アマヤドリ -335ページ目

chaos

ひとひらひとひら
沈黙を舞うそれは
薄桃色の花びらに似ている

宵に穿たれた穴のように
繰り返し迫る闇

時が進むはやさがわからない
あたしは
あたしの瞼はひらいているの


痛みににた冷たさに
白く浮くつまさきを見下ろす
その
薄いひかりを帯びる爪に
侵食する温度

なぜこんなにおもたいの
そう
これは夢なの
だからこんなにも時は
繰り返し迫り
息をひそめる


続いていた音色はついに
辿り着き
通り過ぎた
埋められた朔月のうたごえだから


身をきられ
視界をころして

あたしはそこに染まろうとした

迷宮の宿題

今日は入院している友達のお見舞いに行く。
何でも、すぐ退院しちゃいそうだから早くお見舞いしにきて、とのこと。なんだい。心配したのにな。でもよかった。
色んな話をしたいけれど体にさわらないようにしないとな…
今日だけはわがまま放題だよ!と言ったのに食べたいものを言ってくれない。何をお土産にしようかな。長引くなら絵本をあげようと思っていたのだけれど…やっぱり食べ物かな。

至急『ブリジット・ジョーンズの日記2』を読まなければならなくなった。
謎がそこにあるのかもしれない。
または、まったく意味がないのかもしれない。
ゲームじゃないんだから、と思いつつも、その謎を解きたくて私は必死だ。

サクラノハコニワ

このままの私でまっすぐいたい。この大事なものは一片も失わずに色褪せずにいたい。
まだ何も知らなかった頃からその予感はあって私は必死に願っていた。どうかかわらずにいられますように。この笑顔を曇らせることなく、途切れない真っ白な今を忘れたりすることがありませんように。

些末なことがそれに降り積もり、やっぱりたくさん見失ってきた。
時には手で払いまだそこにあると確かめることもできた。でも大抵は表面の砂に引っ掻き傷をつけるだけにおわった。

そしてそのまま踏み固めてきてしまった。

このさくらの季節に私はその大事なものを本当の意味でまた見つけた。
そこには驚くくらいに無垢で、でも何も知らない無邪気で強い輝きがあった。あたたかくて、燐と強くて、自分のものではないような気がするほど。だけどそれは確かに私自身だった。
私はそれをてのひらに包み一緒にさくらをみた。そしてさくらの風景と一緒に、私はそれをまた大切に仕舞った。
いつでも眺められる場所に。

信じてきたところから動けないのは頑固に過ぎるけれど、ちゃんといつもそこに立ち還ることは忘れたくない。
だってそれだけ大切なものだから。それだけの代償をきっと払ってきた。…そして払い続ける。
幼いと笑われたとしても、そしてこれで傷つき苦しむとしても。
受けとめるって覚悟したんだ。
あのさくらの日に。
あの蒼い空気に指先が染まった日に。
半月を眺めながら遠い街の灯を瞳に映した日に。

そうすれば失くすものなんか何もない。

デジャ・ヴ

昨日はまたcafeに入り浸るために安部公房の『砂の女』を買ってしまった。
安部公房は小さい時に家にあった本を読んでとても皮肉な感じで、でも面白いと思った覚えがあった。いつか手をつけようと思っていたのだ。
砂に包まれた村に、囚われてしまう男のひとのはなし。
この気の狂いそうな狭い空間、というのはすごく覚えがあって、何だろう?と考えたらそう、やっぱり安部公房なのだ。その小さい時に読んだ本というのがたしか核シェルターの話だった。たしか。
この閉塞感はひとりぼっちで家にいるときに読むのはちょっとつらいかもしれない。
もっと元気な時に読んだら楽しめそう。
お芝居の脚本が浮かんできそうな気がする。実際この話はお芝居にされていると思うけれど、そういうことじゃなくて。狭い空間に対して私が多分特別な感覚を持っているからなのだろう。

続きはまた今度読もう。


今日もお昼寝をしたので夢をたくさんみた。
私はあのひとにたくさん質問をしていた。
不思議だけれど、こうして夢を見ることで分かったような気になって、癒されてゆくことがたまにある。自分なりの治療方法なのかもしれない。
ああ、でもこう書いてみて気づいたけれど、その夢に毒されることもやはりあるからやはり心の方向を示しているにすぎないのかな。

治療というのならばこうして書いていること、これがもしかしたらとても私にはよいことなのかもしれない。
なにもかもしっかり覚えておきたいから。


著者: 安部 公房

タイトル: 砂の女

フラクタル

友達の帰郷旅日記を読んで、私もとても友人に会いたくなった。でも私には「今日飲もうぜ」みたいに気軽に誘える友達が、そんなにはいない。
それに昨日から友人が入院したこともあって(前もって分かっていた入院だけれど)急に淋しくなった。
私ってこんなに寂しがりやだったかな。

駆け引きみたいなことはやっぱりできない。
全身でぶつかることしか。
その体当たりをちゃんと受けとめてくれるひとじゃないと…きっと私はそのひとに去られてしまうんだろう。それか私がつまらなくなって去るか。
友達でも、こいびとでも、求めるものすべて。

良いときの体当たりはきっと悪いときの体当たりにまだ負ける。
体当たりするこの私に、ちゃんと実態を感じる自信がないからきっとこんなにも揺らぐんだ。
不確かな、まだ全然完成されていなさすぎてばらばらをどうにか掻き集めて体裁を保とうとしているだけの。


眠りが訪れて夜に身を沈めるのはこの胸のなかのおりに潜ることに似て心地良い。
ふと射す月に優しさを求めてしまう孤独だけが、ここにある永遠の風景。