次は「決勝」で会おう!!<ホンジュラスVS日本> ロンドン五輪2012 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

次は「決勝」で会おう!!<ホンジュラスVS日本> ロンドン五輪2012


「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 - <ホンジュラスVS日本>2012年8月1日(水)①



 ついに…。ついに…。ついに…。


 ついに、迎えてしまいました、「この日」を…。

 
 「サッカー人としての故郷VS人間としての故郷」…。


 
ホンジュラスVS日本>です!!!



 3日前に放送されたTBS「ひるおび!」でも紹介されてましたが、「何をしてくるか分からないホンジュラス」が、キックオフ(ホンジュラス時間で8月1日の朝10:00)直前に起きました。キックオフ30分前にいきなり僕の携帯電話に電話がかかってきて、誰かなと思って出ると、前日にインタビュー記事を掲載してくれたホンジュラスで最も権威がある新聞「La Prensa」の記者。用件を聞くと、「日本人だがホンジュラス人の心を持つYojiが『ホンジュラスVS日本』の試合をどう見るのか、その様子をぜひ記事にしたいから今からそこに取材に行く」…って、急すぎ!!(笑)キックオフ30分前に電話って(汗)。せめて、「前日」に連絡してよ!!(笑)


 …ってなわけで、「ラフな格好でゆっくり試合観戦しよう」と思っていたのですが、急きょ正装(ホンジュラス代表ユニ&ホンジュラス帽子着用)し、かなりドタバタしましたが何とかギリギリでキックオフに間に合い、無事、「運命の一戦」を迎える事ができました…。ふ~…。やっぱ、ホンジュラスは何が起こるか分からん!!昨日掲載された上記の記事は→<こちら!



「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -<ホンジュラスVS日本>2012年8月1日(水)③



 「前回のブログ」に、僕はこう書きました。↓↓↓



勝敗はもちろん大事だけど、それ以上にホンジュラスには、ホンジュラスサッカーに馴染みのない日本人の方々にその『魅力』と『素晴らしさ』が伝わるような最高の試合をして欲しい。とにかく1人でも多くの日本人の方々にホンジュラスサッカーの『魅力』と『素晴らしさ』を伝えたい。これが僕の、心からの願いです」



 …果たして、我らが「ホンジュラス」は、自身の母国である「日本」に対して、どのような戦いぶりを見せるのか?


 そして「ホンジュラスサッカー史上初」となる世界大会での「決勝トーナメント進出」を決める事ができるか…?


 期待と不安…様々な感情が交錯する中…


 ついに、「運命の一戦」、キックオフ!




「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -<ホンジュラスVS日本>2012年8月1日(水)②




 この日本戦には、<歴史的勝利!ホンジュラス、スペインを破る!>…でも書いたように、累積警告でホンジュラスの大黒柱、オーバーエイジのロへル・エスピノサを含む主力2選手が出場できません。この穴をどう埋めるか…?対する日本はこれまでとスタメンを5人、入れ替えてきました。僕はこの事はむしろ、ホンジュラスにとっては驚異になる…と感じました。…と言いますのもホンジュラスは前回のスペイン戦で本当に力を200%出し切っており、試合を見てても終盤は痛々しいほど疲労困憊で動けていませんでした(どうにか「気力」と「魂」でカバーしてましたが)。「僅か中2日では、スペインとの壮絶な死闘の疲労は回復しないんじゃないか?そこに日本がフレッシュで、元気で、ハングリーな選手たちを5人も起用…。これはヤバイ事になるぞ…」と…。



 しかし、心配は完全に杞憂に終わりました。スペイン戦での疲労など全く感じさせないほどの豊富な運動量を、キックオフ直後から披露!!さすが、普段ホンジュラスで、試合の前日でも2部練でハードな練習を行なったり、1ヶ月間、一切、オフが無い中で練習を行なったり(←これらは実際、僕が選手としてホンジュラスで経験した事です)、スポーツ生理学を完全に超越(無視)した過酷な練習と試合に耐えて這い上がってきた選手たちです。凄い!!


