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 紀元前2万年、現在から2万2千年前に起こった宇宙的イベントを元に、天体の動きと地形の位置関係を図形に投影するという数理解析的手法によって古代人が残した壮大なプロジェクトに秘められた内容を解明している。著者のプロフィールには「東京工業大学大学院卒業」としか書かれていないけれど、『ホツマツタヘ』をも射程に捉えている興味深い内容である。既読本の書架を見ていて、『古代天皇家と日本正史』 の隣にあったからついでに再読してみた。2004年4月初版。

 

 

【まほろばプロジェクト】
 宇宙原理研究の第1歩は、まず自分たちが宇宙の中で、「どこ」にいるのかを知ることだ。そのためには「天」の中心がどこにあり、「地」の中心がどこにあるのか、それを把握しなければならない。(p.33)
 「天」の中心は、星の運行からその1点は容易にわかる。現在なら北極星ポラリスの近傍。しかし、歳差運動のため、紀元前2万年頃はケフェウス座ベータ星の近くにあったという。
 「地」の中心は、言うまでもなく地球の中心なのだけれど、当時の人間たちには、地面は有限な平面であるという認識しかなかった。そこで、「地」の中心は分からなくても、「天と地の中間点」を探し出そうと試みた。
 「まほろば」とは天と地の中央地点、天と地の特性がバランスした神聖な土地を示す言葉だったのだ。「まほろば」が発見できれば、「地」の中心の位置も把握でき、天地宇宙の把握が容易になるはずだ。プロジェクトはまず、「まほろば」探しが最初の大事業となった。(p.34)
 「まほろば」という用語に関して、ウィキペディアには 
 まほろばとは、「素晴らしい場所」「住みやすい場所」という意味の日本の古語。「まほらば」「まほらま」とも言う。
 倭(やまと)は 国のまほろば たたなづく 青垣 山隠(やまこも)れる 倭しうるはし
 古事記中巻・景行天皇帝紀では倭健命の、日本書紀では景行天皇の望郷歌とされる和歌が「まほろば」の代表的用例として知られる。
 と記されているのみ。「まほろば」という語に関して、これ以上の説明をする人はほとんどいない。
 しかし、著者は、“「まほろば」とは天地の中央地点”と明確に定義している。
 これを天文学的・数学的に探究し、その過程で現れる図形上の特異性に秘められた意味を語っているのがこの著作である。

 

 

【「まほろばライン」:北緯34度28分27秒】
 冬至の日に太陽南中高度と日没方位が等しくなるという発想から得られた「まほろば」候補地が並ぶ東西ライン(以後、「まほろばライン」と呼ぶ)は、「太陽の道」とほぼ重なっている。(p.37)
 「太陽の道」というのは水谷慶一氏の『知られざる古代』や小川光三氏の『大和の原像』の中で提唱されていたもので、伊勢神宮、三輪山(大神神社や箸墓)、仁徳天皇陵などの神社や古代遺跡が並んでいるラインとして、提唱されたものだという。しかし、両氏はなぜこのラインなのかという説明はしていないらしい。

 

 

【「熊野ライン」:東経135度45分19秒】
 「まほろばライン」は、「天(太陽)」のパワーを根源とする「神聖東西ライン」である。すると「地」のパワーを根源とする「神聖南北ライン」が見いだせれば「まほろば」が特定できる。
 天の中心が北方の1点に存在しているのだから、地の中心は、きっとこの大海原の南方の底深くに存在しているはずだと、誰もが感じたことだろう。 ・・・(中略)・・・ そうであるなら、この南方からの「地」のパワーの流れが他の場所より大きくなっているだろう。その結果、そこに大地の特徴的なかたちが表れるはずだと。
 すなわち、この「神聖な南北ライン」上で陸地が一番大海原の中に延びているはずとの発想に至ったのである。 ・・・(中略)・・・ 調査の結果は、今の紀伊半島の南端、潮岬であった。潮岬を通る南北線が、「神聖な南北ライン」である。 ・・・(中略)・・・ 実はこの南北ライン上に、熊野本宮大社がほぼ正確に重なっている。すなわち、「まほろば」と熊野本宮、潮岬は南北一直線に並んでいるのだ。このため、この神聖南北ラインのことを「熊野ライン」と称することにする。(p.39-40)
 著者は地形的・地理的な洞察によって「熊野ライン」を割り出しているけれど、高度な霊覚者さんたちは、旧熊野本宮大社のあった 大斎原(おおゆのはら) は、本当に地底からエネルギーが噴出している場所であると言っているのである。
 また熊野ラインの北側延長線上には、京都の鞍馬山があるはずである。
 東西ライン上に伊勢神宮があり、南北ライン上に熊野本宮がある。「天(伊勢)」と「地(熊野)」のラインが交差する点が「まほろば」である。

