直情的で粗暴な張飛とは対照的な存在のように思えますが、両者の間には共通点が見られます。最も顕著に見られるのは容姿で、以下のように記述されています。(張飛)・身のたけ八尺、頭は豹のごとく目はまんまるく、燕のおとがい、虎のひげ(※2)(林冲)・生まれつき豹の頭につぶらな眼、燕の頷に虎の鬚、身のたけは八尺ほど(※3)・満山都べて喚ぶ 小張飛と 豹子頭の林冲 便ち是れなり(※4)・林冲は燕の頷と虎の鬚、満塞称して翼徳と為す(※5)これらはいわゆる「豹頭環眼」で、張飛の特徴であり、林冲のあだ名「豹子頭」の由来になっています。2人の容姿は同じ表現で、林冲は「翼徳(張飛)である」と称されていることからも、明らかに張飛を意識した存在です。さらに林冲は、梁山泊の好漢たちが一騎打ちで苦戦する相手であっても、最後に出てきて丈八の蛇矛をふるい、難なく勝利する場面がしばしば見られます。容姿だけでなく、その強さや使う武器も張飛に通じるものがあります。少なくとも林冲の外見や強さは、張飛を投影しているように見えます。「歴史人物が投影された梁山泊の好漢が持つ共通性(六・張飛の投影 後編)」に続く(関連ブログ)「歴史人物が投影された梁山泊の好漢が持つ共通性(一・はじめに)」「歴史人物が投影された梁山泊の好漢が持つ共通性(二・諸葛亮の投影)」「歴史人物が投影された梁山泊の好漢が持つ共通性(三・関羽の投影 前編)」「歴史人物が投影された梁山泊の好漢が持つ共通性(四・関羽の投影 後編)」前回「歴史人物が投影された梁山泊の好漢が持つ共通性(五・張飛の投影 前編)」本ブログ「歴史人物が投影された梁山泊の好漢が持つ共通性(六・張飛の投影 後編)」次回(続き)(※1)本稿ならびに一連の記事「歴史人物が投影された梁山泊の好漢が持つ共通性」において、「好漢」は36の天罡星[天コウ星]、72の地煞星[地サツ星]を宿星とする108人を指します。(※2)岩波文庫『完訳三国志』第1回より抜粋、要約しています(※3~5)岩波文庫『完訳水滸伝』より抜粋、要約しています2 巻の7/3 巻の48/4 巻の78(冒頭の賦)