《前編》 より

 

 
【ホリエモンのエピソード】
宋 : 堀江さんは基本的に常識がない。村上さんも常識ハズレのようだけど、彼は人間としての常識がある。私が目撃した例ですが、堀江さんは女優みたいな人を彼女にして、「こいつはカネほしさに俺についてきた」 とか、人前で平気でバカにするわけ。それを見て村上さんは耐えられなくなって、「失礼だぞ。人間には愛情というものがある」 と言った。(p.146)
 日本の若者に 「人生で一番大切なものは?」 というアンケートをとったら、7割近くが 「お金」 と答えた、と報じていた番組を見たことがある。その結果報告に、多くの視聴者たちは “唖然” としていただろうけれど、画面の中の若い芸能人たちはおしなべて ”当然” みたいな顔をしていたから、ホリエモンのその女優の彼女はバカにされたとは思っていなかったんじゃないだろうか。
 日本の若者の変質ぶりは、けっこうスゴイのである。現在は、経済格差、情報格差と共に、認識格差も甚だしくなっている。

 

 

【大企業のベンチャー潰し】
田原 : かつて勧業電気機器というベンチャーがあった。世界一薄い50円玉くらいのモーターを創ったんです。本田宗一郎は 「50年に一度の発明」 と褒めた。ところが大企業が全部マネした。大企業は法律の専門家を駆使して、特許侵害で訴えられないように巧にやった。営業力は段違いだから、結局潰れた。日本は全部、大企業が潰しちゃう。(p.153)
 大手商社は仲介しつつ横取りするとか、このての話は製造業の分野に限らず何度か聞いたことがある。日本の大企業は徹底的にズルくて阿漕な面を持っている。 これでは、日本にベンチャーが育ちっこない。
 同じ薄型モーターでシコー技研が生き残れたのは、最初に気づいてくれたのが、日本の大企業ではなくてアメリカのインテルだったからなのだろう。
   《参照》   『誰もやらない。だからやる』 白木学 (祥伝社)
             【インテルが驚いた二つのポイント】

 アルモニコスを育てたのも、外資系の日本IBMである。
   《参照》   『デジタルプロセス・イノベーション』 秋山雅弘・原口英紀 (日経BP)
             【エンジェル:日本IBM】

 こんなこと書きたくないけど、ベンチャーにとって外資系企業はエンジェルで、日本の大企業はデビルなんじゃないだろうかと、どうしても思えてしまう。

 

 

【オリックス・宮内氏】
田原 : オリックスの宮内義彦を経済界もマスコミも認めない。小泉構造改革で郵政民営化を推進し、かんぽの宿を自分のところで安く手に入れようとしたと、みんなヒステリックに攻撃する。宮内義彦さんをインベーダーだと言って攻撃するとき、根底にあるのはジェラシーであり、ユニークなものの排除だと思うんです。しかし、日本では 「正義」 という言葉を使うんだね。 ・・・(中略)・・・ 。大樹の陰に寄ってこない者、空気を乱す者に 「正義」 の鉄槌を下す。 (p.156)
 「寄らば大樹の陰」 的な日本人の傾向を腐している田原さんは、 「根底にあるのはジェラシー」 だと言っているけれど、この発言はムチャクチャである。
 宮内さんは、「アメリカという大樹の陰」 に入って、もっと言うなら 「アメリカという虎の威を借り」 て、日本の資産を手に入れようとしたアメリカのエージェントではないか。そんな卑劣なことをする奴を 「正義」 の名において排除するのは日本人として当然である。アメリカの大樹なら良くて、日本の大樹なら悪いと言うのは、日本人としての資質に問題がある。
 フリーのジャーナリストである田原さんは、アメリカの逆鱗に触れたら失業だから、それを恐れて 「根底にあるのはジェラシーであり」 などと馬鹿げたすり替えにして言うのであろうけれど、ほどほどにしておいたほうがいいんじゃないだろうか。
   《参照》   『ジャパン・ハンドラーズ』 中田安彦・副島隆彦監修 (日本文芸社)
             【日本側財界人のキーパーソン】

 

 

【日本人と中国人の違い】
安定志向から 「親方日の丸」 的に、公務員や大企業への就職を望む若者が多い日本の若者達の現状について、
宋 : この対談のいちばんの本質はたぶんここなんだけど、「大」 になると個人の力が失われるんですよ。(p.164)
宋 : 日本人にもパワー溢れる人が数多くいます。けれど、全体として生きる力を失ってきていると思います。日本の人たちと華僑たちは何が違うかというと、生きる力が違うんですよ。国とは関係ないし、時代とも関係ない生きる力の違いなんです。(p.182)
 中国人は、昔から 「上に政策あれば下に対策あり」 という諺のように、国家に服従しない個人の生き方が根底にあるような人々だから、そもそもからして中国人は、日本人と比較したらはるかに自己中心的でパワフルである。
 歴史的に見れば、日本人がパワフルであった時期は、国民全体が日本という国家を強く意識していた時代である。日本人と中国人は、国という概念が、個人の行動に対して反対に機能するのであろう。
 しかし、日本人は 「国を守らねばならない」 という帝国主義の時代を越えたら 「国に依存する」 様になってしまった。現在の日本人は 「親方日の丸」 的な依存傾向がどうしても強い。故に、個人という単位で見れば、どうしても不安な側面が浮かび上がってくる。
 「大」 への依存は自立を阻むことになるのは事実だし、今の時代、国粋主義や国家主義に向かわせるのは全くの錯誤だから、やはり、個人的な気づきによって、ひとりひとりが独自にパワフルに進化の道を辿らねばならないのだろう。
宋 : ある大学の教授は 「日本の若者のやる気を刺激するには、アジアの若者をどんどん入れたほうがいい」 と言っていた。日本の若者にパワーがないわけじゃやないんです。パラダイス鎖国は気持ちがいいから、個人の本来の力が損なわれているんです。刺激が必要なんですね。(p.206)

 

 

【漢字を復活させた中国】
宋 : 中国は最近、ものすごく  『論語』 を復活させている。
田原 : そうそう。 『論語』 ね。漢字も復活した。学校で古い漢字を教えています。(p.199)
 『論語』 の復活が行き過ぎた拝金主義の是正であるならいいけれど、共産党権力の強化だけを目的としているのであるならば、ウルトラ・マイナス評価である。
 しかし、簡体字から繁体字への漢字の復活は、明らかに良いことである。かつて、帝国主義の時代、欧米はアジア各地の文化破壊を第一優先戦略として、時の支配者たちを焚きつけていった。中国が、繁体字に戻そうとするのは中国文化正常化への第1歩のはずである。
 韓国も漢字を復活させるべきである。
  《参照》   『日本人が知らない「人類支配者」の正体』 太田龍・船井幸雄 (ビジネス社)
             【イルミナティによる中国支配】

 

 
<了>