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 大学生の就職先として次第に人気が高まっているという外資系コンサルタント企業。どのような仕事をし、どのような考え方をしているのか、知りたい人には丁度いい書籍かもしれない。

 

 

【政策決定にも影響を与える「外資系コンサル」】
 今日のコンサルタントは、企業だけを対象にするばかりではない。
 小泉改革においては、構造改革が政策の中心でしたが、そこには3人のマッキンゼーのコンサルタントが深く関与しています。(p.3)
 様々な改革委員会のメンバーとして名を連ねているのは、本田桂子、川本裕子、宇田左近の3人。
 金融の番人であり、経済の中心に位置する日本銀行も 「外資系コンサルティング会社」 からコンサルを受けたと言われています。(p.13)

 

 

【自治体、大学、病院などのコンサルも】
 県庁や市役所といった地方自治体や病院などの医療機関、さらに、大学などの教育機関も彼らからコンサルを受けているのです。(p.15)
 「マッキンゼー」 も、ホームページで、「東京大学における業務見直し・活性化プロジェクト」 に取り組んだことを明らかにしています。(p.16)
 「アクセンテュア」 は、岐阜県や札幌市のコンサルティングを行っていることを公表しているという。
 自治体もコンサルティング費用を出せるほど経済的に余裕があるのならそれもいいだろうけれど、それが出来ないのなら、何もしないで遊んでいるだけの職員にこの書籍を買って読ませて、様々な事例を集めて自分たちで研究させればいいのである。コンサルティング会社がもっているノウハウとて、最初は、様々な事例を集めてそれぞれ独自に解法を生みだしたものなのだから。市町村レベルの自治体なら、当然そうすべきだろう。

 

 

【マッキンゼー・マフィア】
 「選手として実戦経験のないコーチからのアドバイスは、試合では役に立たない」 ・・・(中略)・・・ こうした批判に対する反証として、よく言われていることがあります。
 それが、「マッキンゼー・マフィア」 という言葉です。
 “コンサル先進国” のアメリカでは、コンサルティング会社の代名詞とでも言うべき 「マッキンゼー」 出身者が、次々と有名企業の社長や幹部に就任し、しかも実績を上げているのです。
 コンサルティング経験を実務に活かしたいと思う 「マッキンゼー」 OBやOGが、実業の世界に転進し成功しているということは、「選手の経験を生かしてコーチ・監督になる」 のとは逆に、「コーチを経てから、選手になり、大活躍している」 とう図式になります。(p.25)

 「一所懸命」が基本と考える日本人とは違って、諸外国ではジョブホッピングや副業が当然のことように認識されている。多くの分野の書物に触れることで体系的な知が構築されるように、複数の職業を経た人なら社会的に有用な知を内部に構築している可能性が高い。下記リンク書籍に記述されている成果は、コンサルタント業を含む職業流動性の高い社会だからこそ達成できたものだろう。

   《参照》  『いつか、すべての子供たちに』 ウェンディ・コップ (英治出版) 《後編》

            【資金調達】

            【アメリカの教員採用事情】

 

 

【ターンアラウンド・マネージャー】
 “日本人の心” 温泉旅館の再生においても、投資銀行であるゴールドマン・サックスは、軽井沢で温泉旅館を経営する星野リゾート ・・(中略)・・ と共同出資で、温泉旅館の再生を指南するコンサルティング会社を2005年に設立しました。
 このような “再生請負人” すなわち企業再生の専門家を、欧米では 「ターンアラウンド・マネージャー」 と呼んでいます。(p.42-43)
 なぜ、 “日本の心” である温泉旅館再生に外資系コンサルが関与してしまうかと言うと、
 日本では、金融知識と実務経験のある質の良いターンアラウンド・マネージャー、すなわち “再生請負人” の数が圧倒的に不足しています。
 その背景としては、・・・(中略)・・・ 経営層の人材の流動性が低いことが挙げられます。
 企業においても財務部や経理部は特殊扱いされ、事業(ビジネス)と金融(ファイナンス)の両方をバランスよく経験している人材は、企業内においても限られているのです。
 そうしたことから、この 「ターンアラウンド・マネージャー」 役を、「外資系コンサルティング会社」や 「外資系コンサルタント」 が務めるケースが増えています。(p.43)
 国際的なファイナンス業務を知っていなければ出来ない、企業再生の例が下記の著作に記述されている。
   《参照》   『日本が潰してはいけない会社』 立川昭吾 (青志社)
             【パチンコ業界に韓国人経営者が多い理由】
              ~【ロンドンで上場】

 

 

【日本における2大コンサル】
 日本では 「マッキンゼー・アンド・カンパニー」 と 「ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)」 が2強の地位にあります。(p.64)
 先に日本に進出してきたのは、BCGだったらしい。
 しかし、

 

 

【マッキンゼー】
 日本では、10年ほど前まで、「戦略系コンサルタント業界は、 “1強多弱” 」 と言われるほど、「マッキンゼー」 のひとり勝ちの状況にありました。
 そうした状況を作り上げた功労者が、大前研一氏です。
 それまで、日本の大企業においては、「経営戦略を外部の人間に相談する」 といったことは、まったくのタブーでした。それは、 “経営者失格” ともとられかねない行為と考えられてきました。
 「マッキンゼー」 はいまだに正式に認めてはいませんが、住友銀行や野村証券といったビッグネームが 「経営戦略構築」 に 「マッキンゼー」 の智恵をかりているということが、マスコミで報道されるようになり、「マッキンゼー、イコール、世界最高のコンサルティング会社」 というブランド・イメージが日本中に定着していきました。(p.64-65)
 アサヒビールの再建も、韓国のサムソンを飛躍させたのも大前さんが率いたマッキンゼーである。
   《参照》   『商売はこの明るさでいこう!』 樋口廣太郎・船井幸雄・佐藤芳直・大野潔 (中経出版)
             【黄金ウンコを空に飛ばせた人】

 大前さんは、企業参謀だけではなく、マレーシアなどのアジア諸国の政府顧問もしているのは周知のこと。
 マキンゼーの特徴である、アップ・オア・アウトといわれる人事制度や、入社試験における面接問題については、大前研一さんの読書記録 のどこかに書き出してある。

 

 

【ボストン・コンサルティング】
 「ボストン・コンサルティング」 は ・・・(中略)・・・ 、「マッキンゼーより良いですよ(あるいは、同じくらい良くて、安いですよ)」 と主張する 「ベター・プロダクト戦略」 ではなく、「マッキンゼーとは違いますよ」 という 「差異化戦略」 を展開したのです。
 そしてこの戦略は、功を奏しました。 (p.86)
 戦略も差別化されてこそ意味がある。大方の企業がマッキンゼーにコンサルを依頼する状況下では、かえって違うコンサルを選択した方が良いのではないかという経営陣の判断がボストン・コンサルティングを選択させ №2 にまで成長させたのだろう。