 日本は「引き分け」でも1位通過、ホンジュラスは「引き分け」だと2位になってしまうが通過は決まる状況…両チームがどういうゲームの入り方をするか注目が集まりましたが、我らがホンジュラスは、試合開始直後から完全に「勝ち」にきました。そしてこのホンジュラスの姿勢が試合をよりエキサイティングなものにしました。



 僕はモロッコ戦スペイン戦と、これまでのホンジュラスの2試合を全てフルタイムで見てきましたが、「攻撃面」に関しては、この日本戦が、最も「ホンジュラスらしさ」が出ていました。「爆発的なスピードとパワー、遊び心も兼ね揃えた卓越された技術」という個人能力の高さをまざまざと披露!特に、共に「19歳」(!)…日本戦で初スタメンしたFWアントニー・ロサーノ(バレンシア所属)が前半に見せた、ハーフラインくらいから一気に約30mも日本守備陣を抜き去ってシュートまで持ち込んだ「パワフル」かつ「スピーディー」なドリブル突破、後半序盤のアンディ・ナハルの内側に行くと見せかけてのアウトサイドでかわすフェイントからのクロスには、「これぞホンジュラスサッカー!!」と思わず唸りましたね。これでまだ「19歳」とは…。この2人、末恐ろしいです。



※そういうプレーばかりが満載のホンジュラス国内リーグのハイライト動画。今回のロンドン五輪ホンジュラス代表で「海外組」は18人中4人のみ。他の14人は全員この国内リーグでプレーしているのです。底知れないポテンシャルを持ったリーグです。








 これら日本人にはマネできないような(日本人とはちょっとタイプが異なる)高い「個人能力」は、馬糞やシャーペン(!?)が落ちてるボコボコでズタボロなグランド、イヌや馬や牛やロバが暴れるグランド(←これらは全て、実際に僕が選手としてホンジュラスで経験した事です)等、ハチャメチャな環境の中でサッカーしたり、大自然や貧困など過酷な状況下で小さな頃から生き抜く中で培ったものです。



 この日の日本は、決して最初から「引き分けで良し」とは思ってなかったはず(終了間際は引き分け狙いでしたが)。日本も攻めようとはしてましたが、ホンジュラスの出足の鋭いパワフルかつスピィーディーで(スアレス監督が植えつけた)組織的なプレスに潰され、なかなか「日本らしさ」を発揮できてない印象でした(もちろんスタメンを5人、入れ替えた影響もあったと思います)。…その中で皆さんは気付いたかどうか分かりませんが、例えば、五分五分のルーズボールをホンジュラスと日本が拾いに行った際、ホンジュラスの一瞬の寄せの速さと最後の足の「ひと伸び」で先にボールに触り、度々、ホンジュラスボールにしていた点。この点を見ても、(僕は現地で実際にホンジュラス人選手とサッカーして肌で感じて分かっていた事ですが)改めてホンジュラス人の底知れぬポテンシャルを感じずにはいられませんでした。今回のように「良い準備」さえできれば、この国はコンスタントに好成績を収められるだけのポテンシャルを持っているんです。スアレス監督まで国内キャンプでは選手と一緒にビーチで裸足でダッシュを行い(ダイエット?)、準備万端でしたからね(笑)。

 

試合は結局ゴールが生まれず「0-0」の引き分けで終了。

 
ホンジュラス「史上初」、世界大会で決勝トーナメント進出!



 正直、「ホンジュラス史上初の決勝トーナメント進出」が決まって嬉しい反面、良いサッカーをしながら日本に勝てなかったのは非常に残念ですが、「日本に勝つ」のは『決勝』か、僕がホンジュラス代表のGKコーチになった時に、取っておきましょう。

 


