これはちょっと汚い話なので、お食事中の方はお控えください。

 

其の一

其の二

其の三

其の四

其の五

 

 

敵は兵法三十六計を熟知しているかの如く、緻密な攻撃を仕掛けてくる。

 

攻撃をしてきたかと思えば、しばらく攻撃を休める。

 

そうして油断させておいて、さっきよりも激しい攻撃を仕掛けてくる。

 

まるで波のようにそれを繰り返し、精神をも揺さぶってくる。

 

そして、ある程度戦意が喪失したと見ると、激しい波動攻撃を仕掛けてくる。

 

これが常套手段だ。

 

 

ここで生き抜くためのポイントを2つ挙げる。

 

まず1つ。

 

決して油断しないこと。

 

例えば、最初に立てた計画では降りるはずの駅が近付いてきた時、そういう時、大抵敵は攻撃の手を緩めてくる。

 

当然である。

 

敵も死に物狂いで戦っているのだ。

 

降りられるよりも、自分のホームである車内で戦うに越したことはない。

 

それに惑わされてはいけない。

 

最初に降りると決めた駅では必ず降りること。

 

これはかなり重要なポイントとなる。

 

 

そしてもう1つ。

 

腹の痛みと肛門括約筋は別物だと捉えること。

 

肛門括約筋というのは、言わずもがなこちらの最終防衛線、最後の砦である。

 

はっきり言って、ここが最終決戦の場になるのは最初から決められている。

 

欲を張って、もう少し前線で敵を撃退しようなど甘い考えだ。

 

まさに片腹痛い。

 

 

敵は腹に鋭い攻撃を仕掛けてくる。

 

余裕がない状況では、これを最終決戦だと勘違いするパターンがあるが、見誤ってはいけない。

 

鋭い攻撃を仕掛けているとしても、敵はまだ最後の砦前には到達していない。

 

まだまだ先の方で攻防しているのだ。

 

 

にも関わらず、最後の砦を守るために、全兵力を砦前まで下げるのは極めて愚策だ。

 

いずれにしても、時間を掛ければ砦は破られるのだ。

 

いかにして、敵が砦に到達する時間を稼ぐかの戦である。

 

激痛に惑わされて、自軍の兵を肛門括約筋という名の砦の前に集結させるのは、やすやすと敵に安全な進路を与えていることに他ならない。

 

極端に言えば、最後の砦を守るのは最後の1兵だけでいい。

 

敵が来ないうちから砦の守りを固める必要はない。

 

全兵力を前線に押し出し、砦まで押し込まれた時、それが最終決戦なのである。

 

 

逆に言えば、腹に鋭い痛みが走っているのは、まだ前線で激しい攻防を行っている証だと思えばいい。

 

砦が落とされ敵が雪崩れ込んで来る時は、不思議と痛みは伴わないものだ。

 

 

主に電車内でのシチュエーションで話を進めたが、他の場面でも基本は同じだ。

 

ただし、車やバスにおいては、渋滞にだけは気を付けないといけない。

 

これは一種の天災のようなものだ。

 

渋滞は解消するまでの時間を計りづらいものであるため、最初に立てた目標到達時間の精度が狂う。

 

この回避法ははっきり言ってない。

 

だからといって存在しない神に祈るのではない。

 

僕はいつそういった状況になってもいいように、車には必ずオムツを積んでいる。

 

仮に負けるとしても、負け方というものがある。

 

朽ち果てようとも、尊厳だけは汚されてはいけない。

 

 

つづく