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 今現在の、日本の置かれている時代状況が分かっていない人は、このような本を手に取らないだろうけれど、十分よく分かっているけれど行動に踏み込みきれていない人にとっては、大いに参考になる書籍だろう。
 アパレル系企業に就職し、7年後に会社を辞め、3年ほど国内外を放浪した後、都内で“たまにはTSUKIでも眺めましょう(略称:たまTUSKI)”という個人経営の飲食店を経営しつつ、ダウンシフターズの出会いの場を提供してきた方の著作。2010年10月初版。

 

【本書が伝えたいこと】
 最終章に以下のように書かれている。
 私以外にも、そんな感触を持って地球に住み直そうとしている人がすごい勢いで増えています。システムから降り出したダウンシフターズが、新しい文明を創造してゆくかもしれません。もし、今の社会に疑問があるなら、すでにその人は先駆者かもしれないのです。新しい時代の先駆者は、そのほとんどが古い時代の劣等生や脱落者だったのですから。

 今、引きこもっている人に、無職で苦しんでいる人に、意図せず低所得になってしまった人に、次の文明にはダウンシフターズこそが必要とされることを伝えたくて、この本を書きました。価値観を変えられれば、“不幸”が“幸せ”への近道になるかもしれないことも伝えたいことでした。でも、本を買えるだけのポケットマネーがない方もいるかもしれません。この本を買えた人で、かつ、共鳴してくれた方にお願いです。私が伝えたかったこエッセンスを、必要と思う人に伝えてください。 (p.251)
 何も考えていない空っぽの人や、人生の経験期間が短い若者は、移り変わってきた時代状況が見えていない可能性はあるけれど、40歳過ぎた大人で、日本に再び経済の好況が来ると思っている人は、もはやいないだろう。
 スピ系に興味がある人々は、時代の先を見ているから、半農半Xのような用語をかなり以前から認識していて、具体的に実践している集団もあるけれど、それに関するセミナー参加費が大層高額で、「スピを疑似餌にしているビジネス?」と疑いつつ呆れてしまうことがある。
 スピ系を経由することなく、個人的にトライしている人も少なくないだろうけれど、成功している人はどれほどいるのだろうか。
 本書には、スピ経由ではない成功例が、具体的に記述されているけれど、成功の根幹は、何と言ってもタイトルにあるように 「ダウンシフト」 し 「減速して生きる」 という確かな認識で人生設計していることである。
 「半農半X」 生活で、都会での収入と同額を維持することはかなり困難なのは言うまでもない。減収の代わりに得られるものが明確であり、そのことの中に幸福を見出せる人のみがトライすべき生活形態であると言いきることができる。
 但し、時代は 「半農半X」 的な生活形態の生活者を生み出す方向に推移してゆくだろう。それは日本人に強要されている時代的圧力であるとすらいえる。それはもはや、明白な時代の潮流だろう。
 このことを感じているなら、本書は、最良の参考書になるはず。
 私はシステムから降りて、ダウンシフターズになりました。より少なく、より小さく、より遅く、低所得で幸せに暮らしています。 (p.252)
 チャンちゃんは低所得どころか、ビジネスマンを辞めて以来、もう9年もゼロ所得で暮らしている。少しの農地と庭付きの地方家屋に住めば生活費は本当に少なくて済むし、作物が豊富に取れる今の季節なんて、食費ゼロにしようと意図すれば簡単にできることである。
 ただ、田舎で生活していると、本書の著者のように、ダウンシフターズの縁を取り持つというような楽しみはない。著者のような方なら、地方へ移住しても、豊かな人脈がそのまま引き継がれて、心豊かな楽しい生活が続くことだろう。

 

 

【もう、いいんだよ】
 著者さんはアパレル系企業に就職してから7年後、30歳で退社したのだけれど、辞めることを決意できたのは、
熊野本宮大社 近くの川湯温泉峡でお湯につかっている時だった。
 ふっと口元から自然に出た言葉がありました。
「会社辞めよう、もう、いいんだよ」
 自然と涙があふれ出しました。 (p.50)
 会社を辞めてから、3年間は、国内外を旅してまわったらしい。

 

 

【「おカネを、何に使うのか」】
 あるデータによると、家庭において車を走らせている時間は1カ月に20時間だけだそうです。1カ月のうち、残りの約700時間が、駐車場に止まっていることになります。それなのに、年収の4分の1が車の維持費に消えてゆくというデータもあります。だとしたら車を手放せば、総労働時間を4分の1減らすことも可能かもしれません。 (p.54)
 「おカネを、何に使うのか」という意識は人それぞれだけれど、それほど雇用もなく仕事も豊富にあるとは言えない地方に住んでいながら、高級車に乗っている人が少なくない。時流が分からず従来通りの社会意識を引きずったまま生活コスト意識がないか、愚にもつかない見栄や世間体が大切な人なのだろう。いずれであるにせよ、知性は感じられない。
    《参照》   『「逆」読書法』 日下公人  HIRAKU
              【人生反比例法則】

