アマヤドリ -120ページ目

長い車中/26.Feb


デンマークに入るころになってだんだん雪が積もっているのが目立ってきた。
もしかしたら遠くの方は降っているのかもしれない。白い濃い靄に包まれて丘のむこうが見えない。
雪は厚くて固そうで、水際でもいっこうに溶ける様子がない。水びたしの草原はシャーベットにかこまれているんだろう。
あと30分でコペンハーゲン。
懐かしい。
中央駅は何度も往復したのでトイレの場所もどこにインターネットカフェがあるのかも…全部覚えている。
降っているのは雨で、立ち込めているのは霧だ。
それが、去年と違うこと。
霧の匂いをかぎたい。


忘れていたけれど北欧は雪がまぶしいのだった。
窓から入り込む反射に目を細める。

はす向かいのパープルの女の子はペットボトルまでパープルで、見事にコーディネイトしている。

目の前の男の人が上着のポケットから小さい何かを取り出し、右手をかざした。
ちょうどその時窓の外は、霧でかくされていた丘の斜面が姿をあらわしたときだった。
そのせいか分からないけれど、男の人がとりだしたものが生きもので、撫でて可愛がっているのかと一瞬、考えた。
もうこの電車に乗って長いこと経っているのでここではじめてその子を出すわけもないのだけれど。
どうしてそんなことを考えたんだろうな。
脳みそって面白い。


malmoをすぎた。
寒さはコペンハーゲンくらい。ごく近いから、当たり前か。
ストックホルムはもっともっと寒いのかな、と不安になってくる。
友達から電話がかかってくるが、電池がなくて、とることができない。
またひとり。

4時間の長旅。北へ、北へ。
目の前の男の人は、malmoまでも一緒だった。少しだけ微笑み合う。嬉しくなった。
彼はどこに行くのかな。たいそうな荷物を抱えているけれど。(ひとのことは言えないけれど)
…と見ていたら、どうやらストックホルムまで一緒のようだ。

まあるく、



舞台のあと友達と沖縄料理を食べに行った。

一緒に踊ってもう2年になるんだ…。ここしばらく自分のフィールドをもっていなかった私にとって、本当に嬉しい仲間。
本番がおわった今だから話せることもある。

舞台を見て友達に刺激を受けて、それからこうしてお話をして。
試行錯誤しながらも少しずつ進んでいかなきゃ、と背中を押してもらった。
同じ時間を同じ場所で、でもそれそれが突き進んでいるって幸せなことだな。

一緒にプレゼントを選びにいって、私も会社の友達に誕生日のプレゼントを買った。ささやかだけれど。喜んでくれるといいなぁ。


会社のひとと話していてちょっと気付いたこと。
私はいつだって結構幸せで楽しいなあということ。
そうじゃないこともあったかもしれないけれど、過去のあらゆるポイントを通過したこの今がハッピーだから、それがすべてだと思っていい。
楽天的なんじゃなくて、マイナスなことも高みもとても激しいことを知っていて、それを上手に忘れたり無視するすべを知っている。
恐いものをちゃんと見ないようにコントロールするみたいに。
逃げではなく、守っている。
すべてのことには良い面と悪い面があってこれもかなり、私の弱点にも大きく関係があるのだけれど、今は、今日は、それを素敵な質だと感じていよう。

『Life Casting-型取られる生命-』

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友達の舞台を観に新国立劇場へ。
小劇場のほうは初めてだったので入り口にしばし戸惑う。

平山素子さんの踊りは今まで一回しか見たことがなかった。
とてもバランスのとれたからだと表面の涼やかさと包まれた熱のアンバランスさのようなものが、お世話になったひとによく似ている。
とてもストイックなひとだときいていたけれどからだを見て納得。なんて無駄がないんだろう。見本のようなライン。
だけどそこで、私はやっぱりすこしいびつなものに掴まれ、まっすぐ美しいものには距離を置く…という見方をするのかもなあということに思い当たった。
あまりにも整っていて、考えが行き渡っているものに接したとき、ほぉ、って見惚れる以上のものを要求してしまうのだと思う。もっともっと、って。欲張ってしまいたくなる。
どきり、ひやりとさせてほしいのかもしれない。
動かされる理由を欲しがっちゃうのかな。
とても綺麗だったし、始まってからずっと感じ続けたもんもんとしたこんがらがりは最後のシーンで氷解したけれど。


友達の出る2部目を見てやはり彼女の踊りは変わったなぁ、と思う。
シンプルになった…のかなぁ…核に近くなったかんじ。
もともと持っていたやわらかなものを引き上げ、でも覆ってもいたものを気持ち良く脱いで、素直に、透明感を増したかんじ。もしかしたら殻のようななにかが与えたものはそのままに。
纏っている彼女も好きだったけれど今はするんと心地よい。
こんなに変われるんだなぁ。
こころのことともこんなに繋がるんだ、と、彼女の敏感さを思う。

