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 森永卓郎さんの著書、3冊目。20代の頃は経済になど、全く興味がなかったけれど、さすがに1989年のバブル崩壊前後で、会社の状況が変わったので普通の大人並みに興味をもつようになってしまった。経済が難しいと思い込んでいる人にとって、森永さんの本はあっているように思う。B級という言葉をトレードマークにしているような森永さんなので、鋭利な知性をもちながらも、庶民感覚で経済を語っている。


【WBS軍団とは・・・】
 12チャンネル・テレビ東京の番組WBS(ワールド・ビジネス・サテライト)のコメンテーターは、全て小泉構造改革推進派であり、著者である森永さんは、その対極に位置していると、前書きに図入りで示している。なるほど、よく分かった。この本は2003年出版の本であるけれど、もう少し早く読んでいたら、このWBSに対する疑念はとっくに晴れていたであろう。
 しかし、小泉改革は、確かにアメリカに強要された法案の法制化を行い、日本社会の格差化を加速するものであったけれど、政治面で、ロ・中・韓の裏工作に対応するためにやむを得なかったのではなかろうか。なんといっても「分断と統治」をこの上なく巧みに用いるアメリカである。アメリカは日本に、戦争の危機を押し付けて、経済(戦争)で勝ったのだろう。
 大統領になる以前から金大中さんを子飼いにしておき、韓国経済IMF管理の折に、天文学的なぼろ儲けをした、アメリカの投資銀行:ゴールドマン・サックスをハゲタカ・ファンドと記述するのは、既に経済書の中では慣例になっている。そのハゲタカさんの資金に、今や日本人の勝ち組と言われる人々の資金が多量に流れ込んでいるそうだ。つまりWBSのコメンテーターさんの資金もおそらく・・・・・ということである。これで格差社会が進まない訳がない。


【イタリア経済を底で支えるもの】
 イタリアには、小さいけれど世界の一流ブランドが星の数ほどあります。・・・(中略)・・・ 例えばフェラーリを買う人がカローラと比較をするでしょうか。アルマーニを買う人が紳士服の青山と比較をするでしょうか?そんなことはないのです。殆どのイタリア商品は価格競争を受け付けない強いブランド力を持っています。グローバルな競争が進展し、価格競争が熾烈になるほど、最終的な勝利者は価格競争に巻き込まれない企業になるのです。

   《参照》   『フェラーリと鉄瓶』 奥山清行 (PHP) 《中編》

             【町のブランド】

             【フェラーリの規模】
 イタリアのブランド力の強さの要因は、感性を生かすモノづくりです。自分で作ることに拘っています。ここ一番の感性が必要な部分は徹底的に手作りに拘り、それ以外の部分は徹底的にITで合理化しています。
 イタリアの物づくりの教科書には、プロジェクト管理に最も必要な能力は、「芸術性」と書かれているそうです。(p.80~82)

 日本にもサマンサタバサという、日本国内で全てを生産する新らしいブランドができている。中国の人件費に押されて衰退しつつある日本の中小企業であっても、日本人の感性を生かせば十分にやれる。アニメを先陣として世界に浸透しつつある日本感性文化世界拡散の第2陣は、サマンサタバサやサンリオやミキハウスなどの女性子供むけ商品を生産する企業であるに違いない。


【年収300万円時代】
 サマンサタバサの2006年度の新入社員は全て女性である。貧弱な感性の男性は余り用が無いということか。高度な技術力に関与していない、普通の会社の仕事でくたびれ果てて感性を失いきっている日本人男性は、どっちに転んだにせよ役割を喪失して行くしかないのかもしれない。
 そんな男性は、格差社会が進行する中で年収300万円で生活できる方法を考えておくべきである、と森永さんは、様々な具体例を交えて書いている。
 小泉構造改革で、アメリカ型経済社会、即ち格差社会への移行が決定付けられてしまっているのだから、日本人の多くの人々は、考え方を変えざるをえないのかもしれない。
 人生を楽しんでいるイタリア人の年収は、貨幣換算して日本の300万円程度であるという。彼らのように、つまりラテンのりで生きる方法を学んでおくこと。これについては、次の読書記録に・・・。

 

<了>

 

  森永卓郎・著の読書記録

     『お金に縛られない生き方のすすめ』

     『辞めるな!キケン!!』

     『ビンボー主義の生活経済学』

     『年収300万円時代 日本人のための幸福論』

     『日本人を幸せにする経済学』