藤原緋沙子「『雪婆』『再会』~藍染袴お匙帳~」 を読んで
コミュニティ型の古本屋「不便な本屋」に立ち寄って、陽が差したテラス席でアイスコーヒーをいただきながら何気に手に取った文庫分でしたが、おもいがけずぐいぐい物語に吸い込まれ、購入し、家に帰って夢中になって読んでしまいました。
時代小説でここまで心地よい没入感をもちながら、そして、気持ちいい読後感が得られる作品はそうないのではないでしょうか?藍染袴お匙帳 というシリーズらしいので、二冊目を見つけて、年末年始に読みたいと思います。
『再会』 置き屋で弟の学費のために身を売って働く女が結核の兆しが見えてしまうという、同情せずにはいられない設定ですが、そこからが意外な話になります。でも読後感がいいので、じわっと人情を感じる作品です。
『雪婆』 これは傑作かもしれません。文庫本の表紙のイラストがすべてを物語っています。瑞々しく、哀しく、情感たっぷりな時代小説。
いつも思うのですが、このての良質な短編時代小説を読むと、なんだか、温泉露天風呂にじっくり身を浸して上がった時のようなえもい えぬカタルシスを感じてしまいます。物語の面白さを十分堪能できる一冊でした!
飯島和一『始祖鳥記』を読んで
今最も好きな作家のひとり、飯島和一さんの『始祖鳥記』。好きな作家と言っておきながら、 『雷電本記』とこの『始祖鳥記』は読んでいませんでした。主人公があまりに特殊なジャンルだし、特に技術系やスポーツ系だとそれに興味がないと読むのがしんどいかなと。
しかし、この『始祖鳥記』は、いわばジャゲ買い。まるで唐子のような幼子が、無心になにかに取り組んでいる、そういう姿に私は弱く、いたく気に入ってしまったこともあります。ミルキィ・イソベさんの装丁です。
さて、その『始祖鳥記」、中味は?
実は、偶然にもこの直前にはじめてこの物語の舞台でもある岡山のお城下を訪れたばかりでしたので、物語の前半分は、この岡山という地域への興味がもとで楽しく読めて、中半には、なんと私が住んでいる千葉県の行徳に舞台は移ったものですから、ここでも楽しく読み進めました。そして最後が静岡、ここだけは縁のない土地だったので、なかなか読むのが難しかった。
飯島先生(先生呼ばわりです)の小説は、重厚な描写と権威(おかみ)に対する反骨精神が真骨頂だとは思いますが、主人公の幸吉と、中半の行徳の塩仲買人のダブルメインキャストといった感じだったのですが、あろうことか、塩仲買人が早めに他界してしまい、幸吉も小説の最初とはあまりに立場が変わってしまい、まるで別の物語のようになってしまった印象があり、それが読み終わった後の達成感を削いでしまっているのかもしれません。
『翔んだ!さいたま市の大逆転』(竹内謙礼著 PHP出版)を読んで
とても面白かったし、さいたま市についてよくわかりました。
個人的にまったくご縁がなく印象も薄かった「さいたま市」。いかにまちとしてのストロングポイントを見つけ出し、その強味を伸ばし、まちづくりをしてきたか、を著者の竹内謙礼さんが入念な調査、取材、現場視察などを経てまとめています。
ご本人が千葉県に住んでいることもあり、同じ政令指定都市として千葉市を時々比較対象として取り上げているので、私が住んでいる千葉市市政の復習にもなりました(笑)。
千葉市のレッドブルエアレースはなぜ4年で幕を閉じたのか?という章まであって目を見張りました。同イベントに携わっていた者としては、ああ、そう受け止められているのか、などと面白く感じました☆彡
個人的に感心したことは
さいたま市の浦和地区(旧浦和市)が教育文化が過去より醸成してきている点を見出し、教育に力をいれていること、そして、できる子もそうじゃない子もそれぞれ別の施策で支援していることです。秀逸は全国にさきがけること4年前の2016年から小学校に英語教育を導入して、地道に講義内容を改善してきて、今では、小学校の英語テストが全国一のハイスコアになっていること。そして、それが住民増のもととなって、高額所得者が転居してきて、市税を増やす要因にまでつながっているということです。
著者は役所のみなさんがしっかりモチベーションを保って熱く仕事に取り組めているのは、政令指定都市であることも要因だという話をインタビューで引き出しています。なるほどなと。