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 みんなの党の党首である著者の大きな政治目的は、「脱官僚」と「地域主権」。大阪や名古屋で新しい動きが起こっているけれど、そのような気配など全然起こっていない地方は、県知事や市長が官僚の天下り先として機能しているか、本気で行政を革新する意志などサラサラないお先真っ暗行政をしている地域ということになる。

 

 

【公務員と民間の給与格差】
 国家公務員の平均人件費は1047万円です。地方公務員は933万円(2009年度)。その一方で、民間企業の平均給与は年々減少して405万円(同年度)。(p.29)
 日本人の年間平均所得は、バブル景気の頃、500~600万円程度といわれていたけれど、官民でこんなに差(2倍以上!!)が生じていたとは、正直なところビックリである。
 手取り収入から家賃を差し引いた残りが8万以下の層を貧困層というのだそうだけど、都内居住の女性の3割はこれに分類されると、数週間前、テレビ番組で放送されていた。入社から数年間はだれだってそんなものだろうけど、家賃7万として月収15万以下という収入が、全女性の3割は異常だろう。この層は非正規雇用だからボーナスなどない。年収は単純に12倍で180万円。公務員の給与水準というのは、本当に世の中の実態を無視している。最近公務員給与を段階的に下げるといっていたけれど、僅かコンマ数パーセントだろう。50%にしないと平等じゃないのにね。

 

 

【埋蔵金というへそくり】
 外国為替特別会計は100兆円以上のお金を毎年、ドル預金やドル債で運用しています。この運用には必ず利息が付きます。100兆円を3%で運用すれば、毎年3兆円の利息が出るのです。これを役人のへそくり、すなわち埋蔵金と言わずして、なんと言いましょう。
 労働保険特別会計でも、資産負債差額が12兆円以上あります。必要な責任準備金を保険数理の専門家が計算すれば、少なくとも5兆円は必要以上に積まれていると言っています。これもまた役人のへそくり以外の何ものでもない。
 これは、企業が高い保険料を払わされているから貯まった代物です。赤字の中小企業だって、保険料はしっかり取られます。その水準が高ければ、役人のへそくりになってしまう。この現実を、国民に知ってほしいのです。
 そして、へそくりがあれば、無駄遣いするというのが、役人の世界です。 (p.73-74)
 役人というのは、たくさんお金を集めて、自分たちの天下りのための原資として都合のいいように勝手に使っているズルい連中である。予算規模が大きければ大きいほど役人はうまいこと埋蔵金を貯め込むのである。福島原発のリスクに関しても、原子力利権に巣食う天下り連中が、自分の領域を潰したくないから、責任を回避するためにいい加減なことをいまだに言い続けているのである。
 役人は国民のことなんか全然考えていない。それははっきりしている。
 埋蔵金の例は、上記以外にもいくらでもある。
   《参照》   『僕らはそう考えない』 竹村健一・日下公人・渡部昇一 (太陽企画出版)
             【大蔵省の収入】
 みんなの党は、3年で30兆円の埋蔵金を掘り起こせると考えています。 (p.140)

 

 

【ステルス支配】
 たくさん集めて、たくさん配るというのは、役人の既得権益を増大させることになります。増税もそうですが、どうにも民主党の政策は、その陰に役人の姿が見え隠れしています。私はこれを「役人のステルス支配」と呼んでいます。とりわけ民主党の場合は、「財務省のステルス支配」です。(p.76)
 この本は、菅直人政権の時に書かれたものだけれど、民主党が掲げていた公務員改革は、鳩山内閣を潰す過程で完全に葬り去られてしまっている。政治家側がきちんとした人的体制を整えて総力を持って官僚に対抗し、国民がそのような政治家達を応援しなければ、日本は全然良くならないどころか、どんどん沈没して行くだろう。
   《参照》   『新たなる金融危機に向かう世界』 副島隆彦 (徳間書店) 《後編》
             【日本の将来を潰した者達】

 

 

【筋が悪い】
 霞が関用語でが、「筋が悪い」という言葉があります。国会議員が官僚の言うことを聞かずに独自の提案をし、霞が関の路線に乗っからないことを言います。みんなの党がまさにそうですが、その後、菅さんは私に向かって「筋が悪い」といって攻撃するようになりました。(p.140)
 「筋が悪い」政治家に対しては、「リーク」「悪口」「サボタージュ」そして「恫喝」など、官僚側はいろんな手を使って籠絡する。民主党政権はこれらの手法によってもはや完全崩壊してしまったわけである。

 

 

【「筋の良い」政治家】
 ところで、最も「筋が良い」政治家さんはというと、
 政治家の中には、与謝野馨さんのように霞が関の守護神といわれている方もいます。与謝野さんの言っていることは、イコール霞が関官僚の言っていることだと思えば、極めてよくわかります。(p.150)