 「新たな歴史」を作った、我らがホンジュラス…。


 決勝トーナメント初戦…。次なる相手は…………
ブラジル。



 ネイマールを中心に予選リーグを「3戦全勝」で勝ち上がってきた、「金メダル最有力候補」であり、言わずとしれた「世界最強」のサッカー王国。


 「なるべくブラジルは避けたい」と思ってましたが、決まってしまったら、もう前向きに捉えるしかありません。



 実はホンジュラス…「予選リーグで本命をサプライズで破って決勝トーナメントに進んだ後、格下と思われる相手によもやの敗北を喫する」という悪癖があるのです。例えば2007年のCONCACAFゴールド杯では、予選リーグでメキシコをロスタイムの大逆転で破って首位通過しながら(メキシコに勝つ事自体はホンジュラスの実力的にサプライズではありませんが)、決勝トーナメント初戦で格下のグアドループにまさかの敗戦…。他には、代表ではないけど国内クラブの強豪マラトンが、2009年のCONCACAFチャンピオンズリーグにて予選リーグでコスタリカのサプリサ(第1回クラブW杯出場)、メキシコの強豪クルス・アスル(決勝進出)、アメリカMLSのDCユナイテッドを次々に撃破し「死の組」を首位で通過しながら、決勝トーナメント初戦で格下と思われていたアメリカ2部リーグのプエルトリコ・アイランダーズに、まさかの敗戦…。


 「国民性」的に油断してしまうのか何なのか分かりませんが、「格下」に足元を掬われる事が多いホンジュラス。ならば今回のようにいっそ「ブラジル」のような強い相手とやった方が、調子に乗って、燃えて、本来の実力を発揮できるかもしれない(スペインを破ったように)。



 それに「ホンジュラスVSブラジル」と言えば、ホンジュラス人の誰もが記憶している忘れられない試合が「2001年コパ・アメリカ」。当時ホンジュラスはアルゼンチンが大会前日になって参加をボイコットしたため、急きょ代わりに準備期間「0日」で大会に参加し、それでも破竹の勢いで勝ち続け「3位入賞」という輝かしい成績を残して伝説を作っています。



 その「2001年コパ・アメリカ」の決勝トーナメント初戦の相手が、「ブラジル」だったんです。この試合でホンジュラスはブラジルのお株を奪う高い個人技と爆発的な身体能力でブラジルを翻弄。「2-0」でブラジルに完封勝利し、世界に大きな衝撃を与えました。ちなみにこの時のブラジルが決して弱かったわけではありません。何せ、この翌年のブラジルは日韓W杯で「優勝」してますからね。ホンジュラスはこの年「FIFA年間最優秀チーム」にも選ばれました。


※詳しくは→【<第6回>「読者の質問」&「Yojiの回答」コーナー「FIFA年間最優秀チーム」ホンジュラス】←実に5年前(2007年)のブログです!



※2001年コパ・アメリカでの、ブラジル戦の勝利動画!!ブラジルを個人技とフィジカルで翻弄!!






 本大会前の練習試合から含め、現在、6試合負けなし(4勝2分け)。試合を重ねるごとに強さを増しているホンジュラス。選手も、このチームはもっともっと大きな事を成し遂げられると、自信を持っています。名将スアレス監督は南米のコロンビア人で、エクアドル代表監督も務めた事があり、ブラジルの事は知り尽くしている。今のホンジュラスなら「ブラジルに勝利」する事も、決して不可能ではありません。



 そして、日本…。日本国内ではエジプト戦に対して楽観視されていますが、エジプトにはトゥーロン国際大会でも負けてますし、直前にやってる相手だからこそのやりにくさもあると思います。決して簡単にはいかないと思いますが、日本なら必ず勝ってくれると信じてます。※エジプトとは本大会前の練習試合でホンジュラスはやって、「1-0」で勝っています



 大会前に、スペインも居るこの組を、「ホンジュラスと日本」が通過するだなんて、誰が想像したでしょうか!?僕としては、「サッカー人としての故郷&人間としての故郷」が揃って決勝トーナメント進出という、正に理想的かつ夢のような展開となりました。



 次は、『決勝』で会いましょう!!!

 

 



 最後に…。「ひるおび!」の分析は当たったかな?(笑)一応、GKホセ・メンドーサが好守を連発して無失点に抑えてくれたし、「スピード、パワー、テクニック」という「ホンジュラスらしさ」を見せてくれたし…ホンジュラスに感謝です(笑)。それではっ!!!!!



☆明日、8月4日(土)<ホンジュラスVSブラジル>



「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→日本…」 -<ホンジュラスVS日本>2012年8月1日(水)④




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