講演ネタ 変動相場制について | 秋山のブログ

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以前は私も変動相場制は必然だと思っていました。しかしこれも実はそんなことはありません。
変動相場制にしなくてはいけない理由としては、国際金融のトリレンマという法則から、金融政策と自由な資本移動をおこないたいなら固定相場制は諦めなくてはいけないという話から来ています。しかし調べてみれば、これは実証に裏付けられた法則ではないのです。そしてそもそも自由な資本移動は、資本家にとってお得な状況であって、経済にとってそれがよりよい状況とは限りません。競争を公正にするために制約を受けた資本移動の方が、経済にとってはベターです。(自由な資本移動に反対すると、資本移動が無かったら困るといったとんでもない反論を受けることがありますが、そんな極端な状況を誰も言っていません)
変動相場制にして市場で価格を決めることによって、経済を最適化する価格が決まるという主張もありますが、それは根拠のない信仰に過ぎません。実証上価格が不安定になるという大きなデメリットもあります。しかし新古典派のこの信仰は意外に根深く、むしろそのために変動相場制が敷かれていると言っても過言ではないかもしれません。
  *それでは変動相場制にメリットがないかといえば、一つだけ考えられます。それは通貨の交換比率を交渉によって決める必要がないということでしょう。
*固定相場制に関しても、誤解が蔓延っています。それはシステムとして為替市場を利用した上で、固定を相場にしなくてはいけないと話です。自国民にとってはその国の通貨が絶対であるべき(二重通貨はハイパーインフレの原因になったりします)ですので、国がそれを一手に引き受けてもいいはずです。
新古典派の考えがはたして本当に正しいのかということに関しては、よい実例があります。先日93歳で大統領に復活したマレーシアのマハティール首相です。ヘッジファンドの謀略によるアジア通貨危機の際に、為替を固定し、新古典派が考えるような政策とは反対の政策をおこない、見事に自国経済を守り、発展させました。この時、クリントンのような政治家、多くのエコノミストが散々非難し、マレーシアの経済が壊滅するといった予言をしましたが、IMFに従った国が悲惨なことになったのと全く対照的な結果に終わりました。予言は外れ、どちらが正しかったは明らかということです。マハティール首相は、間違った経済学の詭弁に騙されずに、正しく経済を理解している稀有な政治家だと思います。
それではマハティール首相がおこなったことと、IMFの主張との違いをまとめてみようと思います。
 
◆リンギット暴落後、マハティール首相がとった政策
  • 短期資本取引規制導入⇒直接投資は認めても、投機は認めないという規制です。一方IMFは外資への市場開放を推奨しています。
  • 1米ドル=3.80リンギットへ固定・リンギット国外持ち出し規制⇒IMFは金利を上げて為替市場を通して通貨を高くすることを推奨しますが、それは投機家の利益を上げると同時に景気を悪化させます。
  • 金利の引き下げ
  • インフラ開発の公共投資増大⇒財政支出は増大し、財政赤字は増大します。一方IMFは緊縮財政を推奨します。
以上、変動相場制が必然でないことは理解していただけたでしょうか。今回出したマレーシアの例など歴史に学んで、世界中の国が搾取されないような経済体制の構築をおこなっていく必要があるでしょう。