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 SNS(ソーシャル・ネットワーク・システム)の裏側が分かる興味深い内容の著作。一般読者とすれば、時代状況を知るためのIT系著作として読めるけれど、それ以外にも、IT業界で働こうと思っている人や、起業を考えている人にとっては、独立歴10億年(p.106)の著者による実践に裏付けされた確かなビジネス書としても読める。2012年10月初版。

 

【「いいね!」もカネで買える】
 Facebook の「いいね!」も、同じところからネット上で売り買いされるようになりました。「いいね!」の販売サイトを見たところ、「5000いいね!」が199ドル、約1万6000円です。・・・中略・・・。
 同じく、YouTubeの再生回数もネット上で売り買いされています。再生回数の販売サイトを見たところ、再生数5000回で28.55ドル、約2300円です。・・・中略・・・。
 現実には誰も見ていないにもかかわらず、「YouTubeで一晩で50万回再生された大人気アーティストの映像です!」とテレビで紹介することも可能です。(p.16-17)
 同様に、Twitterのフォロアー5000人分は3800円だという。
 インターネット上のSNSにおいて、虚構などいくらでも作ることができる。

 

 

【ゲーム課金ビジネス】
 ゲーム会社も元から高く売ろうとして作っていたのではないでしょう。なんとなく高い値段をつけてみたら買う人がいたために、ゲーム課金ビジネスがエスカレートしていったのだと考えられます。ただし、しだいにエスカレートして、課金への誘導を増やしたり、意図的に・・・中略・・・確率を不公平にいじったりしていたのも事実です。(p.32)
 テレビCMで流れているゲームはすべてこの様な課金ビジネスである。
 学生などの若年層のほとんどは、無料でできる範囲までしか遊ばないけれど、30代以降の社会人層が、売り上げの殆どを占めているらしい。

 

 

【Facebook のユーザー数】
 2012年10月4日発表のプレスリリースによりますと、Facebook は世界中で10億人以上が使っている超巨大SNSだそうです。・・・中略・・・。しかし、僕は皆さんに言いたいです。
 この世の中には、誰もがウソとわかっていても誰もつっこまない数字が3つあります。一つは、中国のGDP(国内総生産)、もう一つは、デーモン閣下の年齢、最後のもう一つは、Facebook のユーザー数です。
 Facebook が実名主義であることを信じている日本人は、Facebook がアメリカ製のSNSだということを忘れていると思います。リーマンショックやイラク戦争やエンロン事件を起こした国が発信する情報の信頼性が、どんなものだったかを思い出していただきたいです。(p.36-37)
 Facebook の創業者であるザッカーバーグは、デービッド・ロックフェラーの孫であること。そして、プログラムを運用することでFacebook であれ Twitter であれSNSのアカウントは御随意にいくらでも作成できることくらいは、常識として知っておくべき。
    《参照》   『神国日本八つ裂きの超シナリオ』 菅沼光弘×飛鳥昭雄×ベンジャミン・フルフォード
              【NSA(国家安全保障局)とフェイスブック】
    《参照》   『ネット帝国主義と日本の敗北』 岸博幸 (幻冬舎新書)
              【米国は全てを監視している】

(p.82 以降には、著者がTwitter でダミーアカウントを作成し、アメリカがアカウントを消すという戦いの様子が書かれているけれど、著者の技術力と実行力は凄い。)
 とりあえず、「綾波レイ」で検索してみると、1万人以上が出てきます。驚きです。・・・中略・・・。
 イラクやミャンマーなど、アメリカ人にとってなじみの薄い国に「綾波レイ」が多いように思います。どうやら「よく分からない発展途上国」の方が、審査されにくく、放置されるようです。
 つまり、よくわからない国は調査しようがないために、放っておこうという方針に見えます。(p.37)

 

 

【飴ロード】
 元ネタがGumroad(ガムロード)なので、サイト名はAmeroad(飴ロード)と決めました。(p.47)
 アメリカで大ヒットしたサービスが、たった1日でパクられたわけですから、話題にもなります。(p.48)
 Ameroadは、大阪にあるRazestの社長さんである木村仁さんに即決150万円で落札されました。(p.50-51)
 飴ロードは、著者がパクって作ったサービスシステム。
 この付近を読んでいると、SNS業界の事情がいろいろ分かって面白い。

 

 

【iPod発売日のパナソニック・エンジニア】
 ハードウェア担当者たちは、急に出た初代iPodの発表を聞いて、驚きました。「ハードディスクなんて、不安定なモノでどうやって、データを消えないようにしとるんや? 加速度センサーで衝撃や落下を事前に検出してシークをはずしたりしとるんか? その割には安すぎるし、それでデータ保護も完璧にはでけへんやろ・・・」
 iPod発売日、ハードウェア担当者たちは、恐る恐るiPodを分解しました。・・・中略・・・。
 結果は・・・・、iPodの中に裸のハードディスクがゴロンと入っているのみでした。加速度センサー? そんなものは微塵もありません。衝撃対策は、ゴムみたいに見える何かを挟んでいるだけです。「データは消えても知らん」という設計思想に思いました。実際、iPodはデータが飛ぶことがありました。
 iTunes は著作権保護もくだくだで、日本メーカーがこぞって進めていた「自称」世界標準の著作権保護規格であったSDMI規格も100%無視されていました。CDに焼くことも、複数のiPodにコピーすることもでき、非常に驚かされましたーーー。
 ハードウェア担当が言いました。
 「こんなん、ウチでは出されへんがな」 (p.150-151)
 データ消失を防ぐ技術があっても、安価にできないなら市場での勝ち目はない。
 勝敗を決する「コピー容易性か、著作権保護か」に関しては、映像の場合と同じだろう。
   《参照》   『ヤバいぜっ! デジタル日本』 高城剛  集英社新書
              【記録メディアの勝敗を決するもの】
 iPodやMP3プレイヤーは、ニーズに沿ったものを作りました。求められていないものは無視しました。それだけです。(p.152)
 日本企業の高品質を目指した技術者さんたちは、割り切りの良い低品質製品であったアメリカのiPodや、韓国のMP3の売り上げに対して、どの様な感想を持ったのだろうか? 
 多分、「・・・・・・」のみだろう。
   《参照》  『ゲームニクスとは何か』 サイトウ・アキヒロ (幻冬舎)

            【iPod メガヒットの理由】

 

 

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