42~世界を変えた男~('13年11月 大阪ステーションシネマ) | Que amor con amor se paga

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原題名:42:The true story of an American Legend


大リーグでは、4月15日、全員が背番号『42』をつける

チーム、選手、敵、味方、関係なく

大リーグ共通の永久欠番で、黒人初のメジャーリーガーとなった、ジャッキー・ロビンソンに敬意をはらう日


彼が、ドジャースに入団し、新人王に輝くまでの奇跡を追う実話に基づいた映画


予告編はこちら、あらすじいってみる






時は1945年の米国

終戦の知らせが、ラジオで届く頃。

メジャーリーグは、白人だけが在籍し、黒人は球場をバスで巡業してまわる『ニグロリーグ』で活躍する時代。

傘下人数400人と決まっているメジャーリーグの選手が、この年初めて、一人減った。

ブルックリン・ドジャースのGMリッキー(ハリソン・フォード)は、欠員を埋めるために
あえてニグロリーグから優秀な選手を選ぼうとする。

彼はキリスト教の一派のメゾシストであり、人種差別が撤廃されていない当時の米国の風潮の中でも、
差別は神の御心に反するとあえて口にする男だった。

アシスタントのハロルド(T.R.ナイト)はチームだけでなくメディアからの攻撃をうけると猛反対。

しかしリッキーは、ドジャースがペナントレースに優勝するためには、どんな逆風にも立ち向かえる男が欲しいという。

膨大な資料の中から、リッキーが選んだのは、ニグロリーグの一つ、カリフォルニア・モナークスのジャッキー・ロビンソン
(チャドウィグ・ボーズマン)だった。

大学時代はスポーツ万能、南北戦争時は陸軍将校、日常ではスーツ姿で身だしなみに気をつけ、
人種差別に早くから問題意識を持っている正義感の強い選手だった。

しかしフロント陣は、彼の行き過ぎた正義感が故の、気の短さを気にかける。

リッキーは、それに対して、彼も自分と同じメゾシストだ、わかってくれると一点張りで、強引に入団を薦めた。


リッキーはロビンソンを、ドジャースの二軍である、モントリオール・ロイヤルズに入団させ、監督のレオ(クリストファー・メローニ)には、
差別するな、能力をみろと何度も釘をさす

そしてロビンソンには、どんな屈辱をうけても仕返しをしない勇気をもてと諭すのだった

ロビンソンに対する風当たりは四面楚歌も同然だった。

リッキーは、その事態を予測し、黒人記者のウェンディル
(アンドレ・ホランド)をロビンソンと彼の妻レイチェル(ニコール・ベハーリ)のフォローにつける


しかしロイヤルズの面々は、彼と試合する事を拒否する嘆願書まで出し始め、
遠征先ではホテルに泊まれないであろうロビンソンの為に、支持者の宿を提供しても、
チームメイトや熱狂的な野球ファンの嫌がらせに遭い、一人だけ追い出される。

ついには遠征先のホテルまで、長年の付き合いを断りはじめた


オレたちは野球がしたいんだ、お前がいると野球ができない


そういわれ傷つくロビンソン


一軍に上がってからは、チームメイトからだけでなく、対戦相手や審判も敵となった。

得意の俊足をいかしての盗塁も、明らかにセーフでも審判はアウトだという

煽るようにボールを投げてくるピッチャー

ディマジオにも『マカロニ野朗』と揶揄する口の悪い差別主義者で知られる
フィリーズの監督チャプマン(アラン・テュディック)は、ロビンソンが
登板する度にあからさまにNワードを連発した


