「走る」サッカーで旋風を！ホンジュラスのブラジルW杯２０１４が、いよいよ始まる…。
上の写真は【南アフリカW杯２０１０】で、２８年ぶりのW杯出場を果たしたホンジュラス代表をTVの前で応援する自分…。当時はアルビレックス新潟シンガポールのGKコーチ兼選手に就任して１年目でシンガポール在住。練習後に猛ダッシュで家に帰って、ギリギリ、ホンジュラス代表の試合のキックオフに間に合ってTV観戦したのを、まるで昨日の事のように覚えています。あれから、もう４年か…。早いのう。懐かしいです。
ドイツW杯２００６でエクアドルを「史上初のベスト１６」に導いたコロンビア人の名将ルイス・スアレス監督の下、ブラジルW杯２０１４で２大会連続のW杯出場を決めたホンジュラス。
大会直前の合宿地アメリカにてトルコ、イスラエル、イングランドと親善試合を行いました。
最初の２試合…トルコ戦、イスラエル戦は惨憺たる内容…。「チーム全員で組織的に走ってプレッシャーをかける」スアレス監督が標榜するホンジュラスのサッカーが全くできません。てか、走れないどころか、全然、動けてない…。コンディションの悪さはTV画面から伝わってくるほど顕著で、それが起因となってありえないミスを連発…。W杯に出場しないトルコ、イスラエル相手にそれぞれ「０－２」「２－４」と惨敗を喫します。いくら結果を重視しない事で有名なスアレス監督が大幅にスタメンを変えたり、前後半で半分以上もサブを使ったりしたとは言え、あまりにも不甲斐ない内容と結果に「おいおい、W杯、大丈夫か？」と、さすがに不安になりました。僕のみならず、ホンジュラス国民全員が同じ心境でした。
ただ、それでも「知将スアレス監督の事だから、必ず作戦があるはず。コンディションが悪いのは、本番にピークをもっていって走れるように、今はフィジカルトレーニングで連日追い込んでいるからだろう。スタメンをたくさん変える、何人かの選手を本来のポジションとは異なる、今まで全く試した事すらないポジションで起用するのも、W杯で同組のフランス、エクアドル、スイスのスカウティングを撹乱するためかもしれない。スアレス監督なら、そこまで考えているはずだ。信じよう」と自分に言い聞かせ、僅かながらの希望をもっていました。
しかし、「そうは言っても、W杯前最後の調整試合のイングランド戦でも不甲斐ない内容で負けようものなら、残念ながらW杯本大会でも駄目だろう」と思っていました。
こうして昨日、行われたイングランド戦…。イングランドはホンジュラスがトルコ、イスラエルに無様な負け方をしたのを当然、知っていたのでしょう。キックオフの笛が鳴った瞬間から、全速力で猛然とホンジュラスにプレッシャーをかけてきました。「強者が弱者をビビらせ萎縮させる」作戦です。イングランドは、キックオフ１０分以内で試合を決めにきました。
これに対してホンジュラスは臆する事なく、冷静に対応。トルコ戦、イスラエル戦でミスから崩壊…というか自滅したDF人も、イングランドの猛攻に対して高い集中力を発揮してしっかりと守ります。
そして何より大きかったのが、キックオフ直後からホンジュラスの選手が先の２試合と比べて、明らかに「走れていた」事。この日のホンジュラスからは、先の２試合とは比べものにならないほどの「コンディションの良さ」を感じました。「やはり、本番にピークがくるようにちゃんと計算してフィジカルの調整を行っていたんだな」と納得。「走る」サッカーを標榜するスアレス監督のホンジュラス。後半はU-１５ホンジュラス代表の練習があったため見れませんでしたが、「前半のようにしっかり走れていれば、決して大崩れする事はない」と、少し安心して練習に向かえました。
結果…。練習から帰ってくるとホンジュラスはイングランドと「０－０」で引き分けていました。後半には右SBのベッケレスが退場になったものの、ホンジュラスは粘って失点を許さなかった模様。前半を見た限り、攻撃面ではパスミスが多く（そこからカウンターを度々食らった）、得点は放り込みから事故待ちかFWコストリーの個人技頼み…という感があり、「W杯初戦で対戦するフランスから得点するのは容易じゃないな」との印象をもちました。
それでも、走り続けてプレッシャーをかけるスアレス監督のサッカーができ（後半は見てませんが）、崩壊寸前だったDF陣が本来の手堅さを本番前で取り戻せた事により、W杯本大会での希望は一気に膨らんだと見ています。ベスト８に輝いたロンドン五輪２０１２でもそうでしたが、このチームは走れさえすれば、スペインにも勝ったし、ブラジルにも７０分以上を１０人で互角以上の戦いをしただけの実力をもっているのです。
確かにイングランド相手に得点できず勝利はできませんでしたが、これが「仮想フランス」だと捉えるなら、別に勝たなくても悪い結果ではありません。僕は「初戦のフランス戦は引き分けでも成功。勝利なら出来過ぎ」くらいに考えています。フランス戦で何とか最低でも勝ち点１を獲得し、残りのエクアドル、スイスとの２試合勝負。こう、見ています。
