心の安全設計室代表 心の安全コンサルタント

 

安田伸也です。

 

「何度言っても、子どもが言うことを聞かない」

 

「部下に何度指導しても、行動を変えてくれない」

 

こんなことで悩んだ経験はありませんか?

 

相手のためを思って言っているのに、なかなか伝わらない。

 

むしろ、言えば言うほど反発されてしまう。

 

そんな時に考えてみて欲しいのが、

 

「人は他人から無理矢理変えられるものなのか?」

 

ということです。

 

今回は、子どもや部下など「人を変えたい」と思った時に大切にしたい考え方についてお話しします。

子どもが時間を守らないという相談

もうだいぶ前になりますが、知り合いから
「子どもが時間を守らない」
という相談を受けたことがあります。

 

話を聴くと、子どもが時間にルーズで、友達との約束の時間に遅れていくとのこと。

 

その方は、何度もその子どもに注意するも言う事を聞かない。

 

どうすればいいですか?とのご相談でした。

 

よくありますよね。

 

こういうお困り事。

 

会社では、上司が部下に指導しても、なかなか言う事を聞いてくれない。

 

そんなお悩みがあるかもしれません。

 

親や上司は、子どもや部下に苦労させたくない。

 

失敗して欲しくない。

 

そんな気持ちからだと思います。

 

でもね。

 

この問題を整理すると、

 

これ困っているのは親や上司であって、子どもや部下は困っていない。

 

ということが解ります。

 

ここが、人を変えようとしてもなかなかうまくいかない理由の1つだと思うのです。

人が行動を変えるのは「危険回避」と「欲望の追求」

人が何か積極的に行動を起こす時は、この2種類。

 

「危険回避」または「欲望の追求」です。

 

解りやすく言うと、

 

危険回避は、熱中症になりたくないから、小まめに水分補給をする。

 

欲望の追求は、彼女が欲しいから出会いの場に行く。

 

ですね。

 

つまり、自分自身が「このままでは困る」と感じたり、「こうなりたい」と思ったりした時に、初めて行動を変えようとするわけです。

 

だから、いくら親や上司が言っても、この2つが身に染みないと人は行動を変えません。

 

親や上司に出来ることは、

 

どうして、時間を守らないといけないのか。

 

どうして、指示したとおりに動かないと失敗するのか。

 

それを教えることだけなのです。

「馬を水飲み場までは連れて行けるが、水を飲ませることはできない」

アドラーは
「馬を水飲み場までは連れて行けるが、水を飲ませることはできない」
と言っています。

 

無理矢理水を飲ませようとするとどうなるか。

 

信頼関係が崩れ、人間関係が壊れます。

 

そして、最悪家出をしたり、会社に出てこなくなったり、ドンドン悪い方向へ行くかもしれません。

 

ある意味”価値観の押しつけ”なのです。

 

そして、このような人を変えようとする行為は、お互いのストレスになります。

 

相手を変えよう、変えようとすればするほど、相手は抵抗する。

 

こちらも「どうして解ってくれないんだ」とイライラする。

 

お互いにとって苦しい関係になってしまうんですね。

「勉強しろ」と言われるほど勉強したくなかった

わたしは、子ども時代に母親から嫌になるくらい
「勉強しろ」と言われました。

 

そう言われる度に「絶対勉強しない!」と固く心に誓ったモノでした(笑)

 

だって、人に無理矢理変えられたくありませんからね。

 

大人になって考えれば、母親はわたしの将来を心配して言っていたのでしょう。

 

でも、当時のわたしにとっては、そんなことよりも「人から言われてやる」ということの方が嫌だったんです。

 

じゃあ、そうすれば良いか。

他人を変えようとするのは諦める

1つは、他人を変えようとするのは諦めること。

 

前述の例で言うと、時間を守らないのは子どもの課題であって、自分の課題ではない。

 

最終的に困るのは誰か?を考えると解ると思います。

 

時間を守らなかったことで友達から信用されなくなるかもしれない。

 

仕事で指示されたことをやらなかったことで、失敗するかもしれない。

 

その結果を最終的に受け取るのは、本人です。

 

とはいえ、親や上司としては、それはそれで心配ですよね。

 

何も言わずに放っておけば良いという話でもありません。

 

そこで、もう1つ出来ることがあります。

相手から「あれ!?」を引き出す

もう1つ出来ることは、当人から「あれ!?」を引き出すこと。

 

自分の価値観は、一先ず脇に置いて本人の想いをひたすら聴く事なんです。

 

どうして時間を守らないんだ!