何を言われ、差別され、罵られても、
『また何かいってる』と『無関心』を装うのではなく、受け止めながら耐えろ



…心の中の教えに従うものの、ロビンソンは、その怒りをバットをへし折りぶつける


折しも、監督のレオが女優との不倫騒動を新聞にスッパ抜かれ、オーナーの
ハッピー(ピーター・マッケンジー)はイメージダウンにならないようにレオを解雇

球団は監督なしで試合を続けなければいけない羽目に陥る

リッキーは引退した旧友のエベット(トーマス・ヘルゲランド)を説得し、
当分の間の監督代行という形で呼び戻す


グラウンドであからさまに罵られ、いやがらせを受ける彼を、チームメイトの
スタンキー(ジェシー・ルークン)が庇うところから、チームは変わっていくのだが…


以下ネタバレです


映画の冒頭で、ニグロリーグの巡業でマイクロバスに乗っているロビンソンが出てきます。

白人の経営するガソリンスタンドでバスの給油をしているんですけれど、
こいつがまたイケズなのですよ

ガソリンはピンハネしてるし、黒人だけコーラは有料だとか、お手洗いも有料だとか、
おめーどこぞの新興国の外人料金みたいなコトいってんじゃねぇよ、このボンカスがwwwwです


それに対し、ロビンソンは

ここでは給油しない、別のところにいくから、止めてくれ

お手洗い、いいよ、別のところで借りるから

これが序の口になっていくわけです。

映画観てるほうとすれば、はらはらします。

それが頂点に達するのが、チャップマンが悪口雑言口にするシーンです。

実話らしく、しかもこの暴言はドジャースのホームのエベッツフィールドでの
出来事だったそうで

頼むからもう誰かロビンソンを助けてくれと思います。


やっとのことで、チームメイトから救いの手が出る、チョとホっとします。

チャップマンがこの後に球団オーナーから呼び出されてとった行動は、
なんともやらしいな~と思うんすけど

まぁ、こういう形で『表面上は人の顔たてて仲良くしておきましょうね』って
人いますけどね…アタシはロビンソンみたいに偉大ではないので、できませんwww

影だろうが、表だって言われようがおんなじです


それまでにも、チームの中には、どうしてロビンソンを差別するのか、その所以が描かれています。

嘆願書を作ったから、お前らもサインしろとチームメイトが言ってくるシーンです

最後の最後までうるさいのがカーリー(ブラッド・ベイヤー)

人種差別が根強いサウスカロライナで育ったので、ロビンソンが来た途端、
パイレーツにトレードになり、映画でもロビンソンの方をむいて悪たれを
つくシーンがあります。


他のチームメイトは、皆野球がしたいからまきこむな、というのと、家族や親戚を巻き込みたくないという二派に
分かれているだけ

前者の様なタイプが、スタンキーやブランカ(ハッシュ・リンクレイター)

対ジャイアンツ戦でロビンソンが頭にデッドボールを受けてチームが乱闘になった途端、
ブランカはピッチャーから『このイタ公め!』といわれ、この乱闘は差別に広がっていく

そこから、彼らのロビンソンに対する見方が変わっていく。



後者の様に、家族を巻き込みたくないのが、
映画の予告や、チラシにも出ている、ロビンソンと肩を組んでいる白人選手・ピーウィー(ルーカス・ブラック)