 そういう人は、既存の社会システムに額ずく奴隷として、家や車のローン返済に追われるだけで、自発的な人生の楽しみのない人生を送るだけである。

 

 

【モノを減らす】
 荷物がないからこそ、知恵がたくさん湧きました。荷物がないからこそ、好きなところにすぐに行けました。会社の退職に伴ってモノを減らす喜びを知った私ですが、この旅からも、「もっともっと(more&more)」より「より少なく(less&less)」という生き方こそが自由に繋がることを再確認しました。 (p.74)
 自覚できていない意識の制約は、それに気づくまでは、なかなか手放せないけれど、モノを減らすという実践をしてみれば、「モノは減らせば減らすほど、ただちに人は自由になれる」 という実感は誰でも確実に得られるだろう。
   《参照》  『魂の退社』 稲垣えみ子 (東洋経済新報社) 《後編》
            【経済成長が人間にもたらすもの】
   《参照》  『プレアデス『メシアメジャー』からの黙示メッセージ』 村中愛 (ヒカルランド) 《中編》
            【捨てる】
   《参照》  『アシュタール×ひふみ神示』 宇咲愛 (ヒカルランド) 《前編》
            【手放して、魂を軽くする】

 

 

【開聞岳で、突然、降りてきた想い】
 もう頑張らなくていい。もう無理しなくていい。もう嫌なことをしなくていい。もう親の期待にこたえなくていい。もう雇われなくていい。もう評価されなくていい。もう急がなくていい。もう大きくならなくていい。もう儲けなくていい。もう効率化しなくていい。もう経済成長しなくていい。そして、たくさん悩んだっていい。悩みを楽しめばいい。
 今まで常識と考えてきたことを逆説的にとらえればいいんだ。そんな単純な答えが、身体の中に突然舞い降りてきたのです。なぜ、開聞岳を下山したときに、そんな思いが想いが降りてきたのか未だにわかりません。(p.84-85)
 人間の波動に汚染されておらず、自然が保たれている所は、人をリセットさせる特有な「波動」がある。長期間の旅の過程で社会意識という雲が薄くなりつつあった段階で、開聞岳の波動にインスパイア―されて、コントロールグリッドによる洗脳が解けたらしい。
   《参照》  『アセンションの超しくみ』 サアラ (ヒカルランド)  《前編》
            【社会意識(コントロール・グリッド)という檻から出る】

 

 

【目標より高い売上げを得たとき】
 目標より5%以上も売上高を得てしまったとき、反省して、適正売上高に減らす対策を取る。ここが、新しい考え方であり、重要な部分です。この考え方には大きなメリットがあります。 (p.122)
 「成長と拡大」という経済常識に従うなら、余剰分は投資に回すことになる。しかし、これこそが、現在の地球を格差化し行き詰まらせているグローバリズムの根幹思想、すなわち根本原因である。
 1カ月ほど前、日本で実地企業研修をしていたハーバードの学生たちが、有名な布カバン(だっけ?)の老舗を訪れ、経営者に質問していた場面が、テレビ番組で放映されていた。その経営者は、「店舗数を増やさない」と明言していた。
 スケールメリットの裏側には、固定費増というデメリットがある。仮にメリットがデメリットを上回るとしても、投資するのではなく、地域社会貢献にまわすなりして社徳を積むという使い方もあるだろう。
 著者の場合は、働く時間を減らして、人生の有効活用時間を増やすようにしたのだろう。
 「成長と拡大」は、宇宙の真実でもなければ、善ですらない。単なるビジネス標語としての馬鹿の一つ覚えである。
 
【「割り箸」と「マイ箸」】
 仮に人体への影響が微量だとしても、本来必要のないものを使うことが問題だと思います。そもそも賛否を論じる前に、使い捨てを良しとしないライフスタイルがカッコいいのだと私は思うのです。254億膳を日本の人口で割ったら、約210膳、年間に一人がそれだけ使い捨てすることに、どんな論を持ってきたとしても、私はカッコ悪さを感じます。 (p.149)
 現在の日本で、高価な「マイ箸」を買うのは、欧米人観光客だけではないらしい。
 真にダウンシフトを志す人々は、地球防衛のための裏付けある知識と良識を備え、実践につなげているだろう。

 

 

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