 

 

【シリウスによって生ずる宇宙二等辺三角形】
 シリウスは神秘学(オカルティズム)の中心となる重要な星であり、それに関することは下記リンクなどで何度も書き出しているけれど、古代日本で行われていた「まほろばプロジェクト」においても同様である。
   《参照》   『消された惑星「冥王星」の黙示録2012』 神谷充彦 (学研) 《前編》
             【シリウス】
 シリウスの南中高度は測定の結果、32度だった。従って「まほろば」から真南32度の仰角方向にシリウスはある。(p.45)
 二等辺三角形による真理表現を行う当時の人類は、「天」すなわち「宇宙」は、シリウスに代表されているような「光・陽」と地の中心で象徴される「闇・陰」の2つの要素のバランスの上に成立していると考えたのだ。
 すなわち、天の中心を頂点として、地の中心とシリウスを2つの底角とした宇宙を表現する壮大な二等辺三角形を想定したのである。(p.46)
 この図形を、上掲の写真の中に取り込んでおいたけれど、この図を基に驚くべきことが次々と発見できるのである。全部は到底書き出せないけれど、その内のいくつかを示すならば。
 結局天の中心、地の中心、シリウスで構成される二等辺三角形は底角が69.3度、頂角が41.4度の二等辺三角形ということになる。実は、この二等辺三角形は斜辺の長さが底辺の長さの1.414倍、すまわち、√2になっているのだ。
 この二等辺三角形では、斜辺の中点から相対する底角へ直線を引くと、この直線と底辺の長さが等しくなるという美しい性質をもっているのだ。「まほろば」で発見された宇宙二等辺三角形はまさにこの美しい性質をもつ二等辺三角形だったのだ。(p.47)
   《関連》   『謎の古代図形』  秋山清  コスモトゥーワン
             【大和比】~【生命の根源に潜む大和比】

 

 

【シリウス・コネクション:同径連結円】
 下記の「太陽円」とは冬至太陽の位置を中心にして、天地軸に接するように描いた円のこと。
 太陽の運行の基本となる太陽円に基づいて、同じ半径のシリウス円を「まほろば」から一直線に並べると、宇宙二等辺三角形内に2つの特異点(A点とM点)が発生する。この2つの特異点を介して、まほろばや天地軸、夏至太陽、地の中心、そしてシリウスがすべて23.1度を基本とする角度でつながってしまうのだ。
 言い換えれば、23.1度で共鳴状態になったといえる。太陽円とシリウス円という2つの同径円の連結が、このような共鳴現象を生み出したのだ。大和三輪山の東方、天神山の麓にある有名な長谷寺の紋章が、実は、2つの「同径連結円」そのものなのだ。長谷寺によれば、この連結円の意味は「2つは1つ」という意味なのだという。(p.54)

 長谷寺の紋章には、我が太陽系とシリウスを代表とする大宇宙との融合を願う「まほろばプロジェクト」の想いが込められていると思えるのだ。(p.112)
 「同径連結円」の形状は、下記リンク書籍の表紙に掲載されているけれど、著書の中で中丸薫さんは、「フォトンベルトの形状」であると述べている。
   《参照》   『宇宙のニューバイブレーション』 中丸薫・坂本政道 (ヒカルランド) 《前編》
 また、現在の日本国政権与党である民主党のマークは「同径連結円」そのものである。勿論、偶然ではない。