天使と話をする方法 〔R・シュタイナー〕 | 瑞霊に倣いて

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  『霊界物語』が一組あれば、これを 種 にしてミロクの世は実現できる。 
                            (出口王仁三郎)  

 “天使と話をすることは可能でしょうか。多くの人々は、首を横に振ることでしょう。また、さらに、

 「いままでに、天使との対話を試みたことはありますか?」

 と尋ねるならば、おそらくこれらの人びとは寛大に微笑むことで、このようなぶしつけな質問を退けようとするにちがいありません。一方、天使との対話を真剣に試みたことのある数少ない人々は、このように質問されると、たいていの場合沈黙してしまうことでしょう。なぜならこのような個人的な体験に関して、人が軽々しく心を開いて話すことはほとんどないからです。

 もちろんこの場合、対話という言葉は、わたしたちがふだん理解している日常的な対話とは、別の意味を含むものでなくてはなりません。天使はわたしたちの問いかけを聞いてくれるのでしょうか?ほとんどの場合、わたしたちの問いかけが、天使からの返事を受け取ることはないように思われます。なぜでしょうか?もしかするとこれらの問いかけは、実際には天使からの返事を必要としない事柄に関するものだからなのかもしれません。あるいはまた、わたしたちが、天使からの返事を正しく聞きとることができないからなのかもしれません。そして、このような場合には、天使から伝えられるべき事柄に関して、質問者が自分自身で言葉を見つけなければならないように思われる場合もあることでしょう。

 真剣で誠実な問いかけであれば、天使は耳を傾けてくれます。

 もし天使が欲するならば、眠りにつく前に天使の世界にもたらされたわたしたちの問いかけに対して、目覚めとともに、あたかもわたしたち自身の魂の深みから浮かび上がってくるかのように答えが与えられるのです。

 ルドルフ・シュタイナーは、このような方法で天使と対話をするように助言しています。そしてわたしたちは、このような助言に従うことがたしかに有効な結果をもたらすことを、ここで確認しておきたいと思います

 とりわけ、精神的なものに関わる創造的な仕事がうまくはかどらない場合には、天使との対話が奇跡を呼び起こす可能性があります。文筆活動にたずさわったり、その他のなにか精神的な事柄を準備したりしている人は誰でも、ときには袋小路に迷い込むことがあるものです。仕事は行き詰まり、アイデアはまったく浮かんできません。仮にアイデアが浮かんだとしても、それはとうてい「上の世界」から降りてきたものとは思えないような、貧弱なものでしかありません。このような苦境に陥った人が、人間に援助を惜しまないあの高次の力に頼るならば、よい結果がなにも得られないことはめったにないのです。

 では、その人にもし信仰が欠けていたらどうでしょうか?ここで考慮しなくてはならないのは、「信仰とは、必ずしも自分の好きなイメージに固執することを意味するわけではない」という点です。むしろ信仰とは「内的に開かれていること」、あるいは「確信しながら迎え入れること」と理解することができるのです。

 

 冬の夜遅く、ある若者が一人で道を歩いていました。彼は一日の仕事を終えて帰るところでした。高い山の影で、自然の静けさを深々と吸い込むと、彼は石の上に腰を降ろしました。目の前には小さな湖がありました。湖には星がいくつか映っていました。わずかな風のそよぎも感じることはできませんでした。

 若者が深く考えに沈みながらその場所に座っていると、暗い山の背後から月がゆっくりと姿を現わしました。不思議なことに、 彼はこの月をよく知っているような気がしました。

 「あなたは、わたしが地上の人生に足を踏み入れるときに潜り抜けた門ではないだろうか?」

 若者はそう問いかけました。

 「わたしがそれを思い出せないということがありうるのだろうか?」

 すると、突然彼はその記憶が甦ってくるような気がしました。魂たちの輪舞が地球に近づいていきます。この輪舞のなかに、彼自身も混じっています。そして、この輪舞は、ある力によって―― ほとんど言葉で描写することすらできない強度とともに―― 満たされていました。

 ふと気がつくと、若者は惨めな地上の現実の中にいました。誕生以前の存在のこの力に較べると、自分自身が哀れなほど小さく、弱々しいものに思われました。この記憶が体験となって浮かび上がってくることは、二度とありませんでした。しかし、一つだけ大きな疑問が彼の心に残ったのです。それは、次のようなものでした。

 「その圧倒的に強い存在の力を、まだ生まれていないいくつもの魂のなかへと注ぎ込んでいるのは、高次の存在たちではないのだろうか‥‥‥?」”

 

(ダン・リントホルム「シュタイナー天使学シリーズ④ 天使がわたしに触れるとき」(イザラ書房)より)

 

*このルドルフ・シュタイナーが教えてくれた「天使と対話する方法」、つまり「眠りにつく前に天使に問いかけると、目覚めとともに、あたかもわたしたち自身の魂の深みから浮かび上がってくるかのように答えが与えられる」というのは、以前紹介させていただいた、「死者との交信」のやり方と同じです。この方法は、天使以外にも守護霊、あるいは日ごろ信仰している神仏に対しても有効だと思います。

 

*何か信仰をもっておられる方のほとんどは、毎晩就寝前にお祈りをされていると思いますが、これは非常に良い習慣だと思います。異界からのメッセージは、睡眠中に夢で受けとることもあれば、目覚めの時のこともあります。ここに書いてありますように、目覚めの時の場合は、外部からメッセージが聞こえて来るのではなく、あたかも自分で思いついたように、自分自身の内部から発せられるということです。

 

*シュタイナーは、人間の利己的、物質的な願いは天使たちにひどい苦痛を与えると言っています。さらに、大天使ミカエルは、まずは人間が自立することを求めていると言われています。高次の力は援助を惜しまないということですが、やはり「人事を尽くす」ことが前提のようです。

 

*この本「天使がわたしに触れるとき」は、イザラ書房から刊行された「シュタイナー天使学シリーズ」の④番目で、他に①「天使と人間」、②「魂の同伴者たち」、③「悪の秘儀」があります。天使について真面目に関心を持っておられる方には非常に有益な本だと思います。私には特に「悪の秘儀」の内容が衝撃的でした。

 

 

・死者との交信  〔ルドルフ・シュタイナー〕

 

 “眠りに落ちる瞬間は、とりわけ死者に話しかけるのに都合がいい。死者に何かをたずねたいならば、質問を魂に刻みつけ、眠りにはいる瞬間、死者に問いを発するのだ……。いっぽう覚醒の瞬間は、死者からの交信を受けるのに最適な時間である。

 

 なぜならば―― とシュタイナーは語る―― 目覚めのときには誰もが、「死者からの無数のたより」をともなってくるからである。

 しかし、そこで奇妙な問題が生じる。死者と話をするときは、両者の関係がなぜか逆転するのだ。生者が死者に質問をすると、その問いは死者から発せられてくる。つまり、「死者がわれわれの問うた質問を、われわれの魂に吹き込む」のだ。「そして死者が答えるとき、答えはわれわれの魂から出てくる」。「死者との交信を確立するとき、われわれは自分の言葉を死者の中に聞き、死者の答えを自身の魂から受けとらなくてはならない」。

  

(コリン・ウィルソン「コリン・ウィルソンの来世体験」三笠書房より)