Mさんの踊りはとても動物ぽかった。よい意味で。舞台のうえでいちばん生きものみたいだった。
コンテンポラリーの舞台上のダンサーってすごく灰色だったり白だったり黒だったり、なんだかモノクロな存在として舞台に居るイメージが強い。パーツみたいな感じで。
それが嫌いなわけではもちろんない。
でも彼はなにかそういう空気を演じている気がしなくて…視線のやりかたとか、ちょっとした打ち破りの感じとか隙みたいなものにすごくひきつけられた。
隙というとなんだか悪いものみたい…隙じゃあないんだな、たぶん。なんて言えばいいんだろう。
作られたものを見せられている気がしない、意志をつなげなくてもそこに技巧なく有るもののゆとり、かなあ。
…理由を探そうとすると固くなっちゃってそれも違う気がする。
オランダで彼の本番を見ることができなかったから初めて舞台にあがったところをみたのだけれど、いいなぁ、好きだ、と思った。

Nくんは相変わらず艶やかに光る透明感だった。
どんどんどこまでものびて跳んでくれー!って思う。もっと見たいな。

Nちゃんさんの踊りを久しぶりに見ることができて嬉しかった。
勘や野性で踊る(ように見える)ひとが好きなんだな…きっと。
そこには理由はないから、好きは好き!と不動なんだろう。

酒井はなさんは想像以上のからだの使い方をするひとだったから驚いた。新鮮な嬉しい発見。


作品全体としてはもうひとつほしかったなぁ、と欲張りたいかんじ。
でもそのくらいの贅沢を言いたくなる、すごいダンサーとパーツだったということです。
次回があるなら是非また見たい。

誰もいない東京のまんなか



週末は暇です、という日記にふとこころを動かされ、急遽東京の海へ。




ゆりかもめ(いつもうみねこと言いそうになる)の先頭に乗って。
このあたりは未来だね、という。
宇宙だ。
『惑星ソラリス』みたい。
またタルコフスキーのことを考えてる。恋しくて仕方ないなら、観ればいいのに。大切なものほど遠くにおいておこうとする。



潮のかおり。
からだ全部に染み付いてしまった。
きりんをたくさん見た。
うん、あれは、水際で脚を広げて水面に口をつけるきりんからヒントを得たに違いない。
きりんたちが船にコンテナを積み上げる、重たい音もきいた。

いろんな音がする、と、その素敵な音楽をつくる友達が言ったから、その瞬間から景色には音があふれた。
波に遊ばれて哭く小舟たち、小鳥のような声をあげて軋む夜の木々。
波がコンクリートを洗い、遠くでひっきりなしに車がどこかへ通り過ぎる。
余所の土地から飛んできた飛行機。
私の足音。

海にもうすこしで触れられるところで、友達がつくった曲を聴かせてくれた。
目の前には所々小さな岩が水面から頭を出していて波がそれを洗うたびに波紋がひろがる。
ときにはあらあらしく。
ときには微かに。
広がった円がまた波にぶつかり跳ね返り、潜り、消えたようにそのエネルギーがどこかに散ってゆく。
絶えず変化して裏切って、絶妙の間で、飽きさせない。
ひずんでいても捨てている暗さじゃない。


不思議な時間をまた、過ごした。



きになるめも

6月17日、祖母が昔習っていた先生のお弟子さんのお能の舞台があります。
(祖母の実家には有名なお能台があって、そこで踊った事があるらしいのです)
無料で見られるとのこと。
朝早くから並ばなければならないのだけれど、もし行きたい方がいらっしゃいましたらご一緒に!…私のお母さんとおばあちゃんも一緒だけれど。
場所は横浜のほうです。

お盆に、その祖母の実家のお能台で大きなイベントがあるとのこと。
行きたいなあと思っています。
能を見たいというのと、私のルーツでもあるその神社のことを知りたいということ、それから、おばあちゃんを田舎に一度連れて行ってあげたい、という気持ちがある。
そのために免許をとりたかったんだけどなあ…やはり、ちょっと時間的に無理でした。
どなたか一緒に岩手県の山奥までドライブしませんか?
私はともかくとしてうちのおばあちゃん、デートする価値のある、楽しいひとです。


それから、以前、椅子の展示会に行ってとても気に入った原美術館。
今、ヘンリー・ダーガー展が面白そうです。
あまり明るいタイプの絵ではない…というはなしをききました。
作者は一生を通してほとんどひとと交流をとらなかった方のようです。
だけど、HPの絵を見て、なんだか惹かれました。
http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html
行ってみよう。


そして、『恋愛睡眠のすすめ』。
BjorkのPVを手がけたり『エターナル・サンシャイン』をつくったミシェル・ゴンドリーの最新作。
HP、可愛らしすぎです。
http://renaisuimin.com/