ランナウェイ~逃亡者~('13年10月 なんばパークスシネマ) | Que amor con amor se paga

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原題名:The Company you Keep

もしかすると私的にベスト3になるかも、この映画

パンフの作りもシブくてカッコいい

これから話題作、期待作待機中なんだけど、予告見る限りでは、これを抜くのは
内容的にある意味、チョと難しい。


公開している映画館の数が限られているのが残念


演じるロバート・レッドフォード

『大統領の陰謀』を演じた時の過去の自分への挑戦状をたたきつけるようで、
面白い映画でした

今、30代や40代前半の男性が、未来への自分への挑戦状をたたきつけるなら、
そして逆もまた真なりとするならば・・・


手に入れた別の人生、30年間守り抜いた嘘の向こう側にあるものとは・・


'70年代に実在した過激派『ウェザーマン』をベースに書き上げたニール・ゴートンの同名小説を
映画化


予告編はこちら、あらすじいってみる






ヴェトナム反戦を訴え、各地で爆弾テロや銀行強盗を繰り返した伝説の過激派ウェザーマン

全米を震撼させた彼らは、ミシガンでの銀行強盗襲撃事件を最後にFBIの指名手配リストに載り、
メンバーの一人は自殺、残るは別人になりすまし、忽然と姿を消す・・・


30年後


人権問題を扱う弁護士ジム・グラント(ロバート・レッドフォード)は、11歳の娘イザベル(ジャッキー・エヴァンコ)を愛する
シングルファーザーであり模範的市民として暮らしていた。

しかし彼の生活はとある記事と事件で一変する。

元ウェザーマンのメンバーであるシャロン(スーザン・サランドン)が逮捕され、ジム・グランドは、
地元のオールバニ・サンタイムズの新聞記者シェパード(シャイア・ラブーフ)により素性を明かされてしまう。

グランドの本名はニック・スローン

ウェザーマンの元幹部で、ミシガン銀行襲撃事件の首謀者として殺人犯として指名手配されていた。

シェパードが興味半分で暴いた記事により、スローンは『ジム・グラント』として築いた地位を全て捨てなくてはいけなくなる。

娘を長年疎遠だった弟・ダニエル(クリス・クーパー)に預け、自分は過去のウェザーマンのメンバーを頼り逃げ続ける。

しかし過去のメンバーは、それぞれ平穏無事な暮らしを持っており、誰もがこの事件を知りつつ関わりを持ちたくない顔をしていた。

スローンが何故逃げるのか、その目的だけはわかっていながらも…

スローンは、ウェザーマンの元メンバーで実行犯だったミミ(ジュリー・クリスティ)を探していた。

殆どの元メンバーが、別の人生を歩んでいるにも関わらず、ミミだけが当時のまま反体制派を貫いている。

彼のとある目的の為には、ミミが必要だった。

スローンは材木工場を営む元メンバー・ドナル(ニック・ノルティ)を尋ねる。

ドナルは足のつかない車をスローンに用意し、元メンバーでシカゴ大学で教鞭を取る元メンバーのジェド
(リチャード・ジェンキンズ)を紹介する、彼ならミミの居場所をしっているはずだと。

スローンの強盗計画に最初から反対だったジェドは、ミミに逢いにいこうとするスローンの考えが判らない。

しかし娘のためだ・・という言葉に何かを悟ったのか、ジェドはミミが今パートナーとして選んでいる
であろう、株の投資で暮らしているマック(サム・エリオット)の連絡先を教える。

しかしマックは、今、ミミは陸路に旅立ったばかりだとスローンに告げるのだった。


スローンはミミがもしも旅立ったばかりなら、行く場所はひとつだと判っていた。


一方粘り強く取材を続けるシェパードは、収監されているシャロンと面会する。


いい加減な事を書くならオフレコにしてもらおうじゃないか


そういいきったスローンへの挑戦状をうけてたつ意味もあり、取材を進めていくシェパード

シェパードはシャロンへの面会の後、当時事件を担当したという所長のオズボーン(
ブレンダ・グリーソン)に出会う。

彼は話すことなど何もないというが、彼の養女であるレベッカ(ブリッド・マーリング)の美しさと、
謎に惹かれて行くシェパード


何故、スローンはミミの行った場所がわかったのか・・・

スローンがミミを探す目的とは、シェパードは、どうやって真相にたどり着くのか、そして
所長の養女という美女は・・


以下ネタバレになります

事件の発端となったミシガン銀行襲撃事件というのは、プロットでいうと
『ミュンヘン』に近いものがあるかもしれません。

その事件に関わる面々それぞれに思惑があり、中には襲撃に対して心の中で反対しているものもあり、という。

いざ、実行に移したときに、無意味に人が殺されていくのをみて、銀行に突入するのをやめたウェザーマンのメンバーは誰だったのか?

