これはちょっと汚い話なので、お食事中の方はお控えください。
敵は兵法三十六計を熟知しているかの如く、緻密な攻撃を仕掛けてくる。
攻撃をしてきたかと思えば、しばらく攻撃を休める。
そうして油断させておいて、さっきよりも激しい攻撃を仕掛けてくる。
まるで波のようにそれを繰り返し、精神をも揺さぶってくる。
そして、ある程度戦意が喪失したと見ると、激しい波動攻撃を仕掛けてくる。
これが常套手段だ。
ここで生き抜くためのポイントを2つ挙げる。
まず1つ。
決して油断しないこと。
例えば、最初に立てた計画では降りるはずの駅が近付いてきた時、そういう時、大抵敵は攻撃の手を緩めてくる。
当然である。
敵も死に物狂いで戦っているのだ。
降りられるよりも、自分のホームである車内で戦うに越したことはない。
それに惑わされてはいけない。
最初に降りると決めた駅では必ず降りること。
これはかなり重要なポイントとなる。
そしてもう1つ。
腹の痛みと肛門括約筋は別物だと捉えること。
肛門括約筋というのは、言わずもがなこちらの最終防衛線、最後の砦である。
はっきり言って、ここが最終決戦の場になるのは最初から決められている。
欲を張って、もう少し前線で敵を撃退しようなど甘い考えだ。
まさに片腹痛い。
敵は腹に鋭い攻撃を仕掛けてくる。
余裕がない状況では、これを最終決戦だと勘違いするパターンがあるが、見誤ってはいけない。
鋭い攻撃を仕掛けているとしても、敵はまだ最後の砦前には到達していない。
まだまだ先の方で攻防しているのだ。
にも関わらず、最後の砦を守るために、全兵力を砦前まで下げるのは極めて愚策だ。
いずれにしても、時間を掛ければ砦は破られるのだ。
いかにして、敵が砦に到達する時間を稼ぐかの戦である。
激痛に惑わされて、自軍の兵を肛門括約筋という名の砦の前に集結させるのは、やすやすと敵に安全な進路を与えていることに他ならない。
極端に言えば、最後の砦を守るのは最後の1兵だけでいい。
敵が来ないうちから砦の守りを固める必要はない。
全兵力を前線に押し出し、砦まで押し込まれた時、それが最終決戦なのである。
逆に言えば、腹に鋭い痛みが走っているのは、まだ前線で激しい攻防を行っている証だと思えばいい。
砦が落とされ敵が雪崩れ込んで来る時は、不思議と痛みは伴わないものだ。
主に電車内でのシチュエーションで話を進めたが、他の場面でも基本は同じだ。
ただし、車やバスにおいては、渋滞にだけは気を付けないといけない。
これは一種の天災のようなものだ。
渋滞は解消するまでの時間を計りづらいものであるため、最初に立てた目標到達時間の精度が狂う。
この回避法ははっきり言ってない。
だからといって存在しない神に祈るのではない。
僕はいつそういった状況になってもいいように、車には必ずオムツを積んでいる。
仮に負けるとしても、負け方というものがある。
朽ち果てようとも、尊厳だけは汚されてはいけない。