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 プロフィールには、「青森県むつ市出身。昭和46年生まれ。ビジネスサークル Leaders Create の運営の他に、数社の役員を兼任。「徳育」「志育」「情操教育」をテーマに自分を磨き、後輩に良い影響を与えようと活躍中」と書かれている。
 2002年9月初版だから著者が30歳くらいのときに著した本ということになる。常に向上に努め人生を無駄に生きていない方だということがよくわかる。あとがきを読みながら、「30歳で、こんなに志の高い青年もいるんだぁ」などと感心してしまった。

 

 

【気合だけでは勝てない】
 私が昔、極真会館で空手を学んでいた時の事。当時師範から基本から組み手まで様々学びましたが、当時思った事が『根性論じゃない』という事。人間の体のつくりから攻撃の仕方、防御の仕方など理屈の連続でした。同じ力でも使い方によっては『柔よく剛を制す』なのです。ただ気合を入れてガムシャラにやっても勝てる訳ではないのです。(p.24)
 「体の中心線で鼻、喉、胃とか金的が第1急所、第2急所は耳のラインで側面の急所」を外したらどんなに思いっきり蹴っても倒れないと教わりました。勢いで漠然と突きや蹴りを繰り出しても自分が疲れて、ヘロヘロになるだけです。仕事にも大変似たような事が言えます。(p.25)
 こういうのを読むと、小学生の頃の少年野球でガムシャラに“素ぶり100回”なんてのをやらされていたことの無意味さをつくづく思い出してしまう。強く遠くへ飛ばすためのポイントすら教えてもらっていなかったから、たんなるエネルギーの浪費というだけで何の効果もなかったのである。100%精神論は完全に無意味。基本となる理屈は必要である。それをより正確により効果的により高度なものにするのは、それぞれの工夫や鍛錬次第である。
   《参照》   『時は金なり、時間の千円札を拾え!  深見所長講演録⑮』 (菱研)
              【団体競技と個人競技】

 

 

【わかってする】
 成果の上がらない人の特徴で、『ただこなしている人』というのがあります。誰かのマネなのかわかりませんが、ただ表面だけをマネしている。話ひとつ取ってもみても『なぜその話をするのか』にまったく興味の湧かない人は見込みがない。営業であれば、トップ営業マンに興味を持ち、一挙手一投足に疑問を持たねば成長などないのである。わかって話せ、わかって行動せよ。(p.80)
 理由もわからずにするって素直かもしれないけど、現実界を生きる上ではもしかしたらアホ。理由がわかるというのは納得するということ。いきなり感動や感激という魂の領域にまで深く浸透できる場合を除いて、理解し納得するという段階を確実に踏まえていないと向上はありえないだろう。

 

 

【偉大なる母乳】
 昨年の8月に娘が誕生しました。その時の話です。初めて母乳を飲む娘の顔がやけに不味そうで思わず声をかけると、看護婦に「最初は苦いんです。次はしょっぱくなり最後に甘くなるのです」と言われました。特にしょっぱい味の時は初乳と呼ばれ一番大事な免疫などが含まれているそうです。苦さという辛さ、しょっぱさという汗や涙を味わい、やっと甘い成功へとたどり着く人生のあり方を、人は生まれてすぐに学んでいるのです。(p.34)
 初乳すら与えず人工ミルクにしてしまう親って、虚弱でわがままな子供を作っておきながら、後々、「どうしてこの子は・・・」なんて嘆くようになるんだろう。

 

 

【向上心というスイッチ】
 自分が向上できればひとまずありがたいと思う事です。私は平社員の時期を長く経験しましたが、自分が課長になったらこういう事をやってみよう、自分が部長職になったらこういう事を試してみよう、もし私が会社の役員になったらこういう風に変えてみようという理想を持って働いていましたから、1日も早く出世をしたかった。もし自分の向上心にスイッチが入っていない人がいましたら、自分がワンランク上がった時に何がやりたいのかを明確にし、スイッチをいれましょう。(p.43)
 向上心のメリットは、第一に「不平不満という次元を超えられる」ということである。上司や周辺に不満を撒き散らすことは“逆噴射”みたいなもの。自分は永遠に上昇しない。
 向上心があるといっても、出世を目的としているだけならあまり優れたものとはいえない。良き改善を目的とする向上心は気高さにおいて出世をも包含しているはずである。
   《参照》   『安藤百福かく語りき』 安藤百福  中央公論新社
             【地位と仕事】

 世界平和などの私利私欲を離れた高い抽象次元の目的を持った向上心は、いかなる障害をも克服するほど強力な現実形成力をもっているはずである。
   《参照》   『夢が勝手にかなう脳』 苫米地英人 (講談社)
             【コンフォートゾーンを上げるというのは・・・】

 

 

【代表意識】
 私はぜひ日本人の価値を上げたい! 日本の中で我々グループの価値を上げたい。私は、他国の人と接する時は『日本代表の私を見て日本が判断される』、他社の方にも同様『会社代表の私を見て会社が判断される』と心得、向上心を持ち、礼儀を重んじ、人を尊敬し、気持の良い挨拶、勤勉さ、探究心、などにこだわる日々です。皆さん今日から私と【超人】を目指しましょう。そんなあなたを会社、異性、周りは必ず見逃さない。(p.94)

 

 

【永遠の命が手に入る国では・・・】
 昔銀河鉄道999というアニメがあり、主人公星野哲郎が永遠の命を探しにメーテルと旅する話だ。永遠の命が手に入る国に降り立った時、哲郎が見たものは自殺する人々だった。結局永遠に生きられる事で、何もやる気が起きないのだ。(p.112)
 違う。
 アニメの作者は真実を理解していない。
 永遠は愛が遍在するフィールドにおいてのみありうる世界である。愛のフィールドに生きる人々が自殺を思いつくことなどありえない。向上心はこの世においては価値を認められるものだけれど、愛が遍在する世界では向上心が同様な価値を持たないのである。そこでは“向上心”は“奉仕する心”に転化しているのである。
   《参照》   『アミ小さな宇宙人』 エンリケ・バリオス (徳間書店)
             【長生きは退屈?】

 

 

【落書きなどを・・・】
 NY前市長のジュリアーニ氏の政治は参考になる。・・・(中略)・・・。『凶悪犯罪をもっとたくさん取り締まってくれ!』という市民の要望に対し、警察はひたすら信号無視や地下鉄の落書きなどを厳しく取り締まり続けた。その結果凶悪犯罪が減り、犯罪自体も減りました。(p.136)
 これを読んで、自分の部屋の状態を思ってしまった。自分の部屋は誰も取り締まってくれない。チャンちゃんの心には賊が跳梁跋扈していそうな気配がある。ヤバイ。
   《参照》   『「壊れ窓理論」の経営学』 マイケル・レヴィン  光文社
             【「壊れ窓理論」】

 

 

【世界の手本】
 そこには笑いがあり、希望があり、夢がある。発展があり、社会貢献があり、助け合える仲間がいて、共に喜び、悲しみ、悔しがり、励まし合い、協力する。身勝手には周りはイエローカードを出し、仕事は最後まで粘り、もがき諦めない人には例え失敗しても尊敬する。仲間がバカにされたら怒り、普段隠している牙を思う存分剥き出しにし皆で噛みつく。手ごたえのある組織、それができる会社は世界の手本である。(p.151)
 これが本書のクロージング・センテンスである。
 素晴らしい。

<了>