その時に冤罪を被せられ、今も罪なき罪の故に逃げているのは誰なのか?

FBIに指名手配される事件がきっかけで離散した面々は、お互いを許しているわけでもない。

この当時かかわりあった人間同士は、もう過去にふれたくないと、過去の過ちにフタをしている人間ばかり。

収監されたシャロンは、面会にきたシェパードに言う。

私たちが語ることは何もない、貴方が直接スローンにあって確かめなさい

その人の、人となりを知ろうとして、回りからガサいれするかの様に、聞き込みする人がいますが・・・

それじゃ、ヘソを曲げられますよ、という忠告なんでしょうねぇ

どうしてスローンがそこまでしているのか、何もしらないオバカさんじゃないでしょ?ということなのです。

いっぱしの記者ならそこまでやってみなさいと。

それと同時に、自分たちウェザーマンの人間と違い、スローンとミミはある意味特別だったと・・・


スローンは、ミミは逃げるならここしか来ないだろう、というので、カナダの山奥にあるとある山小屋に行く。

そこにスローンがたどり着いた、すぐ後にミミが来る。

ミミは、スローンが来た目的が判っていた。

11歳の娘を守るために、30年前の事件の冤罪を晴らしてほしいということなのだ。

ミミが自首すれば、スローンの冤罪は晴れる。


スローンは銀行襲撃事件を計画はしたものの、実行犯ではなかったワケです。

実行犯はミミだった。

襲撃事件のどさくさで守衛や民間人が殺されていくのをみて、本来の人権擁護の目的からずれて
無意味に人が殺されていくのを目の当たりにし、襲撃事件の現場にはいかなかった。

が、FBIには計画者としてスローンの名前がリストアップされている、それが故に彼は逃げ続けることになる。


でもミミは、自分と違う道を歩んだスローンを、それ以上に許せないことがあった。

ミミとスローンの間にはウェザーマンとして活動していた頃に生まれた娘が居た

それが所長の元に養女として預けられたレベッカだった。

自分たちの若さゆえの我侭で、自分たちの娘の人生を台無しにしてしまった

それなのにスローンは、結婚して生まれた娘にミミのミドルネームをつけて、君の事を片時も忘れたことは
ないという、それは男としての我侭じゃないのかと


そんな彼女にスローンは言う、君はあの日の銀行強盗のままの目だと。

ウェザーマンの元メンバーの目は全員かわったが、君だけが変わらない・・・

運命の出逢いであり、今も愛しているけれど一緒にはなれなかった二人にもFBIの魔の手がそこまで来る


ミミが出て行った後、そこに一足早く来たのはシェパードだった

FBIが来るのを承知の上でだ。

『娘さんに逢いました』『そこまで知っていたのか・・・』

唖然とするシェパードに記事に書くのは自由だというスローン


そしてミミは海の方向へ、スローンは陸路に逃げていく。

ミミは海に一緒に逃げようとする、スローンはミミだけでも逃がそうと自分が囮になる。

当然、スローンの方が先に捕まってしまうのだけど、その直後、ミミが逮捕され、
ミミが自首したニュースを見ながらシェパードが記事を書いているシーンで映画は終わる。


レッドフォードの映画というのは、どんな題材を描いても、どこか清楚な感じがするのだけど、
それが冷たく人をつきはなしたように見えるわけではない。


この映画におけるジム・グラント=ニック・スローンは
『レ・ミゼラブル』におけるジャン・バルジャンの
ような存在でもある。

わずかな罪、そして冤罪により重すぎる刑を与えられ、そこから逃げ続けなければいけなかった男が、
何かのきっかけから、間違ったことはしていないという思いと誤解されてはいけないという確信の元に
身の潔白を示していく話だ


そんなレッドフォード演じるニック・スローンに食い下がるシャイア・ラブーフ演じるシェパードの姿は、
『大統領の陰謀』でレッドフォードがかつて演じたボブ・ウッドワードそのものだと思う。


そして映画の根底を支えているのが、遠い日にすれ違いかなわなかった思いというのも、また観る人を
ひきつけるのではないだろうか。

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