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 時間の使い方がテーマの講演。初めて読む人なら全体的に興味深いだろうけれど、私はあっちこっちの講演で何度か聞いているから、変った所だけ書き出すのみ。

 

 

【団体競技と個人競技】
 「集中して時間効率を上げる努力」というテーマの中で語られていること。
 どんなスポーツをやっている学生の成績がいいか、ということを調べた統計があります。それによると、一番成績のいいのは剣道。剣道をやっている学生が平均的にいい成績を取っているということです。次に成績がいいのは、卓球をやっている学生なんです。ラグビーとかサッカーをやっている学生が成績の上位ではないんです。(p.79-80)
 団体競技の場合、試合中に集中していなくてもいい時間帯がある。個人競技ではそうはいかない。勉強は個人でするものであるし、継続的集中力の有無が学習効率の殆どだからである。
 団体競技でも、すぐれた選手は空いた時間を無駄に過ごしていない。高校野球で甲子園に出てくるようなチームなら、どの選手もベンチから相手投手をじっと見つめて、球種によるフォームの違いを探しているはずである。サッカーでも、セリエA、ローマの優勝をぐっと引き寄せた時の中田の得点が、まさにそれである。
  《参照》  『 NAKATA MODE 』 高橋英子・宇都宮基子 (小学館)
          【観察するイタリア人】

 

 

【時間を作る】
 睡眠時間を返上すれば何でもできますが、寝なかったら死んでしまいます。あるいは病気になる。もしくは疲れる。これが問題なのですが、実は私は、それを克服しているんです。
 どうやって克服しているかといいますと、「死ぬなら死んでもいいわい」 と覚悟を決めるのです。そうすると、気分が楽しくなります。楽しくなるからストレスを溜めない。ストレスを溜めないから病気にならないし、死にもしない。「病は気から」 と言いますが、やはり、ストレスにしないことが最も大事で、そのためには、「睡眠不足で死んだとしても本望だ」 と覚悟を決めることです。そして、「死んだら死んでもいいわい」 と覚悟を決めるとどうなるか。大死一番の底で、腹が据わります。(p.126-127)
 睡眠時間の長短については、おそらく人それぞれの思い込みによって支配されているのではないだろうか。
 私自身が大学生だった時、何かに集中していて異様に冴えていて、眠る時間が2時間程でいい日が何日も続いたことがあった。病気になってしまうのではないかと余計なことを思い、5日目くらいに眠くもないのに通常の2時7時の5時間に戻したのであるけれど、その時はかえって暫く体調が良くなかったし、ピッカピカの冴えもすっかり消えてしまったことを覚えている。睡眠時間が異様に短くても冴えて体調がいい日が続いているのなら、絶対にそのまま続けたほうがいい。
 魂がギンギンに輝いていたら、おのずと睡眠時間は短くなってしまうのではないだろうか。私にはそう思える。逆に、ひたすら眠り続けたくなるのは、老若に限らず、魂が仮死状態になっているか仮死状態を望んでいるからに違いないのである。村上春樹の小説を読んでいていると、そんな登場人物達がしばしば描かれている。
   《参照》  『レキシントンの幽霊』  村上春樹  文春文庫
            【死 : 眠り続ける】

 

<了>