「この本は、若いゼミの学生や現場を支えるサラリーマン、時代を鋭い感度で見つめる知的女性に語りかける意識で作られたものであり、これを手にした諸君が何かひらめいてくれれば、望外の喜びである。」(p.202)
とあとがきに書かれている。2010年1月初版。
【ロシアの日本語学校】
1853年のペリー浦賀来航より150年も前の1701年に、ロシアの、それも西の出口、サンクトペテルブルクに日本語学校が設立されていたのだという。ピョートル大帝の時代である。
1853年のペリー浦賀来航より150年も前の1701年に、ロシアの、それも西の出口、サンクトペテルブルクに日本語学校が設立されていたのだという。ピョートル大帝の時代である。
「ウサカ国のデンペイ」(大阪出身の伝兵衛)という船乗り(質屋を営んでいた商人と言う説もある)が、17世紀末に漂流しカムチャッカ半島に流れ着いたことから始まる。(p.24)
日本語学校は、サンクトペテルブルクからイルクーツクへと移動し、一時中断された後、現在は再びサンクトペテルブルク帝国大学で開講されているという。
【ウラジオストック】
戦前の日本人がヨーロッパに行く時は、ウラジオストックからシベリア鉄道に乗っている。僅か12日間で行けたそうである。船より圧倒的に速かった。
(ロシアは)19世紀半ばに入ると、本格的な極東支配に乗り出すことになる。その象徴的な出来事が、1860年から始まるウラジオストック建設だった。
ウラジオストックというロシア語は日本語に翻訳すると 「東を征服せよ、支配せよ」 という意味になる。あからさまな野望の表現である。(p.34)
ロシアの極東開発に呼応するように、防衛上の目的から日本は北海道開発を始めたのである。ウラジオストックというロシア語は日本語に翻訳すると 「東を征服せよ、支配せよ」 という意味になる。あからさまな野望の表現である。(p.34)
戦前の日本人がヨーロッパに行く時は、ウラジオストックからシベリア鉄道に乗っている。僅か12日間で行けたそうである。船より圧倒的に速かった。
【白系ロシア人】
「白系ロシア」 の白とは、共産主義の赤に対する白、つまり革命に反対する王党系を意味する言葉だったのだ。そういう人がウクライナには大勢いて、その人たちが極東に流されてきた結果、「白系ロシア人」 は北海道の住民にもなじみ深い存在となったのである。(p.37)
なんだ、単なる肌の色かと思っていた。
戦前から活躍した野球選手のスタルヒン、それから、大横綱・大鵬の父君が浮かぶ。東京のウクライナ大使館に行けば、大使の部屋に、いまでも大鵬の等身大の写真が飾ってある。(p.39)
大鵬って、日本人とロシア人のハーフだった! 「へぇ~」 である。なるほど、それであのような圧倒的な成績を残しながら、大鵬親方は理事長にさせてもらえなかったのか・・・。それでもって純日本人の現在の理事たちは暴力団がらみの賭博漬けというのは、強烈にいただけない。調査委員会の捜査が、急におとなしくなったのは、まともに調べたら、賭博につながっていない親方や理事が殆ど居ないと分かったからなのだろう。それくらいのことは、国民みんな先刻承知のことである。いっそのこと、現在の理事全部を一掃して、日ロ関係を良好にするためにも、大鵬親方を理事長にすればいいのではないか。
【虚心坦懐に世界を見る】
軍事を先に立てないと世界中が宣言するならば、日本は極東開発を通じてロシアの発展に圧倒的に貢献できるのに、もったいないことである。
戦後的な 「アメリカを通した世界」 像に固執していては、こういった歴史的事実さえ見落としがちになる。その結果、過去との連続性の上に成り立つ現在の正確な認識も怪しくなってしまう。逆にいうなら、「おや?」 と思う事実にめぐりあった時、固定観念に縛られるのではなく、虚心坦懐に心を開き、時空を超えて視野を広げれば、必ずや 「世界」 は見えてくるはずなのである。(p.39-40)
距離的には日ロは日米より遥かに近いのに、現代の我々日本人はアメリカ発の情報に洗脳され切っている。軍事を先に立てないと世界中が宣言するならば、日本は極東開発を通じてロシアの発展に圧倒的に貢献できるのに、もったいないことである。
【中台関係の現実と大中華圏】
中台関係が今後どうなるか ・・・(中略)・・・ 一触即発の関係と見る人だっている。
ところが、上海浦東国際空港にひとたび降り立ってみれば、「一触即発」 論者は拍子抜けするに違いない。というのも、そこには、特別に台湾人専用の入国審査カウンターが設けられているからである。台湾人の出入国がいかに多いかであり、現実的にそれに対応しているのである。(p.65-66)
