アマヤドリ -118ページ目

2 -L.O.M.


かくれんぼのあと指の腹でその熱と振動をうつしとる。
目を閉じて、導く。

誤ってあたためたくらげのように指の隙間から雫になってしまうから
その迷宮で立ち止まるわけにはいかない。

1 -U.G.


天井からそこまではどのくらいの隙間があるのだろう。
たぶんわたしの背丈には十分だ。たぶん。

あんがい、静かじゃない。
耳を澄ませてやっと、つららに入る光のような音がするくらいかと思っていたのに。

行き場のなくなった水の粒が育ち、私の髪をつたう。

何万ものシャンデリアから落ちるそれは、何万通りもの音で暗闇を満たす。
覚えていてこれを辿ったら着けるのだ、とそっと微笑む。


俯くと刹那ひとみの光を受けた雫が (夜中の信号機の色だ、) また闇に絡めとられた。

モネ展/覚え書き2

●エトルタの日没 1883
この絵の前でも波の音を聴くことができた。
海で遊んだ一日の終わり、幸せが詰まった淋しさ。

●ポール=ドモワの洞窟 1886
水の中がたとえようもなくリアル。
モネの描く水と水面は、空中よりもリアルでシリアスだと思った。
濃い海の中に魚を探したくなった。

●ルエルの眺め 1858
これは近くから見るのが楽しかった。すごく密に塗ってあって。
あめんぼが水を揺らしそうな静けさ。鳥のこえ。

●橋からみたアルジャントゥイユの船着き場 1874
Groningenの公園を思い出した。
しっとりとした空気。

●舟遊び 1887
やっぱり水に映ったほうの人物のほうが、不思議と生きている。
本体が命をもっているとしたら、水面のほうは命の限りを持っている、といったかんじ。

●黄昏、ヴェネツィア 1908
「セーヌ川の朝」と対照的な風景に見えた。
重なりをもった色。

●エプト川のポプラ並木、風の日 1891
葉を揺らす風は一方向からじゃなく、樹をめぐりうずを巻いている。
それにしなやかに身を任せている様がおもしろいと思った。

●ジヴェルニーの積みわら、夕日 1888
積みわらの中ではこれが好き。
わらの端が夕日で燃えているよう。
見ていると、このままたたずんでいたら夕日が動き、私の目を射るかもしれないという気がしてきた。

●テムズ川のチャリング・クロス橋 1903
飛行機から見下ろした、うつろう光のことを思い出した。
雲と霧の中を乱れながら差し、水に届いたときに初めて鮮やかに艶やかに輝く夕日。
やっぱり水のほうが確かに光をとらえて、泳がせる。

世界は見上げるほどひろく、太陽はひとしい。

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つつじの花をくまんばちが渡り歩いていた。
まっくろだしもしゃもしゃなのに、彼の毛皮は軽いから暑そうに見えない。
花びらに包まれて無邪気に景色をゆらす。

はちみつ専門店のことを友達に教えてあげようと思った。
そして、みつばちを見かけても、教えてあげようと思った。

モネ展/覚え書き1


200706101204000.jpg●サン=タドレスの海岸 1864
暮れるほんの一瞬手前をとらえている。
陸と違い水は、いつまでも光を離さない。

●コロンブの平原、霜 1873
霜のおりた白い冷たいはずの景色が、ほんのり内側からあたたかみがにじむように感じさせられる。
冷たさすらあたたかく、影さえも光からできてきる。

●ジュフォス、夕方の印象 1884
はじめに見たときは水の色が菫色でずいぶん重くべったりしているなと思った。
だけど2回目に遠くから、とくにはすのほうから眺めたときにこれが全然暗い色じゃないことに気付いて驚いた。ものすごく澄んでいた。
あんなに色をのせているのになぜ透き通って見えるんだろう…

●無題(レオ、君のために、長年の敬意と愛をこめて)2 1977〈ダン・フレイヴィン〉
モネの作品だけではなくモネが影響をうけている作家や、モネの作品の特徴がコンテンポラリーアートにどう生きているか、ということのわかる展示もされていてなかなか興味深かった。
頭がモネ寄りになっているのを良いタイミングでほぐしてくれたり、または、ふうん…とあまり感銘を受けなかったり感想はさまざまだったけど。

この作品はなんてことのない(と言ったら失礼かな?)オレンジと水色の蛍光灯がとある一室に格子状に(…もしかしたら横のみだったかも…)並べられている。
なんだこりゃ、と思ったのだけれどその白い壁の部屋を見回したら、梁の影やひとの影の近くがうっすら虹色になっていた。
これはこの作品の意図したものなのか…それとも単なる会場の蛍光灯の性質を私が誤って効果としてとらえてしまったのかわからないけれど、勝手にへぇ、と思うことにした。
それに帰ってみてからパンフレットをよく見たら実際はオレンジと水色だけじゃなく、ピンクと緑の蛍光灯もあったらしい。奥の方かな…それとも色を判別できなかったのかな…。なのでオレンジと水色がなぜ虹の色をつくったのかという謎はとけてしまった。

でもこの、影と虹、というこの取り合わせが、すごく好きになった「セーヌ川の朝」の空の色に通じる気がして、嬉しい気持ちになった。

●ラ・ロシュ=ブロンの村―夕暮れ 1889
左に高いもの、濃いもののある構図は落ち着くなぁと感じた。
右利きだからだろうか?
でも目は左利きだしなぁ…。
舞台でも、上手から登場するのと下手からではイメージがまったく違う。(ごく単純に言うと正義の味方は右から出て左からは悪者が出てくるのがたいていのひとの感覚にしっくりいく)
そういうこととつながるんだろうか…とずっと考えていた。






写真は買った絵はがき。
センターの絵が「セーヌ川の朝」