約12万3000年前に、長い氷期が終わりました。

 

アフリカ最南端で生き延びたホモ・サピエンスは、再びアフリカの内陸を目指して移動を始めました。

 

そして、世界中に拡散していきました。

 

(世界史の窓、世界史用語解説 授業と学習のヒント、人類(ホモ=サピエンス)の拡散)より

(人類の拡散)

 

https://www.y-history.net/appendix/wh0100-26_0.html

 

 

(ホモ・サピエンスが繁栄し、ネアンデルタール人が絶滅した「意外な理由」

橘玲、人類学者・篠田謙一対談(前編))

「橘:6万年ほど前にホモ・サピエンスによる出アフリカが起こり、アフリカ(サブサハラ)以外のヒトはみなその子孫というのが定説ですが、最新の研究ではどうなっているんでしょうか?

篠田:それはある程度従来の予想通り、といえそうです。7万年から5万年前、だいたい6万年前にアフリカ大陸を出た数千人のホモ・サピエンスのグループが、今のアフリカ人以外の人類の先祖であるという考え方、そこは揺らいでいないと思います。」

https://diamond.jp/articles/-/306758?page=4

 

 

ホモ・サピエンスはアフリカの南端から南米大陸の南端のまで拡散していきました。

 

どうして、こんなに困難な移動をしたのか不思議ではありませんか?

 

人口が増えすぎて、生存競争に負けた一群が新たな生活圏を求めて移動したと思いますか?

 

どうして、アフリカのライオンは南アメリカに移動しなかったのでしょうか?

どうして、アフリカのキリンはスペインにいないのでしょうか?

 

どうして、ホモ・サピエンスというただひとつの種が、アフリカを出て世界中に拡散したのでしょうか?

 

人類は様々な道具を開発し、環境に適応していきました。

ですから、北の寒い地域にでも生活することができました。

でも、それは可能性を実現できる力というだけであって、世界中に拡散した動機を解明できたわけではありません。

 

私は、その動機は「言葉によって作られた常世のイメージと現実とのギャップを埋めるためのもの」だと思います。

 

彼らには、言い伝えられていたことがありました。

「氷期が始まる前の大昔、祖先は常世に暮らしていた。」という伝説。

 

いつのころからか、再び、彼らの合言葉は「常世へ、常世へ」となりました。

そして、常世のイメージと現実とのギャップを埋めるための移動が始まりました。

 

たどり着いて、生活してみると、そこは伝説のような常世ではありませんでした。

聞いていたイメージと違いました。

もっと先に行かなければ常世には着かない。

 

言葉によって作られた常世のイメージと現実の差が、再度、常世を捜す旅に、人類を駆り立てたのです。

 

一方で、人々の一部は、移動せずに留まり、その地域を常世のイメージに近づけようとしました。

その動機が、やがて国家に発展します。

 

国家には常世のイメージが付きまといます。

ロシアの常世のイメージは、ウクライナを傘下に置く連邦です。

ウクライナの常世はそうではありません。

 

常世の違いは、あちこちで戦争を引き起こしています。

 

 

人間は現世だけでなく、死後の世界にも常世をイメージします。

 

死後の常世の名は、天国だったり、浄土だったりします。

 

人類に言葉がなければ、世界中に生活の場を拡散することも、戦争が起きることもないと思います。

 

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