地元シンシナティでの試合の前に、脅迫状を受取り、リッキーに相談しにいく。

リッキーは

お前のことなんざ心配せん

…の一点張り。

ピーウィーに限らず、他の選手からも同じ相談を受けてきたのだろう。

何かあったら面とむかってモノいわずに責任者に
泣きつく選手なんかいらねぇわwww


…なワケです。

リッキーは、ピーウィーの前で、どさどさどさ~っとファイルを出してくる、それは全部脅迫状。

ロビンソンはこんなもんじゃない、その覚悟でメジャーにはいってきた、それをどう思うんだ?と。

ピーウィーは地元シンシナティでの試合に臨む、そこには甥っ子のフレックルス(ヘンリー・フレッドマン)も来ている。

とまどいつつ周りの大人にまじりヤジをとばす甥っ子に見えるように、ロビンソンと肩を組むピーウィー

君を家族に紹介できてよかった…

そして彼はいうわけです

全員が背番号42をつければ違いは判らないさ


こんな風に意識が変わり始めたチームメイトに支えられ、ロビンソンは俊足を生かし、チームに貢献していき、ドジャーズも
本来の力を発揮していく。

観客席にレイチェルが来ていても、ウェンディルのフォローがあっても、ロビンソンは誰にも
頼ろうとしない。

生後半年で父親が失踪し、差別と常に戦ってきた彼には、頼る術はなかった。

そんな彼に、ウェンディルは何故自分がいつも三塁側の席でタイプライターを持っているのかを言う

黒人というだけで記者席に入れないからだと、戦っているのは君だけじゃない、戦場こそちがえど僕も同じだと


その時から、ロビンソンは少しづつ周りに心を開くようになり、ドジャースはシリーズ優勝へ躍進
していくという所で映画は終わります。


この映画の製作は


7歳の時からロビンソンのファン


…つー筋金入りのファン…というか、ヒーロー大好きのトーマス・タル

過去にも『バットマン三部作』や、
『マン・オブ・スティール』を手がけ、埋もれていたヒーローをよみがえらせて来た。

今回は製作総指揮に、
『ザ・ハリケーン』のジョン・ジャシュニを迎え、この手のスポ根+偉人伝映画にしては、
異色ともいえる主力スタッフをそろえた

監督・脚本はブライアン・ヘルゲランド

『LAコンフィデンシャル』
『マイ・ボディガード』
『サブウェイ123』
『グリーンゾーン』など、硬派な作風で知られている

音楽は、ロバート・レッドフォードと組むことで知られていて、代表作は、
『ランナウェイ~逃亡者~』や、マカ坊の
『声をかくす人』などのマーク・アイシャム

撮影は、ロバート・ゼメキスと組むことで知られる
『フライト』などのドン・バージェス

…など、他にも『その作品を手がけた人が?』と思うようなイメージできないところから
人材が来ているのがこの映画の特徴。



映画化権を握るレイチェル夫人のいうことを、そのまま聞いていたら永久に映画化できなかった。


…つーのはホントなんだろう。

主演ふたりのキャスト選びだけで、どんだけ難航してるんだと思う


また、野球+偉人伝を映画化するというのは、相当リスクが要る

スタッフは徹底的に時代考証すると、同時に、完璧に再現することが不可能な箇所を
どう融合させるかに腐心したらしい。


実際に使用+再現された球場は以下の通り


1:エンゲル・スタジアム(テネシー州・チャタヌーガ:ドジャーズの本拠地・エベッツ・フィールドとして)

2:ルーサー・ウィリアムス・フィールド(ジョージア州・メイコン:モントリオール・ロイヤルズのキャンプ地として)

3:リック・ウッド・フィールド(アラバマ州・バーミンガム:カンザスシティ・モナークスの本拠地として)


当時の面影を残しているというのが条件だったらしく、リック・ウッドは現存する米国最古の球場

それだけに、球場そのものは、とんでもなくオンボロで、
『グラディエーター』のコロシアム再現ぐらいタイヘンだったそうな

エベッツ・フィールドに関しては、どこのマニアが持っていたのかしらないけれど

球場の設計図が、ネット上に載っていたらしい(滝汗)


スタッフがダウンロードしてデジタルコピーして図面を起こしてアレを再現したそうな


元の球場は、全てロビンソン自身がプレーしていたらしいので、撮影に使用するだけでなく、
球場として使えるように整備するというのも、映画スタッフ以前に、野球を愛しているんだろうなと。


映画のエンディングクレジットで、選手の後日談が出て来るのだけど、それはそれとして、
ロビンソンがドジャースに入団する時に、駅まで数人の黒人の男の子が送りに来ているんだな。

そのうちの一人にロビンソンがボールをなげるシーンがある。


これはうまく入れた作り話だと思うのだけど

受取ったのが、エド・チャールズ(デュガン・ブラウン)という設定

ロビンソンの後を追い'62年にアスレチックに入団、同じように俊足を生かして活躍する
ことになると


映画に出て来るブランカの娘婿がボビー・バレンタインというのも驚いた。

どこで野球というのがつながっているのかわからない


A life is not important except in the impact it has on other lives

(他の人々に影響をあたえてこそ、人生は重要なんだ)

あえてジャッキー・ロビンソン自身が残した言葉で締めくくるほうがふさわしい感想
かもしれない


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