 

 

【IMFという天下り先】
 内閣府の試算と同様、気をつけなければならないことは、IMFというのは、実は財務省の国際天下り機関であるということです。
 財務省国際局財務官経験者が天下っており、現職出向者も何人もいます。“工作”と思われるIMFレポートを書いたのは、財務省から出向している若手官僚です。そうやって、外圧まで使った世論工作、刷り込み作戦が堂々と行われている現実があるのです。これが官僚システムのやり口なのです。(p.81)
 「外圧を利用しようとする官僚」と「闇の権力」はタッグを組んでいる。普通に真面目な国民にとっては信じがたいことだろうけれど、国富を奪い国民を困窮させ続けるための最強タッグができているのである。
   《参照》   『日本復活』 稲盛和夫・瀬戸内寂聴・中坊公平 (中央公論社) 《後編》
             【日本はもっと貢献すべきです】
   《参照》   『幸せを奪われた「働き蟻国家」日本』 ベンジャミン・フルフォード&カレル・ヴァン・ウォルフレン
             【失われ続ける日本マネー】

 

 

【ステルス内務省】
 内省関係者名簿には、総務省、警察庁、国土交通省、厚生労働省の現職・OB名が載っています。これらは、戦前の内務省を構成していた役所です。内務省そのものは戦後、解体されたわけですが、こういう形で「ステルス内務省」が残っています。官僚システムの怖さを思い知らされる話のひとつです。
 そして日本では、このステルス内務省の名簿から、事務の副長官が選ばれることになっているのです。脱官僚を唱えていた民主党政権ですが、なんとこの鉄の規則をしっかり守っていました。 ・・・(中略)・・・。
 実は少し前にこの規律を破った総理がいました。安倍晋三さんです。 ・・・(中略)・・・ 官僚を敵に回してしまった、ということでしょうか、本当に短命に終わってしまいました。
 鉄の規則を守らずに、ただでさえギクシャクしていたところに、私が安倍内閣では大臣として乗り込み、「天下り根絶!」などとぶち上げたものですから、官僚機構が大騒ぎになったことはいうまでもありません。(p.112-113)

 「天下り規制なんかやると、クーデターが起きますよ」と言ってきたのは、当時の的場順三官房副長官でした。その前日の事務次官会議では、これも当時の漆間巌警察庁長官が「こんな案、とんでもない。現職の警察官に自分で職探しをやれというんですかっ」と、ものすごい剣幕だったときかされました。(p.154)
 「民間人は、みんな自分で職探してるのに、どうして・・・」と普通の国民は思うけれど、官僚にとって普通なのは天下ることなのである。
 内務省というのは、国内諜報警察みたいなものだから、昔から隠然たる権力を持っていた処である。分割され省名が変わっても、その権力機構にはいささかも変更はないということだろう。

 

 

【小沢一郎の行動】
 総理直属の国家戦略局ができていたら、官僚たちは仲間内で政策の調整を行うことができなくなってしまうはずでした。 ・・・(中略)・・・ それこそ、官僚達にとっては、絶対に避けなければいけなかった組織を、小沢さんは一言でつぶしてしまったのです。(p.99)
 小沢さんの言う脱官僚というのは眉つばものではないか、と思わざるを得ないのが、小沢さんの行動の軌跡です。(p.100)
 刑務所に行くか官僚に屈服するかの選択で後者を選んだのだろう。政治家を丸裸にする官僚達の情報網は内務省時代から直伝なんだろうから、かなり精緻なもののはず。本当に国政を改善する意志のある政治家は、日頃からそのことを百も承知で取り組んでいなくてはならない。

 

 

【道州制を推進するうえで・・・】
 気をつけなければいけないのは、見かけは同じ道州制でも、官僚主導型道州制というものが存在するということです。これは現在、国の出先機関が置かれている区分けどおりに、線を引いて道州制にしていくというものです。これでは、国の出先機関が同州と名を変えただけです。(p.213)
 官僚支配を脱してこそ意味のある道州制なのに、官僚主導ではぜ~~~んぜん意味がない。
 下記リンクの【道州制特区推進法】の中の記述には、「国からの三元(権限・財源・人間)を受け入れていく母体」という表現がある。これじゃあ、官僚支配になってしまうだろう。
   《参照》   『官僚の正体』 日下公人・金子仁洋 (KKベストセラーズ)
             【道州制特区推進法】
 官僚出身の知事は、地方の味方とは限りません。それこそ県知事という天下り先が減るから、道州制には反対するでしょう。国民の皆さんは、自分たちの県の知事がどういう考え方の持ち主なのか、じっくり見極めて欲しいと思います。自分たちよりも中央を向いている知事がいないかどうか、しっかりとチェックしてください。(p.220-221)

 

 
<了>