日々感じたこと・読んだ本 -36ページ目

ホリー・ジャクソン『卒業生には向かない真実』

主人公はこの作品の最後の最後で、ミステリー史上に残るヒロインになったと思います。

 

今世界的に最も人気の高い英国人女流ミステリー作家の代表作『自由研究には向かない殺人』からはじまる第三部で完結編。

三部作の完結編なので、先に、第一部『自由研究に向かない殺人』第二部『優等生は探偵に向かない』を読んでおかないと理解が追い付かないので、ご注意ください。

 

前半はいつものとおり、英国の小さなまちでの、学生たちの交流を主人公とボーイフレンドの2人の関係を中心に描かれていますが、私は、このラブラブ具合がすでに前の2作で飽きていたので、この作品もここで読むのがかったるくなり、他の本に取り組んでいました。

 

しかし、その別の本を読み終えてしまい、他に読みたい本がなかったので、2か月ほどたって、再度戻ってきましたが、そのあたりから、「おや?」と思うくらいお話しが面白くなってきたのです。

つまり中盤あたりから、物語が生き生きとして、動きがダイナミックになります。そして、この文を読んでくれてる方に結末を伝えるのは野暮なので、詳しくは書けませんが、中盤からラストまで、思いがけない展開になります。この作品の偉大さがページをめくるにしたがって募ってくる印象を持ちました。

この感慨は、前2作にはなかったので、なにか、作家の魂の奥底を見たという印象。

人を信じる尊さ、自分を律する尊さ、そして信念をもつ尊さなど。

すごい結末ではなるのですが、心に刻まれる感慨も一段とグレードアップしたと思うし、主人公のたくましさ、生のエネルギーがまぶしく、その強さに拍手を送り、あやかりたいと思った次第です。

彼女はこの作品の最後の最後で、ミステリー史上に残るヒロインになったと思います。

殺人事件を扱う小説なのに、なぜか教育上良い小説だと思いました。

アムリヤ・マラディ作『デンマークに死す』を読んで

文庫分の腰巻に書かれていた「美しい女は、決まって災いを連れてくる」という謳い文句に興味を覚えて読みました。

ジャンルでいうと、「探偵小説」×「北欧ノワール」だそう。

「北欧ノワール」ってなんだ?

Wikipediaで調べたら「ノワール」があり、以下の通り。

~人間の悪意や差別、暴力などを描き出している。闇社会を題材にとった、あるいは犯罪者の視点から書かれたものが多い。暗黒小説~

 

なるほどですね。

ずばり小説の内容ぴったりです。

 

以下、感想★

辛口ですいません☆彡

 

読みずらい。

その理由は、主人公の探偵がおしゃれを生きがいにしているらしく、とにかくことあるごとに「●●を装い」的な身に着ける衣服のブランド名が長々と入り、私のようなファッション音痴な人には、カタカナブランドの連続がつらい。それに、そこに意味があるのなら、そのファッションブランドを知らないので、探偵の気持ちのニュアンスが読み取れない。

あわせて、お酒のブランドもいちいち出てきて、同じくしんどいのであった。お酒ならある程度わかると思っていたが、そんな気持ちも粉砕されるような、北欧の地元しか流通してないであろうビールブランドの数々そして、スピリッツ系の銘柄の数々。

まったく歯が立ちませんでした。

 

物語りは、そんなファッションと酒と孤独(?)を愛する主人公が、環境大国デンマークの人らしく、自転車にのって方々に出かけ、襲撃されてびくびくしながら虚勢をはり、昔の女や今の女とセックスをして、第二次世界大戦中にのナチスドイツへの協力者の秘密をあばくというもの。その発端が、現在の欧州での反モスリムを感じさせる冤罪事件になっているなど、第二次大戦中のユダヤと今のモスリムという欧州内でのふたつのエスニックグループにからむ問題が書かれている。

作者はインド系で女性。

なんとなく、上記の読みずらさや、ストーリー、そしてテーマの置かれ方に作者の属性を知って納得してしまいました。

 

楽しめたのは、主人公とその友人たちとの付き合い方がわかるシーン。

この主人公、友達が多いらしく「固い友情」を感じさせるシーンがあちこちに出ているのですが、それもなんだか、都合がいい設定であるようような気がした。

 

 

 

 

 

 

吉田修一『湖の女たち』を読んで

ああ、また起こってしまった、美しくない殺人が・・・。

というのが読後感。

『悪人』「怒り』『さよなら渓谷』と系統が同じです。

上記3作だったら私は心静かに読めましたが、この『湖の女』はいただけない。

あまりにグロ。で、正直キモイ。

これは恐怖小説でしょう。

 

 

設定、背景、人物描写、物語、すべてが全体的に中途半場な感を受けていて、作者の頭の中には狙いとテーマだけがあったように思います。