平安時代の「後拾遺往生伝」には
「年籠り」の記述があり、
これが時代の経過とともに、
大晦日の夜に参拝する「除夜詣」と
元日に参拝する「元旦詣」に分かれ
歳明けを神社でまたいだりしながら
現代の初詣の姿になったのではないかと
考えられています。
〈年籠り〉
時計がまだなかった昔は、
日が暮れる頃が一日の終わりであったので、
日が暮れた夕方からが一日の始まりと
されていました。
よって、大晦日の夕方からがお正月だったのです。
大晦日から元旦の朝にかけて、
家長(かちょう:家を代表する者)が
その土地の氏神様を祀った神社に泊まり込み
夜通しその年の豊作や家内安全などを祈願しました。これを「年籠り(としごもり)」といいます。
さらに夜は眠らずに過ごすべきとされ,
もし禁を破れば白髪になる、
しわがふえるという伝承もあったそうですから
夕方からNHKの紅白歌合戦~
ゆく年くる年という定番の大晦日の流れは
理に叶っていたようです。
この年籠りで一番のポイントは
夜通し火を焚いて眠らずに
年神様をお迎えしたのだという
「火」ではないでしょうか?
つまり「火」は年神様の依り代であり
邪気を祓ってくれる
「歳神様」そのものの姿と捉える事ができます。
他にも、月籠りの習慣の名残と考えられる
行事がある。12月31日の夜に行われる
「をけら火」を、授与所で頂く火縄に移し、
消えないように家まで持ち帰り、
この火を使ってお雑煮を作ったり、
大福茶をいれたり。
神様の火で作った食べ物を頂けば、
一年無病息災で過ごせるという。
火縄の残りは、台所に吊るし、
火伏のお守りとなる。

©️スタジオジブリ
ハウルのカルシュファー もそうですし
私のお世話になっている
京都宇治の心華寺 には、
1200年燃え続ける比叡山の「不滅の法灯」が
分灯されております。
また私達、茶道を実践する者も
この大切な「火」を扱います。
つまり、茶室は単に清潔清浄であるから
神聖な場所ではなく
亭主が神聖な「火」を扱う場所だから
ではないでしょうか。
そのような意識と心で、茶室の火や炭に
向き合ってみるのはいかがでしょうか。