「走る」サッカーを標榜するだけあって、このイングランド戦ではスペクタクルな選手を一切起用せず、中盤はエスピノサ、パラシオス、ガリード、チャベスと全て「走れる、ハードワークできる、戦える」選手で構成されました。イスラエル戦で右SH起用されたホンジュラスきっての「ファンタジスタ」マリオ・マルティネスは走れないので、残念ながらW杯本大会でもリスクを負ってでも攻めに出なければならない局面以外は出番がないでしょう。
このイングランド戦の前半のメンバーを中心に、W杯初戦のフランス戦のスタメンが構成されるのでしょうが、まだまだ分かりません。というのがこのイングランド戦でも、本来は左SHかFWのチャベスを、今まで試した事すらない右SHで起用していました。最後の最後までスアレス監督はスカウティングの撹乱を狙っている可能性があります。
※イングランド戦の前半、雷で試合が３０分間中断。代表でこんなシーン、初めて見ました。さすが「ありえない！がある！」ホンジュラス。ホンジュラスが絡むと、本当にいろんな珍しい事が起こります。
僕が日本のサッカーファンに注目して欲しいのは、ロンドン五輪で日本でも「ホンジュラスのロン毛のボランチ、すげぇー！！」とネット上で結構話題になった、背番号１５MFロヘル・エスピノサ。とにかく、「走る」ホンジュラスサッカーの申し子のような存在で、驚異的なスタミナでピッチを縦横無尽に走りまくります。その自己犠牲を厭わない献身的に走りまくる姿は、その髪型ともあいまってまるで「サムライ」。見る者を感動させます。しかも、単なる「走ってボール奪取する守備的な選手」ではなく、足元の技術も抜群で攻撃の起点となり、時に度肝を抜くような驚異的なスーパーミドルも決めます。
エスピノサは本来はボランチですが、スアレス監督はトルコ戦、イスラエル戦の後半、そしてイングランド戦と左SHで起用しました。僕的には彼の良さを最大限に生かせるのはボランチであり、W杯本大会でもボランチでプレーする彼を見たいですが、直前親善試合での起用法を見ると、W杯本大会でも左SHでの起用が濃厚です。おそらくスアレス監督は、左サイドの守備を強化したいのでしょう。
ロンドン五輪の日本戦では累積警告で出場できなかったエスピノサのプレーを、この機会に是非とも日本のサッカーファンには見て欲しい。正にチームの「心臓」。日本人よりも日本人らしい「サムライ」エスピノサの魂溢れるプレーが、ホンジュラスの命運を握っています。
※エスピノサのイスラエル戦のスーパーミドル！！半端ないです！！
今回のホンジュラス代表には、レアル・ソシエダで２シーズン、チームメイトとして共に戦ったFWロニー・マルティネスも選ばれれています。２０１２年まで１部リーグでプレーした事が一度もなかった無名のFWが、１部リーグにデビューするやいなや、３シーズンで２度の得点王を獲得。しかも２度目の昨季は、ホンジュラスリーグの「歴代１シーズン最多得点記録」（１６試合で１５ゴール！！）をマーク。自らのゴールで人生を変え、W杯出場の夢を叶えました。抜群の決定力のみならず、性格も非常に真面目で謙虚、チームのために前線からの守備も献身的に行う現在「ホンジュラスリーグ最高のFW」ロニーのW杯でのゴール、そして、将来のJリーグでのプレーを心から望みます。
※ロニー・マルティネスと。
※ロニー・マルティネスのホンジュラスリーグ、ゴール集！！
エクアドル史上初のW杯「ベスト１６」、ホンジュラス史上初の五輪「ベスト８」など、本番で抜群の強さを発揮し、必ず結果を出すスアレス監督に率いられたホンジュラス代表。
何かの調査でW杯出場国の中で最低の市場価値と言われ、おそらく選手がもらっている平均年俸も最低、治安も世界最悪のホンジュラス。そんなホンジュラスが世界の強豪を倒す姿を見せられれば、世界中に夢と希望を与えられます。
僕は最近、ホンジュラスがフランスに「２－０」で勝つ夢を見ました。先制点はFWベントソンがGKロリスがシュートを弾いたのを押し込み、２点目は忘れましたが、とにかく勝ちました。自分の夢はよく当たるので、本当に夢の通りになってくれたら最高です。
「走る」サッカーで旋風を巻き起こせ、ホンジュラス！！！
皆さんもホンジュラスの応援、よろしくお願いします！！！
※北京五輪２００８にて、ホンジュラスを応援。
◆連絡先メールアドレス： cafehondurasyoji@hotmail.co.jp
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【Yoji Yamano/山野陽嗣】
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ブログその１【「２６歳」からのプロサッカー人生！山野陽嗣の「笑顔」で不可能を「可能」にするブログ】