まず経済が政治的国境を越えて進出し、進出先の国に繁栄をもたらせば、自ずから戦争などという野蛮な行為は起こらなくなる。利益に敏感な華僑たちに任せておけば、何度かの失敗を経験しつつも、最終的に、台湾、香港、シンガポールを含む地域は、大中華圏として繁栄してゆくのだろう。ところが、上海浦東国際空港にひとたび降り立ってみれば、「一触即発」 論者は拍子抜けするに違いない。というのも、そこには、特別に台湾人専用の入国審査カウンターが設けられているからである。台湾人の出入国がいかに多いかであり、現実的にそれに対応しているのである。(p.65-66)
【ユニオンジャックの矢】
「ユニオンジャックの矢」 は、英国にとっては国づくりの根幹をなす戦略なのである。つまり、ドバイ、バンガロール、シンガポール、シドニーと世界の成長センターをつなぐネットワークの起点となることで、英国にヒト・カネ・情報が集まる仕組みをつくりだす。この直線は、そのまま英国の 「生命線」 なのだ。(p.87)
ロンドンとシドニーを一直線に結べば、他の3都市は、ほぼその線上に来るので “矢” と例えている。
【ドバイ】
サブプライムローン問題を発端に一時の猛烈な成長ぶりにブレーキがかかったとはいえ、ドバイが現在 「中東の金融センター」 として機能していることは誰もが認めることだろう。その金融エンジニアリングを担ったのが、ロンドンの金融街シティだった。(p.80)
【シンガポール~シドニー】
《参照》 『大英帝国衰亡史』 中西輝政 PHP研究所
英国が再度アメリカの上に行こうと画策してきたことは、副島隆彦さんの著作に書かれているけれど、
《参照》 『連鎖する大暴落』 副島隆彦 (徳間書店)
【ロックフェラー vs ロスチャイルド】
これほど分かりやすい 「ユニオンジャックの矢」 という構想を記述してくれている本が他にあるのだろうか。
「流石は英国!」 と感心する一方で、じゃあ 「日本は何してるの?」 と思ってしまう。
2007年秋には、700人乗りの新鋭巨大ジャンボ機 「エアバスA380」 が、シンガポール~シドニー間に就航している。(p.83)
英国とシンガポールの間で結ばれた 「オープンスカイ」 航空協定を受けてのことである。(p.86)
世界覇権をアメリカに取られて以来、大英帝国は落日しっぱなしだったのではない。英国とシンガポールの間で結ばれた 「オープンスカイ」 航空協定を受けてのことである。(p.86)
《参照》 『大英帝国衰亡史』 中西輝政 PHP研究所
英国が再度アメリカの上に行こうと画策してきたことは、副島隆彦さんの著作に書かれているけれど、
《参照》 『連鎖する大暴落』 副島隆彦 (徳間書店)
【ロックフェラー vs ロスチャイルド】
これほど分かりやすい 「ユニオンジャックの矢」 という構想を記述してくれている本が他にあるのだろうか。
「流石は英国!」 と感心する一方で、じゃあ 「日本は何してるの?」 と思ってしまう。
【オバマのグリーン・ニューディール政策】
明らかに斜陽に向かいつつあるアメリカであるけれど、従来のように石油エネルギーを基幹とする産業界を背景に英米の覇権争いをしていてもはじまらない。オバマは新しい方向へアメリカを導こうとしている。
明らかに斜陽に向かいつつあるアメリカであるけれど、従来のように石油エネルギーを基幹とする産業界を背景に英米の覇権争いをしていてもはじまらない。オバマは新しい方向へアメリカを導こうとしている。
アメリカのスマートグリッド計画には、あのグーグル社が 「グーグルパワーメーター」 といわれる電力の最適な需給管理をするシステムの開発役として参入している。
70年代には弱みにすぎなかった再生可能エネルギーの 「小規模・分散型」 という特徴が、いま、電気自動車やITと連動することで、新たな、そして画期的な意味をもち始めようとしているのだ。(p.119)
70年代には弱みにすぎなかった再生可能エネルギーの 「小規模・分散型」 という特徴が、いま、電気自動車やITと連動することで、新たな、そして画期的な意味をもち始めようとしているのだ。(p.119)
【日米中関係に深い影響を与えた人物】
《参照》 『アメリカの新国家戦略が日本を襲う』 日高義樹 徳間書店
【ニューヨーク・タイムズ】
20世紀の日米中三国の関係に深い影響を与えた人物をひとり挙げろといわれたら、わたしは迷わず、タイム・ワーナー社の創始者ヘンリー・ルースの名をあげる。(p.137)
(ルースからの)その中国支援を受けつける中国側窓口となったのは、孫文夫人の宋慶齢、蒋介石夫人の宋美齢の兄弟でもある宋子文だった。(p.140)
数ページを費やして、ヘンリー・ルースのことが書かれているけれど、詳細に知りたいなら、下記のリンクを辿って、そこに書かれている著者の別の著作にあたるといい。(ルースからの)その中国支援を受けつける中国側窓口となったのは、孫文夫人の宋慶齢、蒋介石夫人の宋美齢の兄弟でもある宋子文だった。(p.140)
《参照》 『アメリカの新国家戦略が日本を襲う』 日高義樹 徳間書店
【ニューヨーク・タイムズ】
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