 

と責めるのではなく、

 

本人がどう考えているのか。

 

どんな想いがあるのか。

 

そこに耳を傾けてみる。

 

こちらが答えを押しつけるのではなく、本人が自分で気がつくための関わり方をしていくということです。

相手の話を聴く時に大切な「中核三原則」

産業カウンセラーの講座へ行くと、一番最初にカウンセラーにとって大切な
中核三原則

 

  • 自己一致
  • 共感的理解
  • 無条件の肯定的な関心

 

というのを教わります。

 

この場合に当てはめると、

 

  • あなたがどう思っているのか、どんな想いがあって言っているのかを感情的にならず淡々と説明する
  • 話を聴きそんな想いがあるのかと共感する
  • 良い悪いを判断せずに、どんなことを大切にしているのかを聴く

 

です。

 

大切なのは、こちらが「正しい答え」を教えて相手を変えようとすることではありません。

 

”自分が正しい相手は間違っている”という考え方は白紙に戻し、

 

まずは相手の話を聴く。

 

そして、本人が自分自身について考えられるようにする。

 

こんなことを繰り返していくと、人はある時「あれ!?」と気がつく事があります。

 

気がついて初めて、人は変わろう、変えようと行動を変えるのです。

人を変えるのではなく、本人が気づくのを待つ

もちろん、知らないことは教えてあげてください。

 

親だからこそ教えられることもあります。

 

上司だからこそ伝えなければならないこともあります。

 

ただ、それを知った上で、どうするのかを決めるのは本人です。

 

実際に水を飲むかどうかは本人に任せ、その結果から学んでもらう。

 

失敗しそうになると、ついつい先回りして助けたくなりますよね。

 

でも、自分で経験したからこそ解ることもあります。

 

「時間を守らなかったら、友達を怒らせてしまった」

 

「言われたことをやらなかったら、仕事で失敗してしまった」

 

そこで初めて、

 

「あれ!?もしかして自分にも問題があるのか?」

 

と気がつくことがあるのです。

 

そして、自分で気がついたことは、人から何十回言われるよりも自分自身を変える力になります。

まとめ|他人を変えようとするより、気づくきっかけをつくる

子どもが言うことを聞かない。

 

部下が指示通りに動かない。

 

そんな時、相手を何とか変えようとしてしまいます。

 

もちろん、それは相手に失敗して欲しくない、苦労して欲しくないという想いがあるからでしょう。

 

でもね。

 

人は、他人から無理矢理変えられようとすると抵抗します。

 

あなたも、同じじゃないでしょうか?

 

他人から自分の行動について、口を出されたとしたら良い気持ちがしますか?

 

だからこそ、

 

相手を変えようとするのではなく、本人が自分で気づくための関わり方をしてみる。

 

自分の価値観を一先ず脇に置いて、本人の話を聴いてみる。

 

そして、必要なことは伝えた上で、実際に水を飲むかどうかは本人に任せてみる。

 

失敗することもあるでしょう。

 

遠回りすることもあるでしょう。

 

でも、その経験から本人が「あれ!?」と気がつけば、それが行動を変えるきっかけになります。

 

挫折が無いところに、成長は無いのです。

 

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

この記事が、子どもや部下を変えようとするのではなく、相手の話を聴き、本人の気づきを待つ関わり方について考える切っ掛けになれば嬉しく思います。

筆者プロフィール

安田伸也|心の安全設計室代表・心の安全コンサルタント

 

元海上保安官・潜水士。海上保安庁に約35年間勤務し、潜水士、巡視船航海士、巡視艇船長などを経験。海難救助、転覆船や沈没船の捜索、領海警備など3,000件以上の事件・事故に関わる。在職中には職場の人間関係やコミュニケーションに悩んだ経験を持ち、退職後に心理学やコーチングを学ぶ。現在は心の安全コンサルタントとして、事故防止、心理的安全性、職場のコミュニケーション、メンタルヘルス、傾聴などをテーマに安全大会や企業研修で講演。「自死ゼロ・事故ゼロの世界を創り、笑顔で働く人を増やす」ことを使命に活動している。

 

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