講演ネタ 人手不足の嘘2 | 秋山のブログ

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今回はまずこの写真を御覧ください。飢餓に苦しむアフリカの子供の写真(public domain)です。
  アフリカの飢餓
このような写真を見ると、世界において食料が足りていないかのように勘違いしてしまうかもしれません。しかしもう少し注意深くなる必要があります。国民が飢餓で苦しむ国の港では、輸出用の食物が山積みになっていたりします。すなわち飢餓の多くは、分配がうまくいっていないために生じています。各々が利益を追求すれば自然に皆が幸福になるなんてことは妄想に過ぎないことがこれによって分かるでしょう。
食料の話だけではなく、労働者についても同じことが言えます。人手不足で困っている仕事があるからといって、人が足りないと考えるのは早計です。
前回お話ししましたように、労働人口はそれ程減っていません。にも関わらず、人手不足で主婦を働きに行かせなくてはいけないなどということになっているのは、著しい非効率化がおこなわれたからです。
例えば、昔はなかったものにコンビニエンスストアがありますね。同じようなものを置いている小売店が週5.5日9時から5時まで開けているのと比べて、24時間365日開けていればどれほどの人数が必要か考えたことはあるでしょうか。コンビニは便利ですが、何倍もの人間が必要となるのです。こんなことをしていれば足りなくなるのは当然でしょう。
バブル崩壊以降、日本では投資家への利益配分が大きくなるような政策がおこなわれてきました(日本の場合内部留保になっている割合が大きいです)。しかし労働者の賃金は、消費者の収入でもあるため、それによって需要が縮小しモノが売れない、値上げも賃上げもできないという状況、すなわちデフレスパイラルに陥りました。
それを解消するためには、投資家への利益配分を減らして(内部留保を崩して)、労働者の賃金を上げなくてはいけません。安く多くの人を使う非効率な業種は淘汰され変化を強いられていくでしょうし、そうなるべきです。
結局人手不足に陥っている業種というのは、安くて割の合わない仕事です。外国から大量の受注があったり、もしくは不況が改善されて需要が増えてくれば、普通の適正な賃金をもらえる職業に労働者は群がるでしょう。不良な業種が人を雇えるわけがありません。
別のパターンとして、工事現場の専門職が足りずに、賃金を大幅に上げても人が来ないという話がありますが、これも賃金等待遇の低下が元々の原因です。需要がなかったため専門職があまり、専門職が不遇になったため育成されず絶対的な不足になったということです。育成に時間がかかる業種は、目先の需要にとらわれて待遇が下がると需要が戻った時に大変です。
失業者に溢れている他の先進国に比べて、日本の失業率は低いですが、それは適切な賃金を払わずワークシェアリングの状態にしているからです。日本が本当に人手不足の状態にあるならば、給料はどんどん上昇し、物価もそれなりに上がっているはずです。
適切な賃金を払わずに低く抑えることが、資本家や企業が利益を膨らませる方法です。労働者が余っている状態ならばそれを実現するのは簡単でしょう。労働者確保のための移民など、今の日本には愚策以外の何ものでもありません。
以上、説明した通り、少子高齢化によって日本が人手不足になっているというのは、全くの誤りです。騙されないように注意しなくてはいけないでしょう。