アマヤドリ -82ページ目

ちゅんの友達


ちゅんの友達たち。

わたしたちにもごはんをちょうだい、と、並ぶ。

こんなときのちゅんはちょっと、窓辺のお嬢様みたいに見える。

おばあちゃんとの一夜

友達がおばあちゃんのうちに行って似顔絵をかいたんだよという話をしてくれた。私もおばあちゃんに会いたくなった。ちょうどおうちの近くに行く用事ができた。

素敵なものを皮膚で感じ、たくさん胸に吸い込めた用事だった。
大事なことばが降ってきた日だった。
そのことはゆっくり書きたいと思うけれど果たしてことばにできるかどうか…。そのくらい、ほえーっとなった、日。


私がご飯を買ってゆくよと言ったのに遅くなってしまった。
おばあちゃんは待ちきれなくてうなぎをとってくれていた。
自分が美味しいと思うものをひとに食べさせたくて仕方ない、おばあちゃん。
うれしくて可笑しくなってしまう。

うなぎを食べながらBSの歌謡番組を見る。
演歌歌手も色々だなぁ。このひとはオペラ歌手だよなぁ?という男の人もまじっていて、おばあちゃんと誰がうまいね、このひとは声に張りがないね、と評論していた。
おばあちゃんは芸達者なひとで昔は能の舞台に出ていたし、少し前までは習っている唄を舞台で発表したりもしていた。
遊びに行くとそういう写真を嬉しそうに見せてくれる。
私が芸ごとを好きなのは、血なのだと思う。

横になりながら歌をくちずさむおばあちゃんをスケッチ。
うえから描くのって難しいな。
できあがりを見せたら「ずいぶん恐いカオだねー」と、あまり気に入らなかったみたい。
でもいいんだ。


一緒にお風呂に入ったりむかしの写真を見たり。
おばあちゃんのいえは代々神主なのだけれど、神主になるその前はとあるとても強い武将だったらしい。
初めて聞いたからびっくりした。
武将。
私は武士だったのか。

デイサービスに昼間行っていたおばあちゃんも疲れていたし、私も感動疲れみたいなものがあって2人とも早くに寝てしまった。
朝ご飯がないよ、と言うから、いつもくだものとスープしか摂らないでいくから大丈夫と言う。
少しいつもよりのんびりうちを出られるからぎりぎりまで寝ていようと思って。



…が。
次の朝、結構ぎりぎりに起きてさぁぎりぎり族らしく大急ぎでしたくするか…と布団をたたむと、おばあちゃんがとんとこにんじんを切りだした。
何を作ってるの?と訊くと今からお雑煮を煮てやる、と言う。

い、今からですか?!
今切ってるにんじんを今から煮るんですか?

でも気持ちが嬉しいし、張り切るおばあちゃんが可愛くて無下にできない。
もう遅刻しちゃう覚悟を決める。



おばあちゃんと向かい合って食べるお雑煮はおいしかった。
小海老入りだった。

すごく熱いけどやっぱり急いで食べたので舌をやけどした。
急いだから遅刻しなかった。
そして、いつもと違ってお昼の時間までちっともおなかが空かず、ぎゅっと仕事をすることができた。

小石川植物園へ 4

友人にしてもらってじわっとうれしかったことを、ちゃんと覚えておいて私もどこかで、なにかしらのかたちであらわそうと思う。
思う、ばっかりではいけない。
もちろん義務のような気持ちになりたいわけでもないから「いけない」とかやらなきゃ、でもない。

こころを注げるようになりたい、だけ。


桂の樹があんなに香るということを私は知らなかった。
だいたい樹に香りがあることをそんなに普段意識していないもの。檜のかおりは覚えているけれど。

桂はとても存在感のあるかおり。いつか桂にであったらすぐにわかると思う。
この日の収穫のひとつ。


植物園へ入ってすぐに、もご子ちゃんは拾ったおばけの葉をたくさんの落ち葉のなかにばいばいした。
なのに、帰り道、もご子ちゃんはいきなり走りだし、そのおばけにまた出会ってしまった。
あれだけの枯葉のなかからよく見つけたね、と、でもなんだかそれは当然のことのような感じすらした。


ひらひらとふりまくことでなく一歩いっぽ、深くおりてゆくことをしたいと思う。
そんな季節なのかな。
それもある。
結実させないといけないな、という自分へのいましめもある。

そして接する友人たちから受けること。
散歩だったりメールのやりとりだったり、日記を見守ることだったり、想いをはせることだったり。

待って、と手を延ばして途方に暮れる朝方の夢が過ぎて。

小石川植物園へ 3


ゆったりと歩く3人をうしろから撮る。
なんだか家族みたい。
まだ早い時間なのに夕暮れみたいなオレンジの光が急にさしてきて、そのひとすじのなかにおさまった4人。
かぞくみたい。



日差しがすっと差し込んだ方向は公園が切れる塀の外。
そとから公園を見るよりも、公園から外の現実の世界を眺めるほうが夢みたいなのはどうしてだろう。

カモはいつもちょっと面白がっているみたいなくちもとをしている。
もご子ちゃんはカモに対してごくごくクールだった。


まるで幼なじみくんがもご子ちゃんに渡したお土産はちっちゃい金平糖。
可愛らしい包みにくるまっていて、それを小さな手が握っている様子は胸がじんとしちゃうかわいさ。
急いで開けて、ちっちゃなとげとげをつまみ、口に運ぶ。
いつ袋をぶちまけちゃうんじゃないか…とはらはらしていたけれど、もご子ちゃんにはちゃんとわかっているんだな。

そして私たちへは、これ ↓

このわらびもちがとってもおいしかった!
餅の部分だけじゃなくてあんこが同じくらいやわらかくて、初めての口触り。

惚れたので、お店を尋ねる。
植物園の近くの和菓子屋さんで買ってきてくれたとのことだったのでそこに寄って、うちへと、友人へのお土産にした。
残念ながらわらび餅がなかったので椿餅を買う。


もみじと紅葉はどう違うの?
と蕎麦仲間ちゃん。
彼女は中国のひとだから、漢字で書くもみじ、との違いがぴんとこなかったみたい。

小石川植物園へ 2


分け入っていきたくなるような場所をみつけた。
じっとたたずんで、そこにとどまりたいような気がした。

めしべの奥の斑点がきれい。
もしもこもこのくまんばちだったら、この斑点は怖いのにどうしても近づいてしまいたくなって花粉だらけになるのかもしれない。
くまんばちはこの花を沈丁花以上に好きではなさそうだけど。

もご子ちゃんのいるほう、いるほうへ鴨も鯉も寄ってきた。
やはり子どもっていきものにとって特別な存在なのだな…。
もご子ちゃんもうれしそうなのだけれど、そのことを一番喜んでいるのはお母さんの蕎麦仲間ちゃんだった。
母の愛は、幾重にも。